『ヌードの夜』『死んでもいい』『GONIN』・・・独特な世界観で映画ファンを惹きつけ、海外でも数々の受賞を誇る、映画監督・が、エロスと死(タナトス)の狭間で描く、POP で幻想的なラブロマンスを映像化!リストラを宣告された、孤独な石井隆オタク青年(柄本佑)が、廃墟ビルでセーラー服姿の不思議な少女に助けられた。ふと目覚めると、彼女は彼が唯一の趣味とする美少女フィギュアに変わっていた!? そして青年とフィギュア少女の夢とも現実ともつかない奇妙な同居生活がはじまる・・・。
大竹しのぶ、余貴美子、夏川結衣ら、名女優を飛躍させた石井隆監督が新たに脱皮させるのは、2013 年ブレイク必至の新生グラビアアイドル・佐々木心音(ささきここね。オールヌードの体当たりで、セーラー服フィギュア少女を魅力たっぷりに演じる。)
美少女フィギュアに恋する孤独なオタク青年を、個性的な演技で数多くの映画、ドラマに出演する若手注目株・が熱柄本佑演する。

石井隆監督

-映画はいつも嘘をつくもの。その嘘の世界をどんどん巡ることで、小さな、しかし確かな真実がそこに映らなくてはいけない。これまで撮ってきたどの映画にもその思いはありましたが、今回の『フィギュアなあなた』(原作は僕が20年前の劇画家時代に書き下ろしたコミック『無口なあなた』(92年)という短篇です)は、いわゆる“リアリティ”というものが不在なので、撮るに当たっては、なおさらその思いを強くした一本でした。言うまでもなく、そこに映る真実は、スクリーンに映る役者の真実と共にあります(もちろん我々裏方のスタッフたちの真実も、ですが)。佑君は、生来の才なのでしょうが、純化された、そして時にはそれが映画の空気を異化してしまうといった稀有な存在感を持っていて、そんな彼のイメージはずっと僕の頭の中に残っていました。なので、佑君なら今回のような名実共に嘘んこだらけの世界の中でも、確かな真実を映画の中に残してくれるだろうと、主演をお願いした。彼は、子供の頃から映画館で出逢った多くの映画体験を血肉化させている役者ですから、彼がいることで、現場が『映画の撮影現場』になりました。それがとても嬉しかった。心音君は、初めて彼女の映像を見たときに、とにかくとても驚いた。大森プロデューサーから『佐々木心音で一本やりましょう』と言われ、不勉強な僕はそこで初めてイメージビデオというものを見るわけですが、どんだけエロいものなのかと期待して見てみたら、お人形のようなふっくら白い女の子がテニスウエアを着てその場でジャンプしてるだけ。ジャンプすると胸とお尻が揺れ、暫くすると汗でウエアも下着も濡れて“透けT”のようになる。なんともシュールな演出なんですが、それよりも何よりも、男達のあらぬ欲望をどこ吹く風で引き受けて、黙々とジャンプしている心音の“心のタフさ”に釘付けになった。この子なら一緒に映画を創ろうという思いを分かち合える、映画に対するこちらの思いを邪心無く理解してくれるかも知れない、と。ゴミのようにうち棄てられたマネキン人形が、ひとりの孤独な青年の魂の中だけでは生を持つ。そのマネキン人形が、青年を救い、励ますためにセーラー服姿で四階建てのビルの螺旋階段を舞い降りながら拳銃を発砲し、チュチュを着て空中でバレエを舞う──。二人の役者によって、僕の中ではそのイメージがとても自然に浮かんだんです。

佐々木心音さん

●出演オファーを受けられた際のお気持ち
-もうビックリの一言です!!!その後、嬉しい!と不安が一気に押し寄せてきました。とにかく興奮状態です(笑)。

●脚本をお読みなって感じられたこと
-とにかく初めはフィギュアの名前が「ココネ」になってる!!っていうだけで嬉しかったです。フィギュアはどう演じたらいいんだろうと考えながらも、読めば読むほど石井監督ワールドに引き込まれていました。「あれ?私、心音(ここね)だった。」って思ったこともあります(笑)。

●石井隆監督について
-「現場に入ったら凄く怖い人だよ」って聞いていたので、ビクビクしてたんです。でも、全然そんなことはなくて、、、。
ニコニコしながらいつも見守ってもらってるなぁって感じていました。本当に愛深い方です。

●共演者について
-内山役が、(柄本)佑さんで本当に良かったと思ってます。どしっと受けとめてくれて、助けてくれて、支えてくれました。
気付いたら、内山(柄本祐)の不器用さが、ものすごく愛しく感じるようになっていました。

