『2001年宇宙の旅』『シャイニング』『時計じかけのオレンジ』など革新的な映像で世界中の映画ファンを熱狂させてきた巨匠スタンリー・キューブリック。
一般的に彼の劇場映画デビュー作は『非情の罠』とされているが、それ以前にも彼の公開作品があったのをご存じだろうか。それが本作『恐怖と欲望』“Fear And Desire”である。
本作はわずかなキャスト&スタッフ、低予算で製作されたが、公開時は批評家などからは好評だった。しかし、本作の最大の不運は監督自身に忌嫌われてしまったことである。

完璧主義者として知られるキューブリックは本作を「アマチュアの仕事」と、プリントをすべて買占め封印してしまったのだ。本作はキューブリックファンの間では「幻の作品」だったが、昨年2012年3月にニューヨークのリンカーン・センターにて行われた特集上映の中の一プログラムとして上映され、大きな話題となった。

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執筆者

Yasuhiro Togawa