このたび、アニメーション作家・山村浩二氏が〝日本映画の芸術文化の発展に甚大なる功績を残した個人又は団体、映画を通じての国際交流に顕著な功績を残した個人又は団体に贈られる〝川喜多賞″を受賞することが決定いたしました。

【業績並びに受賞理由】
 アニメーションの独自性を一貫して追求、2002年『頭山』でアヌシー、ザグレブ、広島、2007年『カフカ 田舎医者』でオタワ、広島と世界四大アニメーション映画祭でのグランプリ受賞、2011年『マイブリッジの糸』ではカナダ国立映画制作庁(NFB)との共同制作などで、世界的な注目の的となっているアニメーション作家。
手描き、クレイ、写真によるイマジネーションの視覚化、セリフやナレーションに浪曲や狂言を導入した意表をつくテクニック、デリケートでユーモラス、シャープで斬新でありながら、観客の心を打つ表現が高く評価されている。
そのアニメーションへの徹底した献身は驚異的で、国際映画祭の審査員、国内外での講演、海外作家との交流や紹介、テレビ番組やCM制作、絵本画家、イラストレーターとしての多彩な業績も注目を呼ぶ。東京藝術大学大学院映像研究科教授、東京造形大学客員教授。

第30回川喜多賞受賞の決定によせて この度は、まだ若輩ながら、このような大きな賞をいただけること、大変名誉に感じるとともに、身の引き締まる思いです。これまで支えていただいた皆様あってのことと、深く感謝申し上げます。
 これまでの活動、特に短編アニメーション、インディペンデントでのアニメーション制作の分野が、国際的な映像文化交流の一助を担ってきたと評価いただいたことは、この上ない喜びです。
 短編アニメーションの制作環境や発表の状況は、劇映画に比べ大変小さい規模で、常に国際的な発表の場を求めて参りました。そして今もまだ発展の途上であり、この受賞が、短編アニメーション分野の未来への励みになれば幸いです。
 これからの活躍の期待を込めての賞ということで、今後も精進していく決意を新たに致しました。
 文末にて改めまして関係各位に心より御礼申し上げます。
2012年7月4日
山村浩二

【川喜多賞とは】
川喜多賞は、故川喜多長政・かしこ夫妻、川喜多和子と親娘二代が半世紀以上にわたる長い間、映画を通じて、国際間の友好を深め、理解を増すことに努めた業績を記念し創設されました。

【これまでの主な受賞者】
黒澤明 / 大島渚 / 淀川長治 / 三船敏郎 / 笠智衆 / 新藤兼人 / 今村昌平 / 市川崑 / 山田洋次 / 堀越謙三 / 鈴木清順 / 蓮實重彦 / 香川京子 / 野上照代 / 山形国際ドキュメンタリー映画祭

★贈賞式は毎年7月27日のかしこ前理事長の命日に開催されます。

執筆者

Yasuhiro Togawa