12月18日(土)より公開中の映画『海炭市叙景』(かいたんしじょけい)が、2010年松本CINEMAセレクト・アワード 最優秀映画賞を受賞。また、21日には、第25回高崎映画祭特別賞の受賞が発表されました。
2010年松本CINEMAセレクト・アワードは、特定非営利活動法人コミュニティシネマ松本CINEMAセレクトが、毎年映画の未来を感じる作品に対して贈っている賞。 今年は、『海炭市叙景』の製作に関わった熊切和嘉監督始め、函館市民、スタッフ、キャストなどすべての方々に対して賞が贈られました。

授与理由としては、市民が単にエキストラ出演や撮影協力をするだけでなく、思想・信条に依らずに製作資金集めまで行うという真の意味での「市民参加型の映画づくり」をした、日本映画史上極めて希有な試みである点がまず挙げられ、映画づくりを通して地方都市を活性化し、地方から文化を発信していこうとする全国の地方都市にとって先駆的なモデルとなっている点、さらには、完成した映画が単に函館市民の映画ではなく、国境を越えた世界中の映画市民の映画となっている点が、評価されました。

また、21日(火)には、第25回高崎映画祭の受賞作品が発表され、『海炭市叙景』は特別賞を受賞。特別賞は熊切和嘉監督、キャスト、関係者一同に対しての賞となります。
高崎映画祭は、市民有志のボランティア団体である高崎映画祭事務局によって運営されている映画祭。1987年に地元の映画ファンが中心となって始まり、昨今では地域づくりの一つの担い手としての役割りも果たすようになってきている。今年のその他の受賞作は、最優秀作品賞に「ヘヴンズストーリー」(瀬々敬久 監督)、最優秀監督賞に「ヒーローショー」(井筒和幸 監督)、「ゲゲゲの女房」(鈴木卓爾監督)など。映画祭は、2011年3月26日から4月10日にかけて開催される。

どちらの賞も、企業や自治体ではなく、市民の取り組みで成り立っている賞であり、函館市民有志の力によって完成した映画『海炭市叙景』にとっては、市民の取り組みから市民の取り組みへ贈られた、とても喜ばしい受賞となりました。

<補足>
【2010年松本CINEMAセレクト・アワード 最優秀映画賞 授与理由】

『海炭市叙景』は、函館出身の作家・佐藤泰志による函館をモデルとした同名小説を、函館ロケで映画化したいという函館市民有志を中心とする「市民参加型の映画づくり」によって完成した2010年の日本映画を代表する作品です。
テレビ局が製作に大きく関与し、テレビでの連日の宣伝を通して観客を動員しようとする映画が幅をきかせる現代の日本映画界において、『海炭市叙景』が実践した、市民が単にエキストラ出演や撮影協力をするだけでなく、思想・信条に依らずに製作資金集めまで行うという真の意味での「市民参加型の映画づくり」は、日本映画史上極めて希有な試みです。
また、函館生まれの作家による函館をモデルとした小説を函館ロケで映画にするという点で函館という一地方都市に徹底してこだわりながら、映画づくりを通して地方都市を活性化し、地方から文化を発信していこうとする全国の地方都市にとって先駆的なモデルとなっている点、さらには、完成した映画が単に函館市民の映画ではなく、国境を越えた世界中の映画市民の映画となっている点も、特筆に値するでしょ う。
2006年よりNPO法人として松本という一地方都市において「コミュニテイシネマ(公共上映)活動」を行っている「松本CINEMAセレクト」市民スタッフ一同から、心からの敬意と賞賛の意を込め「2010年セレクト・アワード最優秀作品賞」を『海炭市叙景』の製作に関わった、熊切和嘉監督始め、函館市民、製作スタッフ、キャストなどすべての方々に授与いたします。

特定非営利活動法人コミュニティシネマ松本CINEMAセレクト                      2010年12月17日

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執筆者

Yasuhiro Togawa