ユングとフロイト。
偉大なる心理学者の友情と決裂。
その背景には、美しい女性患者ザビーナとの禁断の関係が隠されていた・・・。

偉大なる心理学者ユングとフロイト。彼らの運命を変えた美しき女性患者ザビーナ。
三人の知られざる危険な関係を描く、深遠な人間ドラマ。

未だ多くの謎が残されている人間の“精神”という領域に果敢に挑み、その解明に生涯を捧げたジークムント・フロイトとカール・グスタフ・ユング。このふたりの偉人が残した革新的な精神分析の研究は、心理学や医学の世界に新たな光をもたらすにとどまらず、その後のあらゆるアートや思想など社会全般に多大な影響を与えた。1856年生まれのフロイトと1875年生まれのユングは、20世紀初頭に出会い、師弟のような友情を育んだが、その交流の日々は長く続かず決別の時を迎える。

『ヒストリー・オブ・バイオレンス』『イースタン・プロミス』の鬼才デヴィッド・クローネンバーグが、『つぐない』の名脚本家クリストファー・ハンプトンによる舞台劇を映画化した『危険なメソッド』は、若き日のユングを主人公にフロイトとの出会いから蜜月時代、そして決別までの軌跡をたどったヒューマン・ドラマである。これだけでも映画史に前例のないユニークな企画だが、本作がいっそう興味深いのは歴史上に実在したもうひとりの人物を登場させ、知られざる史実を探求していることだ。物語の重要な鍵を握るそのキャラクターとは、ユングの患者であり愛人でもあったロシア系ユダヤ人女性ザビーナ・シュピールライン。この美しくも聡明で、過激な情動を内に秘めた“運命の女”の存在にスポットを当て、禁断のトライアングルで結ばれたユング、フロイトとの関係性をドラマチックかつスリリングに映し出す。 

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執筆者

Yasuhiro Togawa