2011年—数々の映画賞を受賞し日本のみならず世界中を震撼させ、大ヒットを記録した『冷たい熱帯魚』(監督:園子温)。トロント国際映画祭を皮切りに、世界中の映画祭で上映されるや絶賛され、全米で大ヒットを記録し、ハリウッドリメイクが決定しているインドネシア映画『ザ・レイド』(10月27日公開/配給:角川映画)。猛毒エンターテインメント『冷たい熱帯魚』の製作者×世界で最も熱い注目を浴びているインドネシア映画界がタッグを組み、全世界の映画界を震撼させる新たなプロジェクトが動き出した。その名は『KILLERS』(キラーズ)。
東京とジャカルタを舞台にネットを通じて知り合った殺人鬼同士が交錯し、想像を絶する世界に我々、観客を導いていく。住む場所も環境も全く違う日本とインドネシアの殺人鬼がインターネットを通じ交流を始めるという斬新なアイデアを考えた日本×インドネシアの最強チームが、本作の監督に起用するのは、世界で注目されている若手クリエーター兄弟、モー・ブラザース。そしてこのクリエーターを高く評価している『ザ・レイド』の監督、ギャレス・エヴァンスが製作総指揮を務める。

そしてこの最強チームが主演の日本側殺人鬼に選んだのは、その強烈な個性と演技で国内外で高い評価を得ている北村一輝。この殺人鬼が誕生した暁には、『羊たちの沈黙』のレクターや『ダークナイト』のジョーカー、『冷たい熱帯魚』の村田幸雄など数多ある殺人者を凌駕すること間違いない。共演には巨匠・アッバス・キアロスタミ監督の『ライク・サムワン・イン・ラブ』で主演を射止め、2012年のカンヌ国際映画祭のコンペティションにノミネート、海外から熱い注目を集める女優の仲間入りを果たした高梨臨が北村一輝演ずる殺人鬼の心を唯一揺り動かす女性を演じ、その演技は海外の映画祭などから注目が集まりそうだ。

2013年——世界の映画界を震撼させる、新たな猛毒エンターテインメントが誕生する。

【北村一輝 コメント】
脚本を読んでの印象は、信じがたい世界の話しであり、正直始めは理解できませんでした。しかし、監督のプロフィールや過去の作品を見させていただき、映像の力を始めとする物凄い才能を見せつけられ、この監督とならクオリティの高い作品が作れると感じ、監督と打ち合わせしながらこの作品の意図を理解しました。
野村という“殺人鬼”は、これまで色々な映画に出てきた殺人鬼とは大きく異なり、行為に理由や欲、正義が存在していません。殺人というより「処刑」に近いもので、非人道的です。個人として野村という役柄に共感できる部分はありません。ですが俳優として色々な役を挑戦していきたいと思っている身としては、この役は是非演じてみたいと思いました。完成したら賛否両論はでるかもしれませんが(笑)。
今回は日本とインドネシアが舞台なので英語のセリフがあり、そのための英語の練習は相当しました。世界中に向けた作品ですので、日本だけに留まらず、海外のお客さんにも是非、観ていただきたいですね。とにかく完成がとても楽しみです。

北村一輝 プロフィール
99年に『皆月』(望月六郎監督)および『日本黒社会 LEY LINES』(三池崇史監督)でキネマ旬報・日本映画新人男優賞を受賞。その後も、『龍が如く 劇場版』(三池崇史監督)(07)やタランティーノ監督『キル・ビル』(03)、香港のジングル・マ監督の『極速天使 Speed Angel』(12)など国内外問わず多くの映画やTVドラマに出演。強烈な個性とその演技力は鮮烈な印象を残している。最新作は『テルマエ・ロマエ』(11)『妖怪人間ベム』(12)などがある。

【高梨 臨 コメント】
正直いままでこのようなジャンルの映画に出演したことはないですし、いったいどんな映画になるのだろう?と脚本を読んだときに思いました。怖いと思う部分もありましたが、それを超えるストーリーの面白さがあって、抵抗感はまったくありませんでした。
私が演じる役は北村さんの野村とは対象的に、色々なものは背負ってはいますが、とても人間的な普通の女性です。この映画では北村さんと私の役のやり取りがとても重要な位置を占めています。更に脚本が英語だったので、北村さんと日本語に変換したとき、どのような日本語が相応しいか何度も読み合わせを重ねながら決めて、より感情が入るように会話を作っていきました。
今年の5月、主演映画でカンヌ国際映画祭に参加させていただいたこともあり、今、海外に向けての作品をやりたいという気持ちがともて強いので、この作品でも世界中の人たちに発信していけたらと思っています。

高梨 臨 プロフィール
08年に『GOTH』で映画デビュー。『生きているものはいないのか』(石井岳龍監督/2012)『今日、恋をはじめます』(古澤健監督/2012)などの映画出演を始め、テレビ、舞台など幅広く活躍中。2012年にはカンヌ国際映画祭コンペティションに出品されたアッバス・キアロスタミ監督作品『ライク・サムワン・インラブ』(2012年9月15日公開)で主演を務め、海外からも今後の活躍が注目されている。

【監督:モー・ブラザース(ティモ・ジャヤント) コメント】
日本の俳優との仕事は素晴らしい経験です。彼らは立ち位置やタイミングのミスなど全くせず、正確な演技でこちらの期待に答えてくれます。さらに言語の壁からくる限界が当然ありますが、彼ら自身が演じる役の魅力的な一面・深みを生み出すことで、その限界を簡単に超えてくれました。話す言語は違いますが、創造力というのは真の世界共通語なのだと実感させてくれました。
北村さんは本当に素晴らしい俳優です。豊富な経験は圧倒的で、こちらが何を撮りたがっているのかをすぐに感じ取り、カメラの前で即座に、また完璧に実行してくれます。彼の細かい表情や動きは台本に書かれている以上のストーリーをキャラクターに授けてくれます。高梨さんは私にとって幸運の女神です。彼女の映画を見て、そして実際に撮影して、彼女がこの映画に無垢な純粋さやイノセンスなどとてつもない物を与えてくれていると感じました。彼女には女優として素晴らしい将来が待っていると思います。
この映画は、冷淡な社会と人間の倦怠が、どのように男をモンスターに変えてしまうのかを映し出しています。北村さん演じる野村と、バユは、その怪物の極致として描かれて、1人は正当化を微塵も必要としないようなモンスター、もう1人は正当化するための言い訳や理由を見つけようとするが、気付かぬうちに堕ちていくモンスターです。映画の中に絶望や暴力が多くあるかもしれません。地球がその回転を止めるまで終わり無く負の連鎖が続くのであれば、日常の暴力のように僕はそれを描かなければいけないと感じたからです。

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執筆者

Yasuhiro Togawa