おかしくて哀しい、極上の実録犯罪ドラマ

 96年にテキサスの田舎町で実際に起こった奇妙な殺人事件。39歳の町一番の人気者が、81歳の同じく一番の嫌われ者を殺害したその顛末を、名優たちが演じる人間味豊かなドラマと、実際の登場人物たちを知る住民たちのインタビューを交えて再現するユニークな構成。全米では批評家たちの大絶賛を受けて、Rotten Tomatoesでは91%Fleshを獲得し、公開週(2012年4月27‐29日)には週末興行成績スクリーン・アベレージ第1位となる好スタートを切ってロングラン・ヒット。日本でも7月13日(土)より、『バーニー/みんなが愛した殺人者』としてヒューマントラストシネマ渋谷・新宿シネマカリテにて公開が決定いたしました。

 
 『スクール・オブ・ロック』(03)の大ヒット以来9年ぶりにジャック・ブラックとリチャード・リンクレイター監督の黄金コンビを復活させて贈る話題作は、ブラックなユーモアと悲哀に満ちた実録ヒューマン・ドラマの傑作に仕上がった。
 主演のバーニーには、『愛しのローズマリー』(01)、『スクール・オブ・ロック』でちょっとアブない魅力の超個性派としてブレイクし、『カンフー・パンダ』シリーズ(07、11)や『ガリバー旅行記』(10)などで近年ファミリー層にまで人気を拡大している名優ジャック・ブラック。彼は本作の熱演でゴールデン・グローブ賞最優秀男優賞にノミネートされた。偏屈な老未亡人マージョリーを圧倒的な迫力で演じるのは、『アパートの鍵貸します』(60)、『あなただけ今晩は』(63)など数々の名作に主演し、『愛と追憶の日々』(83)でアカデミー賞主演女優賞を受賞した大女優シャーリー・マクレーン。また、地方検事ダニーには、本作でニューヨーク映画批評家賞、全米映画批評家協会賞の助演男優賞など数多くの賞を受賞した、『評決のとき』(96)、『リンカーン弁護士』(11)のマシュー・マコノヒー。3人の名優の迫真に満ちた演技と、カーセージの住民たちが実際のバーニーやマージョリーの人となりについて本音で語るインタビューの絶妙なコンビネーションが、作品に奥行きとリアリティを与え、オリジナルで不思議な映画的味わいを醸し出している。

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執筆者

Yasuhiro Togawa