この度、東日本大震災により被災や負傷をされた皆様へ心よりお見舞い申し上げるとともに、
犠牲になられた方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
また、皆様方のご無事と、一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。
そして日々復旧にあたられているあらゆる皆様に、感謝と尊敬の意を表します。

この映画『のぼうの城』を公開延期するにあたり、その判断をした理由を改めてお伝えいたします。
本作は、戦国時代の史実を基にした作品であり、エンタテイメント作品です。
映画は、当初の予定通り、2011年6月に完成予定で進めております。
物語は、天下統一を目指す豊臣2万の大軍に攻め込まれ、
それに対したった500人の軍で抗戦することになった
武州・忍城(ぶしゅう・おしじょう)が舞台となっています。
その忍城の、でくのぼう=”のぼう様”という人間力に優れた総大将が
田と城を守るため立ち上がり、武将から農民までが一致団結、
絶体絶命な状況になっても互いを信じ、力を合わせ立ち向かいます。
これは、400年も昔の史実を基にしながらも、何事にも屈しないという日本人の底力と、
危機的状況下で必要とされるリーダーシップや人間力が描かれています。

一方本作には、豊臣秀吉の命を受けた石田三成による戦略の一つとしての「水攻め」
(攻め落とす城を巨大な土塀で囲み、そこに川や海から引き込んだ水を流し込む戦術)が
迫力ある映像で描かれております。これは史実であり、「水攻め」は数ある戦略の中の1つです。
しかし、この「水攻め」の表現は、この時節柄上映するには
相応しくない描写ではないかという観点から協議を重ねてまいりました。
その上で最終的に、関係各位協議・合意の上、公開の延期を決定致しました。

公開は2012年秋となりますが、我々は今後の復興に向けて、
映画を通して「夢」や「感動」をお届けし、「未来への明るい希望」を
少しでも感じていただくことが使命と考えます。
2012年の公開の際に、今より一層、『のぼうの城』がその一助となれますことを切に願っております。

『のぼうの城』
製作委員会幹事  株式会社TBSテレビ
共同配給     アスミック・エース エンタテインメント株式会社
東宝株式会社

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執筆者

Yasuhiro Togawa