ティ・ジョイ配給にて10 月22 日(土)より九州一斉公開を予定している映画『ラーメン侍』が、去る3 月22日にクランクアップとなりました。

とんこつラーメン発祥の地といわれる福岡県久留米市で3 月1 日クランクインした映画『ラーメン侍』は、福岡市・久留米市を中心に多数の店舗を展開する人気ラーメン店「大砲ラーメン」のオーナーで、ラーメンフェスタの発案者でもある香月均氏が、地元誌に連載していた「初代熱風録」を元に映画化されました。九州が誇る食文化“とんこつラーメン”と“屋台”にまつわる悲喜こもごもの人間ドラマを、九州ならではの力強さと人情味たっぷりに描く物語です。

まだ日本が元気だった昭和40 年代の福岡。 屋台街でラーメン屋台を営む昇。時は流れ、不景気ですっかり活気をなくしてしまった街で父親の店を継ぐことになった息子・光。父と息子、2 つの時代の舞台となったのは、久留米市内の日吉市場をはじめ一番街や六角堂など。約3 週間にわたり久留米市近郊各所でオールロケされました。
最終日3 月22 日、まだ寒い冬空のもと行なわれたのは、物語のクライマックスともなる昇が自らの屋台を燃やすシーンの撮影。場所は、黄色い菜の花がちらほらと咲き始めた久留米市筑後川の河川敷。撮り直しのきかないシーンだけに、現場はいつにない緊張感に包まれました。父と息子、それぞれの生き様の象徴として登場する屋台は、この映画の魂とも言うべき存在。その屋台が20 分以上もの時間をかけ燃え尽きる様は、撮影の最後にふさわしい迫力で、それを見守る出演者とスタッフ一同が、映画と現実がクロスオーバーする不思議な感覚に包まれました。

また、撮影半ば起こった東日本大震災のニュースは現場にも大きな衝撃を与えました。映画の出演者、撮影スタッフのほとんどが東京から来ていたからです。甚大な被害を伝える日々のニュースに心を痛めながらも、粛々と撮影は続行。
それぞれの複雑な想いを胸に秘めつつ、なんとか映画も無事クランクアップを迎えることができました。
「こんな大変な時に映画なんか撮っていてもいいのか?と自問した瞬間もあります。ですが、被災地の福島に住む知人からもらった“撮影頑張ってください”というメールに力づけられた。こんな時期に撮影した映画だからこそ、観る人を元気にする映画にしたい」と瀬木直貴監督。「屋台には都会の居酒屋やレストランにはない人と人とのコミュニケーションがある。久留米に来て、初めて屋台の醍醐味を知りました。前半で息子・光、後半で父親・昇を演じ分けるのは大変でしたが、監督とスタッフに支えられ何とか演じきることができました」と主演の渡辺大。また、昇の妻で光の母親である嘉子を1 人で演じた地元・福岡出身の山口紗弥加は、「1つの作品で一人の役を18〜53 歳まで演じたのは初めて。特に渡辺さんとは前半、母と息子、後半、妻と夫と関係性も変わるので気持ちを切り替えるのが大変でした。脚本を読み、一杯のラーメンからこんなに豊かなドラマが生まれるのか、と感動しました。とんこつスープのように味わい深い、濃厚な映画になると思います」と話してくれました。

10 月22 日(土) T・ジョイ博多、T・ジョイ久留米ほか九州一斉公開

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執筆者

Naomi KannoNaomi Kanno