映画『奴隷市』SM文学の第一人者団鬼六先生最後の官能小説の映画化
2011年に世を去ったSM文学の巨匠団鬼六最後の官能小説「旅路の果て 〜倒錯一代女〜」(小説新潮掲載)を生前の団氏と長い交友歴をもつ愛染恭子(女優・映画監督)が入魂の映画化。映画のタイトルにも使われた「奴隷市」とはもともとはSM愛好家同士の自由な出会いの場を提供するために団氏が宴会などの余興として行っていたもの。
これは団氏への愛に満ちたオマージュであると同時に原作小説にも登場する「奴隷市」の模様を大胆にクローズアップして普遍的な男女の愛憎劇へと発展させた愛染監督の最高傑作である。その愛染監督の期待を一身に背負ってヒロインを演じたのは「新釈・四畳半襖の下張り」(2010)や「阿部定 〜最後の七日間〜」(2011)で同監督とコンビを組んできたセクシー女優ナンバーワンの麻美ゆま。
今回もその卓越した演技力と魅力で自らのうちに潜んだマゾヒズムに翻弄される妖艶な旅館の女将敏江を熱演。しかも初の緊縛挑戦とあって並々ならぬ覚悟で現場にのぞみ見事に愛染監督の期待に応えた。彼女にとっても女優としての最高傑作といる出来栄えだ。愛染恭子=麻美ゆま、新旧のエロス女王によるコラボ三部作の最後を飾る傑作官能映画の誕生である。
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執筆者
Yasuhiro Togawa