8月26日から29日までの4日間、東京都品川区の原美術館で行われるイベント『BLANK MUSEUM』が開幕、26日は映画作家ケネス・アンガーの作品上映、そして灰野敬二とジム・オルークによるライブ・パフォーマンスが行われました。

原美術館の休館日だからこそ、からっぽの空間を味わってほしいというコンセプトで企画されたこのイベント。開演まではイサムノグチや宮島達男、奈良美智といったアーティストによる常設展示を楽しむ時間として設定されており、さらに会期中は大石麻央による動物マスクの人体彫刻が入り口や館内、そして庭に設置。残暑のなかの清涼剤のような〈何もない空間を楽しむ〉という時間をそれぞれに楽しもうという観客が、開場時より多数訪れました。

その後、館内のギャラリーそしてホール計5つのスペースを使って映画作家、ケネス・アンガーの上映が行われました。いまなお強い影響をクリエイターそしてアーティストたちに与えるアンダーグラウンド映画の巨匠による強烈な映像世界を一挙に堪能できる映像作品の回顧展とあって、ギャラリーに入りきれないほどの観客が参加し、食い入るように映像に見入っていました。60年代の伝説的作品『スコピオ・ライジング』と2000年代に入ってからの短編『マン・ウィー・ウォント・ハング』が同じギャラリーでプログラムされていたように、彼の作風である新旧の呪術的な世界を同時に観ることで、あらためてケネス・アンガーという作家の異様なまでの存在感を感じることのできる上映会となりました。

照明家として数々の映画や舞台を手がける仲西祐介によるライティングが暮れゆく原美術館を紫と青に染めていくなか、灰野敬二とジム・オルークがステージとなるカフェに登場。庭の芝生に座ったオーディエンスを前に、ライブがスタート。灰野はハーディ・ガーディ、そしてジムはライブでは初となるガット・ギターを用いてのパフォーマンスで、灰野のプリミティブとさえいえる音にジムが現代的なセンスとコード感で切り込んでいくアンサンブルは、オーディエンスを魅了しました。

ケネス・アンガーと灰野そしてジムのアートに対する真摯かつフェティッシュな指向が一致し、奇跡的な美しさを放ってBLANK MUSEUMの第一目は終了しました。
BLANK MUSEUMは29日(日)まで開催中で、デレク・ジャーマンの『BLUE』をテーマに渋谷慶一郎そして相対性理論のやくしまるえつこが出演する『BLUE NIGHT』は、当日券の発売が朝11時に発表されるほか、28日(土)と29日(日)に羊をナビゲーターに多彩なアーティストによるパフォーマンスやライブがひとつのタイムラインの上で繰り広げられる『LOOKING FOR THE SHEEP』は当日券の発売が決定しています。

【前売券の販売について】
前売券のアップリンク店頭での販売は各イベント前日の22:00まで販売しております。
イープラスでの前売券の販売はそれぞれの日程の前々日の18:00までです。
またBLANK MUSEUM開催中の原美術館では翌日以降の前売券を販売しております。
8/27(金)BLUE NIGHT ※イープラスでの販売を終了いたしました
8/28(土)LOOKING FOR THE SHEEP day1 ※イープラスでの販売を終了いたしました。
8/29(日)LOOKING FOR THE SHEEP day2=8/27(金)18:00まで販売中です。

【当日券の販売について】
雨天・晴天に関わらず28(土)、29(日)は13:00より販売いたします。
27(金)BLUE NIGHTは晴天の場合のみ、15:00より若干数を販売いたします。当日11時にtwitterにて発売の有無を告知いたします。

詳しくはhttp://www.webdice.jp/blankmuseum/まで

『BLANK MUSEUM』とは
なにも展示してない原美術館の休館日に行われる音楽と映像とパフォーマンスといったオールジャンルをクロスさせたイベント。

1938年に竣工された邸宅を79年に改装し開館した原美術館。その美術館の展示室と廊下、階段、屋上など館内全てと緑の芝生の庭を使用して行う4日間、1日300人限定のイベントです。訪れた観客はイベントと同時に美術館の常設展示作品である宮島達男、森村泰昌、奈良美智など現代アーティストたちの作品を見る事もできます。

