白尾一博監督『ドキュメント灰野敬二』が完成し、シアターN渋谷にて公開する運びとなりました。本日5月28日(月)20時に公式HPにて予告編が解禁!!

轟きわたる静寂 優しすぎる轟音 灰野敬二 音楽を語る

 灰野敬二が作り出す<音>は、何故、聴くものすべての心臓を射抜き、戸惑わせてしまう力をもつのか?七〇年代から現代に至るまでの四十年、高度経済成長、政治の季節を経て、曖昧模糊とした不確かな時代へと移り変わる中、頑なに自らの道を突き進んできた灰野敬二の生き方は、世界中の表現者たちに影響を与え続けている。だが、その存在は依然として大いなる謎として闇に包まれている。永遠と瞬間の刹那に生きる灰野敬二に向き合う時、私たちの体に隠されていた無数の<音>たちが静かに激しく呼覚まされるだろう…
人間の記号を捨てて、魂っていう暗号になれ

可能性と不可能性の間で揺らぐ灰野敬二の混沌とした世界が、今ここに初めて立ち現わる。一瞬一瞬の消えゆく音を無限へと希求する灰野の祈りにも似た音楽は、如何にして生まれ得たか。音楽に一生を捧げた男の孤高の肖像を記録した白尾一博監督、渾身の一作だ。

灰野敬二とは—————————
1952年千葉県中山町(現市川市)生まれ。1971年即興演奏グループ「ロストアラーフ」にボーカリストとして参加。73年には自らギターを持ちソロ活動を始める。彼のロックに対する美学を徹底した長髪にサングラス、全身真っ黒い服装という独特で印象的な外見と、アルコール・煙草を一切摂取せず、菜食主義というストイックで求道的な音楽への姿勢は日本のアンダーグラウンド音楽界のなかで重要なポジションを築いていった。80年代前半、フリーミュージックのフレッド・フリスとセッションを行い、さらに81年には初の海外公演を行う。また国内でもロックに限らず、フリージャズ、現代音楽、舞踏などジャンルを超えた多岐に渡るアーティストとセッションを重ね、多方面でその特異な存在が注目を浴びるようになる。ニューヨークのフリージャズの重要人物であるジョン・ゾーンや同じくニューヨークのオルタナティブロックを代表するバンド、ソニック・ユースなどから絶大な支持を受け、数多くの海外公演を行う。以降、灰野のパフォーマンスに魅了された国内外のアーティストからの競演を希望するオファーは後を絶たない。81年のデビューアルバム「わたしだけ?」以降、現在まで参加し、発売されたCD・レコードは優に100タイトルを越える。還暦を迎える現在でも、常にこれまでにはない新しい音楽表現に挑戦する彼の演奏は、日本のみならず世界のリスナーを唯一無比な世界に導いている。

≪公開記念イベント『ドキュメント灰野敬二』前夜祭、開催決定!!!≫
日時 : 2012年6月16日(土)  open18:30 / start19:00
場所 : 高円寺HIGH http://koenji-high.com/
チケット : adv \3000 / door \3500 (5月22日より高円寺HIGH、裏窓店頭にて発売)
出演 : 七尾旅人、MERZBOW、ジム・オルーク&石橋英子、灰野敬二/不失者
お問い合わせ : 裏窓 http://www.geocities.jp/uramado_record/

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執筆者

Yasuhiro Togawa