軽快なジャズのリズムと華やかな演出で娯楽作品のヒットメーカーとして君臨した、監督・井上梅次。『職人監督』として日本の映画会社6社全てを渡り、徹底したサービス精神と早撮りの技術で娯楽映画を撮り続けた類いまれな監督です。また、代表作『嵐を呼ぶ男』で日活の大スター・石原裕次郎のタフガイな魅力を見い出し、スターダムにのしあげた娯楽映画界の仕掛人でもあります。
監督・井上梅次は「娯楽は楽しく、面白く」をモットーとし、ミステリー・喜劇・アクションなど幅広いジャンルの映画を手掛けました。どの作品も多くの観客を引き込む魅力にあふれ、時代を超えて評価される職人芸がそこにはあります。

今回ラピュタ阿佐ヶ谷では、そんな職人監督・井上梅次の作品群にスポットを当て特集を行います。
 日活初、コニカラ−作品の『緑はるかに』は女優・浅丘ルリ子のデビュー作品にして初主演作品であり、浅丘ルリ子扮する少女がスパイに狙われながら問題解決のため奮闘する姿をミュージカル仕立てで描いた冒険娯楽作となっております。また、東映が誇る大スター・高倉健を主役にヤクザ組織の抗争を描いた『暗黒街』シリーズは、ヤクザ同士の壮絶な死闘をハードボイルドタッチのアクション巨篇として仕上げた作品です。『雌が雄を喰い殺すかまきり』では、二十億の遺産相続をめぐり巻き起こる女たちのしたたかな駆け引きを、先の読めないスリリングなサスペンスタッチで描いてます。
 今回、『暗黒街シリーズ』全3篇と『太陽を抱け』をニュープリントとして迎え、井上イズム溢れる特選32作品を一挙上映致します。

特集上映『娯楽の達人監督・井上梅次の職人芸』
開催期間:2012年9月9日(日)〜11月3日(土)      
開催場所:ラピュタ阿佐ヶ谷
上映作品:『素晴しき男性』/『結婚期』/『宝石泥棒』/『勝利者』/『銀座っ子物語』
     『緑はるかに』/『夜霧の決闘』/『鷲と鷹』/『雌が雄を喰い殺す かまきり』/『犯罪作戦NO.1』
     『出獄の盃』『暗黒街最後の日』/『恋と涙の太陽』/『夜の牙』/『ジャズ娘乾杯!』
     『炎と掟』/『勝利と敗北』/『太陽を抱け』/『十七才の抵抗』/『暗黒街最大の決斗』
     『五人の突撃隊』/『黒蜥蜴』/『妻あり子あり友ありて』/『裏階段』/『暗号名 黒猫を追え!』
     『夜の熱帯魚』/『復讐の牙』/『嵐を呼ぶ楽団』/『暗黒街大通り』/『わたしを深く埋めて』
     『やくざの勲章』/『踊りたい夜』
 
入場料金:一般…1,200円
     シニア・学生…1,000円
     会員…800円
     ※水曜サービスデー…一般1,000円

執筆者

Yasuhiro Togawa