2011年、大阪市が助成するCO2(シネアスト・オーガニゼイション・大阪エキシビジョン)にて大阪市長賞(グランプリ)とCO2男優賞(主演・内村遥)をダブル受賞。

インターネットやSNSの発達により、コミュニケーションの形態は多様化している。ネット上にブログや日記を掲載し、それは他者が読むという前提で書かれている《日記》である。
これをモチーフに親子がお互いの日記を読み合うことでコミュニケーションを取るという物語を発想し、会話のない二人だけの家族、その日記のみでの交流をただ真摯に描きあげた。

・黒沢清監督(『トウキョウソナタ』、CO2審査員)
「ふとのぞき見した日記帳の中のささやかな異変・・・といった小ぶりな冒頭から始まるが、あれよあれよと密度を増して・・・最後に私はその圧倒的な分厚さに押し潰されそうになっていた。本当にこれが自主映画なのか。日本映画であることすらはるかに超越し、文学と演劇と映像とが何層にも重なった巨大な映画の山脈をなしているのだ。これをまだ30才そこそこの若者が作ったということが今でも信じられない」

・青山真治監督(『東京公園』)
「現代映画と現代演劇の出会いが生む新たな王道の誕生を『適切な距離』は高らかに宣言する。」

・向井康介(脚本家・『マイバックページ』)
物を語る行為に傾倒しすぎたあまり瞬間や偶然のエモーションを無くしてしまうようなことが作り手にはしばしばあるけれど、大江監督は実に巧くバランスをとる。その色気は前作「美しい術」を経てますます洗練されたよう。母と子の断絶と交譲を適温で見つめる目。撮影の功績も大きい。久々に見返したいと思った映画だ。

2012年9/1(土)〜14(金)新宿 K’ s cinema にて連日21:00よりレイトショー !!!

予告編::http://youtu.be/cAIXUh1SJUM

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執筆者

Yasuhiro Togawa