選挙費用総額8万4720円。スローガンは脱原発。
「普通の主夫」山さんが、怒りの再出馬!

舞台は、東日本大震災直後、2011年4月1日に告示された川崎市議会選挙。震災で実施が危ぶまれた統一地方選挙だ。
その選挙に、映画『選挙』(07年)の主人公、「山さん」こと山内和彦が、完全無所属で出馬した。選挙区は前回と同じ宮前区。スローガンは「脱原発」だ。自粛ムードと原発「安全」報道の中、候補者たちは原発問題を積極的に取り上げようとしない。小さな息子のいる山さんはその状況に怒りを感じ、急遽、立候補を決意したのだ。
映画『選挙』で描かれた05年の補欠選挙では、山さんは小泉自民党公認の公募候補だった。党が誇る強固な組織力と徹底的なドブ板戦で、初当選した。しかし、07年の統一地方選挙では自民党の公認を得られず不出馬。そのため山さんはこの4年間、政治からは遠ざかり、主夫として子育てに従事していた。そこに降ってわいた選挙戦なのだ。
組織なし、カネなし、看板なし。準備もなし。14人の候補者のうち、当選するのはわずか9人という激戦区。だが、前回のカネのかかるドブ板選挙の反省から、山さんは選挙カーや事務所を使わず、タスキや握手も封印。選挙の総予算は、ポスターとハガキの印刷代として8万4720円のみ。
果たして、ないないづくしの「普通の主夫」山さんに、勝ち目はあるのか?

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執筆者

Yasuhiro Togawa