『短い記憶』は、刺激的なストーリーや派手なビジュアル、トップスターの起用が一切ないにもかかわらず、その確かなストーリーと構成で、商業映画ではなかなか味わうことのできない深い感動を届けてくれる映画だ。かつて放送局のドキュメンタリー番組のディレクターとして各地を奔走していたミン・ヨングン監督は、ドキュメンタリー制作を通じて培った豊かな経験を映画のモチーフへと昇華させ、青少年の初恋、未婚の母、動物遺棄といった一般的かつ社会的なテーマのなかに、ありがちな恋愛映画や青春映画とは一線を画した輝きを放つ登場人物とストーリーを配置させた。

こうした‘ストーリーの力’は、製作段階から早くも韓国映画人たちを惹きつけ、ソウル映像委員会、映画振興委員会に加え、『牛の鈴音』のイ・チュンリョル監督とコ・ヨンジェプロデューサーの投資と支援も決定し、映画の製作がスタートすることとなった。その後、今や東アジアを代表する映画祭となった釜山映画祭からのポスプロ支援も決定した。

2012年6月9日(土)より全国のコロナシネマワールドほかにて順次公開

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執筆者

Yasuhiro Togawa