本作は、リドリー・スコットほか多くの有力プロデューサー、キャストが口をそろえていうことがある。それは、これはいままでのイギリス映画とは全く違うということだ。これまで映画でたくさん描かれているイギリスは、観光目線のイギリスであって、本来のイギリスの姿ではないそうだ。外国の監督などが描いた日本の姿を見ると、少し違和感を覚える時と同じかもしれない。

今回、プロデューサーとして参加しているベン・ピューとロリー・エイトキン、そして主役のジェームズ・マカヴォイが本作の舞台でもあるイギリスについて、そして、撮影秘話を語ってくれた。

ジェームズ・マカヴォイ
「イギリスの首都ロンドン東部にある大規模ウォーターフロント再開発地域で新金融街であるカナリー・ワーフで撮影を行ったんだけど、撮影のために一帯を封鎖したんだ。これは過去にほとんど許可がおりたことのない、稀なことなんだ。少しでも金融業界を批判する作品なら許可は下りなかったと思うよ。おかげでいままでにないイギリス映画ができたと思う。それにイギリスの映画界ではどうしてもアメリカ市場を意識したヒーローものが多いと思う。だから今回のようなアクション・スリラーは少ないと思うな。僕が不勉強なのかもしれないけどこういうスタイルのイギリス映画は他にないと思う。アクションに力を入れてるのがどういうわけか見当たらない。でもそれは予算が理由ではないはず。イギリス人の控えめな国民性が関係してるかも。あからさまに見せずに表現したがるとかね。」

プロデューサー:ベン・ピュー
この映画の背景は、ロンドンに住むクリーヴィー監督の体験から構成されているという。「監督はイーストロンドンのドッグズ島地区に住んでいて、そこを映画の舞台に選んだんだ。彼は毎日家の近くを歩いていて、マンハッタンや大都市のような建物がロンドンにもあるのに、そういう国際的な部分を誰も描いていないということに気付いたらしいんだ」。

プロデューサー:ロリー・エイトキン
ロンドン都市部の撮影では、また違った撮影のアプローチをしているという。「つまりは普段のロンドンとは別の顔を見せたいと思ってたんだよ。ロンドンは世界的大都市で、常に成長を続け美しい建物がたくさんある。それなのに大体の映画に出てくるロンドンは、バッキンガム宮殿やロンドン塔、あとは護衛兵とかミニカー、アストン・マーチン、みんな観光客的な視線のものばかりなんだ。でも、ロンドンっていうのは湿っぽくて、空は灰色、ちょっとがっかりするようなところもある。だから僕たちは、金曜の夜に観たくなるような、そして観て楽しい映画を作りたいと思ったんだ。」

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執筆者

Yasuhiro Togawa