キノフィルムズでは、第一回監督作品『カクト』(03)で国内外から高い評価を受けた伊勢谷友介の二作目の監督作品となる『セイジ−陸の魚−』を企画・製作をし、先日撮影が無事終了致しました。

 自分はどこから来て、どこへ向かうのか・・・。誰もが経験する、若さゆえの自分探しの旅と、その記憶。
美しい自然の映像と、苦い現実が交差する中、人が人を癒すことの難しさを描いた原作小説に感銘を受けた伊勢谷監督が、5年の月日をかけ、手がけた静かな感動を呼ぶ人間ドラマとなっております。様々な役柄を演じる俳優業の傍ら、時間を作っては自ら共同で脚本を開発し、少しずつ改良を加えながら、2010年9月にクランクイン、10月中旬に無事クランクアップを致しました。8年ぶりのメガホンを握ることになった伊勢谷監督から、原作に対する想いと、監督業に対する現在の考え方のコメントを頂きました。

伊勢谷友介監督 コメント
原作に対する想い・・・原作の登場人物の中の、ある老人の台詞で、「人間は或る意味じゃ鈍感だからやってい
けるんだろう。だからこそ社会というものも成り立っていけるんだろうと思う。みえすぎる目で眺めてみると、この社会なんてのは汚れと欺瞞のカタマリなのかも知れない。(中略)ただ同時に鈍感な者には見えないキレイなもの、ウツクシイものも、またそこには見えてくる事も有るだろう。それは逆に大変な幸福だということも言えるかも知れない」というものがありました。これらの言葉は大切なことを内包していて、とても深く胸に突き刺さります。そして主人公である「セイジ」と言う人物の行動に今現在の自分自身のテーマを大きく重ね合わせる事が出来たので、そのことが大きな原動力になりました。

監督業に対する考え・・・監督業も、リバース・プロジェクトも、俳優も、与えられた時間の中で、出来る事をやっていきたい。そう言う意味では、どの事も僕自身です。それぞれ特性の異なるポジションである事は間違い有りませんがどれも自分自身の異なる「感覚」を使えるので飽き症の僕にとっては、とても良い刺激になっています。監督業と俳優業で得た刺激は、相互へのモチベーションになりリバース・プロジェクトを加えて、また更に次の展開へ繋がっていく。これからも自分が出来る事の中で、活動していきたいと思っています。

2011年全国公開予定
企画・製作:キノフィルムズ  配給:ギャガ+キノフィルムズ

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執筆者

Yasuhiro Togawa