“お産”を通して「人が生きる」「命が生まれる」ことを追った
河瀬直美監督作品『玄牝-げんぴん-』

この度、スペインで開催された第58回サンセバスチャン国際映画祭コンペティション部門に出品された河瀬直美監督最新作ドキュメンタリー『玄牝-げんぴん-』が国際批評家連盟賞を受賞いたしました。本映画祭にて同賞の受賞は、日本映画として<12年ぶり>の快挙となります!

スペインの避暑地として知られているサンセバスチャンを開催地として、スペイン語圏で最も歴史と名声のある映画祭(第58回である本年度は9/17(金)〜9/25(土)開催)。FIAPF(国際映画製作者連盟)の認定する世界12大映画祭の1つで、ヨーロッパでは名門映画祭として知られています。2008年には是枝裕和監督『歩いても歩いても』がスペイン脚本家協会賞を授賞。また、1998年には蓮實重彦氏と山根貞男氏によるレトロスペクティブ「成瀬巳喜男」特集、2008年には日本のフィルム・ノワール映画の特集上映があり、43作品が上映されています。

<国際批評家連盟賞>は、映画祭が選定する賞ではなく映画批評家の国際組織が選び、(写真:河瀬監督と批評家連盟の審査委員長で、スウェーデンのジャーナリスト、ジム・ルンムホルド氏)
コンペティション部門に出品されている作品が対象となります。大賞であるゴールデンシェルは惜しくも逃しましたが、コンペ部門計15本から選ばれたのが『玄牝-げんぴん-』でした。コンペティション部門だけでなく、本年度日本から出品された映画は『玄牝-げんぴん-』のみ。9月22日(水)に行われた『玄牝-げんぴん-』公式上映では、1300人の大会場がほぼ満席となり、上映後エンドロールが始まるやいなや歓声と拍手が鳴り始め、上映終了後には観客によってつくられた花道に河瀬監督が迎えられるという大変珍しい光景がみられました。

●河瀬直美監督 受賞後のコメント「作家としていただく賞としてとても嬉しいです。各国のたくさんの映画を見ているジャーナリストたちの目で選ばれることは、ものをつくる人間としてこの上ない喜びです。人間の深い部分に届く映画であると評価されたことが本当に嬉しい」

●批評家連盟の審査委員長:スウェーデンのジャーナリスト、ジム・ルンムホルド氏のコメント「15本の対象作品の中からすぐ2本に絞られた。最後まで2本は拮抗したが、外にでて外の空気を吸い再度話合ったところ、全員一致で『玄牝-げんぴん-』に決定。選定者は、男性3人と女性2人。男女問わずすべての人に届く人間の深い部分を描いた作品であることが選考の大きな理由。男性にもきちんと伝わるものだった」

『玄牝-げんぴん-』は11/6(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開されます

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執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro TogawaYasuhiro TogawaYasuhiro Togawa