フランスの文豪バルザックの美しい短編小説「ざくろ屋敷」を原作に、東映アニメーション株式会社による「画ニメ」シリーズの1本として2006年に製作・発表された映画『ざくろ屋敷』。
発表当時無名であった若手作家の作品にも関わらず、山田宏一氏を初めとした多くの映画評論家や仏文学者からの賞賛を集め、その評判は海を越え本国フランスのバルザック研究者たちからも作品についての論文が発表されるなど、話題を呼んできました。2008年にはパリのKINOTAYO映画祭に招待され、ソレイユドール新人賞を受賞するに至り、その評価は決定的なものとなります。
そして、本年6月、世界のバルザック研究の本拠地であり原作者自身の旧居であったバルザック記念館(la Maison de Balzacla Maison de Balzacla Maison de Balzacla Maison de Balzacla Maison de Balzacメゾン・ド・バルザック Maison de Balzac)よりの異例の抜擢で、『ざくろ屋敷』の上映と、脚本・監督の深田晃司と絵画・美術の深澤研を招聘しての講演と原画展を同時に開催することが決定。バルザック記念館と映画『ざくろ屋敷』が出会ってから、3年越しの計画が実現しました。
6月19日、バルザック記念館内ライブラリーにおいて行われた『ざくろ屋敷』上映会において、集まった60名以上のバルザシアンに作品は驚きと感銘をもって迎えられ、続く質疑応答は1時間半以上に及び、バルザック文学の本質を最も深く理解した翻案であるとの賞賛が相次ぎました。

映画『ざくろ屋敷』は、テンペラによる静止画とナレーションによって物語を表現する禁欲的な手法を貫きながら、現存する「ざくろ屋敷」の内部にまで取材して再現された美術世界とそこに満ちる映画的な情感が高く評価されてきました。監督を映画作家の深田晃司、全編を彩る絵画を画家深澤研と、中学校からの同級生でもある若手コンビが担当しています。
小説「ざくろ屋敷」が映像化されたのは世界で初めてであり、日本人映画作家と画家がバルザック記念館より招聘を受けることも初のこととなります。
さらには、この開催を記念して、深澤研の原画を挿絵に「ざくろ屋敷」の原作全文と解説、深田と深澤の映像作品についてのバルザック研究者による論文を収めたフランス語書籍が特別に出版されるなど、外国人として異例の信頼を勝ち得ることに成功したと言えます。

声の出演を監督が演出部に所属する、現代口語演劇で名高い劇団青年団(主宰平田オリザ)の俳優たちが担当していることも特色のひとつです。

制作当時若干25歳、ふたりの日本人青年の手によって蘇った19世紀フランス文学の世界が、今夏、全国よりバルザック愛好家が集まるパリで披露されます。
 なお、7月には同じくパリにて開催されるパリシネマ国際映画祭においても、深田晃司監督の新作長編映画『東京人間喜劇』(製作劇団青年団)とともに『ざくろ屋敷』の上映、さらにはパリを舞台にした新作の企画『Humain Comedy in Paris(仮題)』が企画アトリエに選出され参加が決定するなど、高い注目を集めています。

● バルザック記念館 上映・講演・展覧会日程
6月19日(土)17:00 『ざくろ屋敷』上映、監督深田晃司、画家深澤研による講演
7月1日(木)〜9月25日(土)バルザック記念館内ギャラリーにおいて『ざくろ屋敷』原画展
☆ 7月1日(木)18:00 展覧会オープニングパーティ(要予約)
会場:バルザック記念館(Maison de Balzac)
住所: 47, rue Raynouard 75016 PARIS 最寄り駅 : Passy / Bois de Boulogne
電話 : 01 55 74 41 80
公式ウェブサイト: http://www.paris.fr/portail/loisirs/Portal.lut?page_id=6837(英語・フランス語)

● パリシネマ国際映画祭 (Festival Paris Cinema) 上映日程
・『ざくろ屋敷』:7月3日(土)14時30分(舞台挨拶あり)/ 13日(火)13時15分
・『東京人間喜劇』:7月3日(土)19時30分 / 5日(月)13時30分(両回舞台挨拶あり)
・『Humain Comedy in Paris(仮題)』企画アトリエ参加:7月5日(月)、6日(火)、7日(水)
上映会場:MK2 Bibliothèque (パリ8区)
映画祭公式ウェブサイト http://www.pariscinema.org/ (英語・フランス語)

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執筆者

Yasuhiro Togawa