●撮影について
-衣服を全て脱ぎ捨てることに抵抗はありませんでした。それよりも、フィギュアになりきることのほうが遥かに大変で、歩き方一つで脳みました。ひっくり返りそうな時もありましたね(笑)。
あとは、初めてのアクションシーン。ワイヤーに吊るされ、どうなるかと不安で仕方なかったのですが、いざやってみると楽しくて楽しくて!まるで、アトラクションに乗ってるようで、一人きゃっきゃしていました(笑)。
とにかく皆、「つくるぞ〜!」という情熱がすごく溢れていて、居心地が良い気持ちいい現場でした!本当に皆さんに、いろんな事を教えてもらって、助けてもらいました。心から感謝しています。

●映画公開を待つファンへのメッセージ
-石井監督の映画でデビューさせていただけるなんて、自分でも夢のようです。本当に愛溢れる映画になっていると思います!私も公開を待ち望んでる一人です。是非!劇場に観に来てください!よろしくお願いします♪

柄本佑さん

●石井監督について、撮影について
-石井監督と初めてお会いしたのはファムファタルの事務所でした。監督は一見すると、かわいらしく、クマのようで(ごめんなさい)とても気を遣われる方でした。しかし、ふと足元を見るとごつく、凶暴な靴を履かれていました。内心「おや?」と思いましたが、そ
の日は事無きを得ました。しかし、現場が始まると「ん〜もっと他に何か無いの?」と獲物を狙うケモノのような目で冷ややかに自分を見ていました。恐かったです。「ヨーイ・・・&#イ!」と“ハイ”がくもるような気合いの入った号令。一気に体が緊張し何も出来ない自分をさらけ出されてしまいました。それから毎日ちあきなおみの「紅い花」を聞きながら日々苦悩しました。つらかったです、がも、楽しかったのでしょう、今思えば苦悩できた幸せを感じずにはいられません。ありがとうございます。本当に幸せな夏の2 週間でした。大好きです。また、絶対呼んでください。また苦悩させてください。

角川書店 大森プロデューサー

●映画化の経緯
-石井監督から「20年近くも前に書いた劇画をもとにした企画があるんだよ」といつもの東中野の小料理やさんで聞いていました。「どんな企画なんですか?」「自宅に拾ってきたマネキンを女性と意識して、AVみて自慰するときはあっちをむかせたりするんだよ。そんな話」「劇画を見せてください」酔いつぶれた私に監督がページのコピーを下さり、総武線の吉祥寺方面の電車に乗り込んで読み始めると、一気に涙が出てきました。サラリーマンである自分のようなものの悲哀を20年前の劇画が見事にすくいとり、まるで現代版「マッチ売りの少女」であるかのような救済の物語になっています。自宅に帰った時はすぐに監督にメールしました。「これいいですねえ」
そんなやりとりから企画がスタート。石井監督はいつものように一気呵成にシナリオを描き始めました。出来上がったものは、アクションも私の大好きなヘアヌードも満載な不思議なファンタジーでした。企画が成立、社内の役員会を通過したことを連絡すると監督は「自分の劇画を自分で実写化するの初めてなんだ。ありがとう。感慨深いよ」
意外でしたが、監督にはそんな思いもつまった映画です。ギリシアのテッサロニキでアンゲロプロスから激賞された『死んでもいい』が非常に老成した映画だとすると、『フィギュアなあなた』は非常に若々しい作品です。きっと若い気鋭といわれる監督たちを嫉妬させるでしょう。

●キャスティングについて
-監督が主演の内山は柄本佑さんがいい、と早い段階からおっしゃっていました。私もびっくりしましたが、柄本さんは大の映画ファン、を通り越して業界でも有名なシネフィルです。撮影中でもピンク映画の女優さんの引退記念上映に駆けつけては涙を流したりなどと熱烈な映画好きを聞いたりして、こちらがいろいろ教えていただきました。石井監督の作品は特に好きでキャスティング段階でも「石井フェチ」であることは聞いていましたが、今回のセリフにある「石井節」(現実には若干なさそうなセリフでも)は「GONIN」や「ヌードの夜」でも頻出していて、石井監督の書いたセリフはすべて頭に叩き込まれて現場にきているので、そのプロ根性たるや現場スタッフもみな驚くばかりです。現実問題この題材をうまくこなせるのは、日本の若手俳優でも柄本佑さんしかいないでしょう。ラッシュも見ても監督はじめスタッフは佑さんの演技がお客さんをぐいぐいこの不思議な世界に引っ張って行ってくれるであろうことを確信するばかりなのでした。
  ココネは2012年ブレイク必至のグラビアアイドル!と騒がれた佐々木心音さんです。その峰不二子ばりのボディ、イメージDVDの好調さとは裏腹に、実は小さな舞台で場数をこなしているれっきとした女優さんです。グラビアよりも女優の志向がもともと強い彼女にとって、脱ぐことはなんの抵抗もなかったようで、その美しいボディをさらす舞台として石井監督作品以上のものはないと思われます。ほんとうにその美しい肢体が画面いっぱいに石井隆のヌードアートとして炸裂しますので、ぜひご期待ください。

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執筆者

Yasuhiro Togawa