8月26日はケネス・アンガー作品上映+ライブの『LUCIFER NIGHT』、27日は美術館全館をブルーに染めた中でのデレク・ジャーマンの『BLUE』上映とインスタレーションの『BLUE NIGHT』。28、29日は3組のパフォーマンスと4組のライブが庭と館内を使ってタイムライン上で交互に行われる『LOOKING FOR THE SHEEP』。観客がイベントを求めて美術館全館を歩き回るという演出で、案内役は一匹の“羊”です。

開催概要

『BLANK MUSEUM』
日程:2010年8月26日(木)〜29日(日)
時間:28、29日  16:30開場 / 17:30開演
    30、31日  14:30開場 / 15:30開演
料金:28、29日   前売2,800円 / 当日3,300円
30、31日 前売5,500円 / 当日6,000円
4daysパス13,000円(限定20枚 UPLINK WEBSHOPのみの取り扱いとなります)
会場:原美術館(東京都品川区北品川4丁目7-25)
http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html
出演:飴屋法水、伊東篤宏、エミ・マイヤー、勝井祐二、迫田悠、さとうじゅんこ、渋谷慶一郎、ジム・オルーク、JOJO広重、JON(犬)、Shing02、種子田郷、テニスコーツ、のぎすみこ、灰野敬二、東野祥子、日比谷カタン、ホナガヨウコ企画、マイア・バルー、やくしまるえつこ、山川冬樹、山本精一(五十音順)
上映作品:ケネス・アンガー作品 デレク・ジャーマン『BLUE』

公式サイト http://www.webdice.jp/blankmuseum/
公式twitter  http://twitter.com/BLANK_MUSEUM

共同主催:アップリンク、原美術館
構成・演出:浅井隆
音響・PA:エディスグローヴ
照明:仲西祐介
動物マスクの人体彫刻:大石麻央
照明機材:ARC・SYSTEM
フライヤー・デザイン:吉田直之(NRS516)

イベント詳細

“デレク・ジャーマン / BLUE NIGHT”
2010年8月27日(金)
16:30開場 / 17:30開演
料金:当日3,300円

【Screening】
『BLUE』part1 上映
『BLUE』part2 インスタレーション
ライティング・インスタレーション:仲西祐介
出演:渋谷慶一郎、やくしまるえつこ(特別出演)

デレク・ジャーマンの遺作となった74分間青だけの映画『BLUE』。「ブルーには限界も回答も存在しない」と語られる『BLUE』を館内の4つの展示室で字幕付きで上映。夜のとばりが降りて来た頃、美術館内をブルーの光で染め、BLUEの上に字幕なしの『BLUE』を上映し、中庭では映画のサウンドトラックとのコラボレーションが行われます。

“LOOKING FOR THE SHEEP day1”
2010年8月28日(土)
14:30開場 / 15:30開演
料金:当日6,000円

【Performance】
飴屋法水たち
東野祥子
ホナガヨウコ企画

【LIVE】
伊東篤宏+山川冬樹
勝井祐二(音楽)+迫田悠(映像)
日比谷カタン
山本精一+JOJO広重

【Navigator】
ひつじのさんぽ:のぎすみこ
動物マスクの人体彫刻:大石麻央

“LOOKING FOR THE SHEEP day2”
2010年8月29日(日)
14:30開場 / 15:30開演
料金:当日6,000円

【Performance】
飴屋法水たち
東野祥子
ホナガヨウコ企画

【LIVE】
エミ・マイヤー feat.Shing02
種子田郷+さとうじゅんこ
テニスコーツ
マイア・バルー

【Navigator】
ひつじのさんぽ:のぎすみこ
動物マスクの人体彫刻:大石麻央

【Overture】
JON(犬)

“LOOKING FOR THE SHEEP”は、原美術館全体を使用して異なる場所がステージとなる体験型クロス・カルチャーイベント。基本は3組のパフォーマンスグループと4組のライブが一つのタイムライン上で交互に行われます。イベントの案内役は一匹の羊です。なにも展示がされていない空っぽの美術館を羊の後を付いて探索してください。4時間あまりのイベントですので、探索に疲れたら中庭の芝生で、ビールを片手に夏フェスっぽくやすらぐことも自由です。

執筆者

Yasuhiro Togawa