来る2012年に日活株式会社は創立100周年を迎えます。これを記念いたしまして、文化の発信地であるN.Y.のリンカーン・センターでの約1ヶ月間に亘る日活作品特集上映を皮切りに、パリ、ナント、そしてヨーロッパ、北米、アジア各国を1年をかけて巡回上映する運びとなりました。未だかつて例を見ないスケールの日本映画回顧上映となります。

■ニューヨーク、ナント、パリ、東京。
 日活創立100周年特集上映会場の4者がカンヌに結集しました!

「日活が作り続けてきた数々の傑作を世界中に見てもらう最高の機会」として、ニューヨーク、リンカーン・センターを皮切りに始まるこの壮大なプロジェクトが立ち上がりました。
そして、このプロジェクトを発表するのに一番ふさわしい場所としてカンヌを選んだのです。

■リンカーン・センター 特集上映概要

記念すべき年を迎えるにあたり、世界で最も権威ある総合文化施設リンカーン・センターにて、2011年10月から約1ヶ月間、日活作品の特集上映を開催致すこととなりました。
上映作品は、日本でも滅多に見ることができない1920年代の貴重な作品から近年の大ヒット作まで、約40本を揃えました。その中には、弊社が100周年記念事業として取り組む『幕末太陽傳』(1957年・川島雄三監督)のデジタル修復版も含まれております。カンヌ映画祭で二度のパルム・ドールに輝く巨匠・今村昌平監督が脚本・助監督をつとめた、日本映画史上の傑作として名高い作品です。今回、最新のデジタル技術を駆使して映像修復することになり、その世界初のお披露目をリンカーン・センターにて行います。そして2012年正月、テアトル新宿ほかにて劇場公開します。
弊社は、国立近代美術館フィルムセンターと国際交流基金の全面協力を得て、世界が大注目するこのプロジェクトを盛り上げて参ります。日本で最も古い映画会社である弊社の初の試みとなるこのワールドツアーは、日本映画の歴史を世界に紹介する絶好の機会となるでしょう。

■シネマテーク・フランセーズ、ナント三大陸映画祭 特集上映概要

ニューヨークのリンカーン・センターから始まる巡回上映は、2011年11月にはフランスのナント三大陸映画祭、12月には同じくフランス・パリのシネマテーク・フランセーズでの上映へと続きます。
ナントでは25本、シネマテーク・フランセーズでは40本もの作品の上映を予定しており、日本の邦画会社としては例を見ない規模でのイベントとなります。またこの特集上映については既に他のヨーロッパの映画祭からも多数のオファーが寄せられており、日活作品はこの後も世界を巡回していきます。

■上映会場について
◇リンカーン・センター
 ニューヨークにありメトロポリタン歌劇場やジュリアード音楽院などを擁する、世界で最も権威ある
 総合芸術施設。創立以来、あらゆる分野において文化の発信地であり続けている。

◇シネマテーク・フランセーズ
 パリにある世界最古のシネマテーク。世界各国の映画を4万本以上所有し、映画遺産の保存・修復に
 貢献している。

◇三大陸映画祭
 フランスの文化都市、ナントで毎年開催される映画祭。ヨーロッパにアジア・アフリカ・ラテンアメ
 リカの文化を紹介すべく、上映作品はこの三大陸の作品に特化している。

■上映会場からのコメント
◇リンカーン・センター(ニューヨーク)  Film Society of Lincoln Center
                    —プログラム・ディレクター リチャード・ペーニャ氏
日本のスタジオの歴史を追うことで、私たちは日本映画の歩みを理解することができます。日活には他にない魅力的な歴史があり、彼らの作品は20世紀の日本の慌しい変化を物語っています。私たちは日活100周年記念上映に関われることを嬉しく思い、素晴らしい作品や監督を観客の皆様にご紹介できることを誇りに思っております。                  
     
◇シネマテーク・フランセーズ(パリ)  The Cinematheque Francaise
                    —プログラムディレクター ジャン=フランソワ・ロジェ氏
シネマテーク・フランセーズは、ここに日活の100周年をお祝い申し上げます。
日本の最も誉れ高いプロダクションのひとつである日活が、100周年を迎えます。この年を祝すべく、我々シネマテーク・フランセーズは、2011年12月より、40作もの日活作品の回顧展を開催します。上映される全ての作品は、日活のスタイルと歴史を表すこととなるでしょう。偉大な巨匠たちによる作品やヒット作の上映をとおし、日活という会社の多様性を映し出します。
     
◇三大陸映画祭(ナント)  The Festival des 3 Continents
                    —ディレクター ジェローム・バロン氏
三大陸映画祭は、最も高名で歴史ある日本の映画スタジオ日活の100周年に、回顧展の開催を通じてお祝いの意を表します。
20本もの作品の上映を行うことにより、私たちは日活の豊かで時代そのものを映してきた歴史に目をむけ、また、多くの観客をこの貴重でまだ見ぬ発見へと、11月22日〜29日に開催されるナント三大陸映画祭にて誘います。                          
     
◇日活株式会社 Nikkatsu Corporation
                    —取締役 杉原晃史
日活株式会社は、来たる2012年に創立100周年を迎えられること、また、3300作品ものライブラリーの中から厳選した数十作品を世界的にも高名な上映施設であるリンカーン・センターやシネマテーク・フランセーズ、ナント三大陸映画祭にて上映をできることを大変誇りに思っております。
私たちはこれからも、本物のエンターテイメントを世界中の観客に送り届けて参ります。

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<上映作品(予定)>
『鴛鴦歌合戦』(マキノ正博監督/1939年)
『洲崎パラダイス 赤信号』(川島雄三監督/1956年)
『豚と軍艦』(今村昌平監督/1961年)
『東京流れ者』(鈴木清順監督/1966年)
『四畳半襖の裏張り』(神代辰巳監督/1973年)
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この企画は日活作品のみならず、今後、新旧の日本映画を世界にアピールしていくための好機となります。

執筆者

Yasuhiro Togawa