美ら海水族館で有名な沖縄県本部町(もとぶちょう)にある、全てが無料の音楽スタジオ、「あじさい音楽村」。数多くのプロアーティストを輩出し、現在も音楽を目指す多くの若者達が集うこのスタジオは、現地で小さな弁当屋「あじさい弁当」を営んでいた仲宗根陽(なかそねひかる)さんが、1998年に、夢を持つ高校生たちを応援したい一心で、借金をして手作りしました。数年後、仲宗根さんは志半ばで病に倒れます。余命を知りながらも懸命に若者を信じ愛し続けた仲宗根さんと、まるで父親のような彼を“ニイニイ”と呼んで慕い、音楽以上に大切な、“生きること”や“夢を追いかけること”を教えられる若者たち。『天国からのエール』は、この感動の実話の映画化です。仲宗根陽さんをモデルにした主人公・大城陽役に、阿部寛を迎え、『ゼロの焦点』などで犬童一心監督作品で助監督として経験を積んだ熊澤誓人が、初メガホンをとります。既に実際の「あじさい音楽村」がある本部町でのオールロケを終え完成、3月27日(日)に第3回沖縄国際映画祭で上映され、10月に全国公開いたします。

このたび、本作の主題歌に、実際に仲宗根氏の教えを受け、沖縄県の「あじさい音楽村」で育ったガールズバンド、ステレオポニーの書き下ろし楽曲「ありがとう」が決定いたしました。

中学生の頃「あじさい音楽村」に憧れて、県外から本部高校を受験、仲宗根氏に身元引受人となってもらい、仲宗根氏と暮らしながら練習を積んだNOHANA(ベース)。「あじさい音楽村」のアーティストのライブの常連で、観客の立場から仲宗根氏にスカウトされた、AIMI(ヴォーカル)。AIMIのクラスメイトだったSHIHO(ドラム)。「あじさい音楽村」で結成されたバンド“ステレオポニー”は、父親のように慕う仲宗根氏の優しさと叱咤激励に支えられ、2008年11月に、遂にメジャーデビューを果たしました。
ステレオポニーのデビューから間もない2009年11月、仲宗根氏は腎臓がんでこの世を去りました。それからほどなくして、仲宗根氏と「あじさい音楽村」のエピソードが映画化されることが決定し、主題歌に、「リアルに勝る感動はない」と、仲宗根氏ともっとも関わりが深いアーティスト“ステレオポニー”が抜擢されました。
 
 若者を叱れる大人がいない時代。若者が夢を持てない社会。仲宗根さんの厳しい優しさを一身に受け、信じれば願いはかなうと教えられ、今も大きな夢に向かって階段を昇り続けるステレオポニーが、今は亡き仲宗根さんへの言葉にならない“感謝”の気持ちを書き下ろした「ありがとう」。嘘ひとつないありのままの歌詞、切なくも前向きな力強さを感じさせるメロディが、映画のエンディングに“真実の感動”を与えています。

★ステレオポニー コメント
私達ステレオポニーの人生を変えてくれ、「音楽」という夢を与えてくれたのがニイニイです。
この映画を観て、ニイニイに対する感謝の気持ちがまた涙となって溢れました。
『天国からのエール』という作品が現実と向き合う機会をくれて、私達が本当にニイニイに伝えたかったことをそのまま曲にしました。
ちゃんと言葉に出来たのか私達にもまだ分からないけど、それでもこの曲をニイニイが空の上で聴いてくれて、きっと笑っているんじゃないかなって信じています。

★監督:熊澤誓人 コメント
大切な人を想う気持ちが溢れている彼女達のまっすぐな歌声が自然と胸に響き渡り、いとおしさや優しさで涙がこぼれてしまう。
エンディング曲という範囲を飛び越えて、もはやひとつのシーンとなっている。

「あじさい音楽村」創設者◆仲宗根陽(なかそねひかる)
1967年1月21日沖縄県国頭郡本部町生まれ。高校を自主退学後、海上自衛隊に勤務。18歳で上京し運送会社を興す。10年後運送会社を手放し、故郷の本部町で「あじさい弁当」を始める。98年、弁当屋の地下に借金をして手作りの音楽スタジオ「あじさい音楽村」を創設。すべてが無料の音楽スタジオは高校生を中心に大人気となる。やがて、プロを目指す若者が増え、有限会社あじさいミュージックを設立。数々のアーティストをメジャーデビューさせる。2005年8月、腎臓がんと診断される。再発を繰り返しながら、08年1月に余命3カ月と宣告される。同年から本部町観光大使に就任。同年、「あじさい音楽村」の功績が認められ第1回沖縄タイムス地域貢献賞を受賞。2009年11月15日逝去。享年42歳。

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執筆者

Naomi Kanno