日本で生まれ育ち、黒澤明作品、宮崎駿作品をはじめ多くの邦画の英語字幕を手掛けてきたアメリカ人
リンダ・ホーグランドが初監督を務めたドキュメンタリー映画『ANPO』。トロント映画祭にも招待され、NYドキュメンタリー映画祭では上映時立ち見も出た本作は”基地問題”が緊迫する今、60年安保を知る朝倉摂や横尾忠則などのアーティストの作品と証言を通して、日米関係の問い直しを日本人に迫る。

現在アップリンクにて公開中の『ANPO』監督のリンダ・ホーグランドがNYより来日し、プライベートでも親交が厚いという西川美和監督とのトークイベントを開催。気づけば戦争も、安保も、高度経済成長も終わっていたと語る70年世代の西川監督と小学生の時に60年代を過ごしたリンダ・ホーグランド。プレイべートでも仲が良いという2人が国境、年代をこえて2つの国のあり方を問い直す安保50周年締めくくりのトークショー。

■ リンダ・ホーグランド
日本で生まれ、山口と愛媛で宣教師の娘として育った。日本の公立の小中学校に通い、アメリカのエール大学を卒業。2007年に日本で公開された映画『TOKKO-特攻-』では、プロデューサーを務め、旧特攻隊員の真相を追求した。黒沢明、宮崎駿、深作欣二、大島渚、阪本順治、是枝裕和、黒沢清、西川美和等の監督の映画200本以上の英語字幕を制作している。

■ 西川美和
1974年、広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学在学中より、映画『ワンダフルライフ』(是枝裕和監督)にフリーのスタッフとして参加。以後、様々な日本映画の現場で活動したのち、2002年『蛇イチゴ』でオリジナル脚本・監督デビューを果たし、毎日映画コンクール・脚本賞のほか国内の映画新人賞を獲得。2006年、長編第2作目の『ゆれる』が第59回カンヌ国際映画祭監督週間に正式出品され、毎日映画コンクール(日本映画大賞ほか)、ブルーリボン賞(監督賞ほか)、読売文学賞(戯曲・シナリオ賞)など数々の映画賞を受賞。
2009年、最新作『ディア・ドクター』が公開となり、報知映画賞(監督賞ほか)、日刊スポーツ映画大賞(作品賞ほか)、キネマ旬報ベスト・テンの日本映画第1位をはじめ映画各賞を受賞した。

開催概要
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「西川美和監督 ×リンダ・ホーグランド監督による『ANPO』トークショー」
出演:西川美和(映画監督) ×リンダ・ホーグランド(『ANPO』監督)
日時:12/21(火)
開場:18時30分
開映:19時00分
トーク:20時30分〜
会場:渋谷アップリンク・ファクトリー
料金:一律1,500円(予約できます) ※ 割引と特別鑑賞券は当イベントではお使いいただけません。
UPLINK FACTORYイベントページ
http://www.uplink.co.jp/factory/log/003783.php

<西川美和監督『ANPO』へのコメント>
私なんかはすべてをあきらめた世代だ。気づけば、戦争も、安保も、高度経済成長も、何もかも既に片が付き、そして敗れていた。闘う相手もわからず、結託する仲間もおらず、過去やアメリカに対して無感覚でいるしか自分の世代や生活を正当化できない。いや、しかし。こんなていたらくになることこそが、奴らの狙いだったのではないか?お前ら、思うツボになっていないか。娼婦でいいのか。ヒモでいいのかよ。映し出される芸術作品の断片の強烈な圧力に迫られて、どちらの国の国民も、脂汗をかかずにすむ者はいないだろう。日本(娼婦)とアメリカ(ヒモ)。そのはざまに生まれ落ちたリンダ・ホーグランドの静かで燃えるような、祈りの結実である。

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa