このたび、レオス・カラックス監督13年ぶり待望の最新作『ホーリー・モーターズ』が、4月6日(土)よりユーロスペース、シネマカリテほかにて公開となります。

 本作は、リムジンに乗ってパリの街を移動しながら、11人の役柄を演じる「オスカー氏」の1日を追ったドラマ。物乞いの老婆や父親、殺し屋、モーションキャプチャーのスタントマンなど、様々な役に変身してゆく彼の正体は?

 作中、廃墟と化したサマリテーヌ百貨店で、カイリー・ミノーグ扮するジーンが歌う印象的なオリジナル曲“Who Were We?”。「私たちは誰っだったの?」という印象的な歌詞は、カラックス監督自身が作詞を、ディヴァイン・コメディのニール・ハノンが作曲を手掛けています。歌自体も同時録音で撮影されたこのシーンについてカイリーは、「とても美しいフレーズで、初めて聴いた時すぐに馴染んだわ。これをアフレコではなくその場で、あのシーンの中で演じながら歌うと思うと興奮したわ。」と語ります。また、エヴァ・メンデスもモデル、ケイ・M役としてゴージャスな衣装を身にまとい、セリフのない難役に挑んでいます。オスカー氏が演じる役の1つである怪人・メルドによって地下へ連れ去られた彼女は、メルドを膝に横たえて、美しい子守唄を披露しています。カラックス監督は彼女の起用について、次のように語っています。「私たちはメルドのさらなる冒険を描く『Merde in USA』という長編をNYで撮りたいと思っていました。いわば『美女と野獣』みたいな話です。その後映画祭でエヴァ・メンデスと出会い、私たちは一緒に映画を撮りたいと思いました。彼女はエロティックでありながら同時に無機質(ロボティック)でもあるのです。」
本作には他にも、エディット・スコブ(『顔のない眼』)、エリーズ・モロー(『Des Filles en Noir(黒衣の少女たち)』)、ジャンヌ・ディソン(『トムボーイ』)ら、様々な年代の女性たちが出演し、オスカー氏の奇妙な1日を彩ります。

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執筆者

Yasuhiro Togawa