今年で32回目を迎える映画祭「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」は、昨年に続き、日本で唯一の映画機関である東京国立近代美術館フィルムセンターとの共催で開催致します。本映画祭のメインプログラムである「PFFアワード」は、世界最大の自主制作映画のコンペティションです。今年も527本もの応募作品が集まり、そこから選びぬかれた16本の入選作品が、映画祭でお披露目となります。映画祭の最終日には、グランプリ他各賞が発表され、国内のみならず海外でも注目される新人映画監督が誕生します。その他“すごいインディペンデント映画 きてます”と題し、国内外のインディペンデント映画監督の特集、新作の日本映画のプレミア上映など、今年も盛りだくさんでお届けします。

◆PFFアワード2010  527作品から厳選された16作品を上映!
1977年から続くPFFのメインプログラム「PFFアワード2010」。自分のお金で、自分の頭と体で、自分の意思で、自主的につくられた映画だけのためのコンペティションです。この16作品は会場で見知らぬ観客と出会い、歩き始めます。“今”を最もビビッドに映し出す自主映画の魅力を伝えるPFFは、新しい試みに高い興味を持つ最初の観客と作品が出会う場所です。あきらかに才能は自主映画に宿る時代。是非観客として、未知の体験をして下さい。 →最終日7月30日には、表彰式&グランプリ他各賞が発表されます。

◆招待作品部門  映画をつくること、観ることを一層面白くさせる特集!
ぴあフィルムフェスティバルの招待作品部門は、これまで映画ファンにはおなじみの巨匠監督の初期作品から、日本では容易に観ることができない海外の作品に至るまで幅広く上映し、映画ファンに貴重な映画体験を提供してきました。今年の招待作品部門のポイントは・・・
① 日本のキング・オブ・インディペンデント映画と言える、若松孝二監督を多角的に紹介する 若松孝二特集
② 日本映画のこれからの公開作品をいち早く紹介する 日本映画新作プレミア上映
③ インディペンデント映画の父・ ジョン・カサヴェテス特集
④「韓国のファスビンダー」「韓国のトッド・ソロンズ」と形容される イ・サンウ特集
⑤ 短編スペシャルでは短編映画をぐっと身近に感じる3つの視点で特集

◆第20回PFFスカラシップ作品『家族X(エックス)』 ワールドプレミア!
1984年に始まった、PFFの新人監督育成システム「PFFスカラシップ」。コンペティション部門「PFFアワード」の入賞者によるオリジナル企画を、PFFがトータルプロデュースした最新作を御披露目します。本年は08年に『症例X』にて審査員特別賞を受賞した吉田光希監督の『家族X』です! 
→また以下のspecial programにて、過去のPFFスカラシップ作品も上映します。

招待作品部門① 若松孝二特集 こわくない!!はじめての若松体験
およそ半世紀に渡り最も刺激的なインディペンデント監督であり続ける若松孝二を特集します。
“怖い”というイメージがひとり歩きしている感のある若松監督であり作品ですが、それは大きな間違い。
是非この機会に初体験を!

◆PFF前夜祭 特別先行上映 『キャタピラー』 
★若松孝二監督、寺島しのぶ、大西信満 来場予定
第60回ベルリン国際映画祭・主演女優賞(銀熊賞)受賞

◆上映作品 ※未ソフト化作品の上映や、ネガしか現存せず
見ることができなかった貴重な2作品を
35ミリニュープリント上映!
『逆情』(1964/35ミリニュープリント/未ソフト化)
『血は太陽よりも赤い』(1966年/未ソフト化)
『性の放浪』(1967/未ソフト化)
『腹貸し女』(1968年)
『新宿マリア』(1975年/35ミリニュープリント/未ソフト化)
『聖少女拷問』(1980年/未ソフト化)

◆特別プログラム:My Best Wakamatsu  ★ゲスト来場
若松監督の指名した映画監督たちが若松映画のMy Best Oneを選び、その創作の源泉を追及する
特別プログラム。
・瀬々敬久監督が選んだ『性賊/セックスジャック』    対談:若松孝二監督+瀬々敬久監督
・阪本順治監督が選んだ『寝盗られ宗介』        対談:若松孝二監督+阪本順治監督
・石井岳龍(聰亙)監督が選んだ『胎児が密猟する時』 対談:若松孝二監督+石井岳龍(聰亙)監督

招待作品部門② 日本映画新作プレミア上映
これから公開される日本映画をひとあし先に御披露目します。

『トイレット』’10年8/28全国公開    ★荻上直子監督 来場予定
『ゲゲゲの女房』’11年正月公開予定   ★鈴木卓爾監督 来場予定
『ヘヴンズ ストーリー』’10年10月公開 ★舞台挨拶:瀬々敬久監督、寉岡萌希、長谷川朝晴、忍成修吾、
山崎ハコ 来場予定

招待作品部門③ ジョン・カサヴェテス特集
「インディペンデント映画の父」と呼ばれるジョン・カサヴェテスは、俳優として活躍する収入を自己の映画製作に注ぎ込み、妻であり盟友である女優ジーナ・ローランズと共に、かつて誰もみたことのない映画をつくり続け1989年に59歳で亡くなりました。その作品は、今も全く古さを感じさせない普遍性と痛み、緊張感と実験性に溢れると同時に、誰も真似の出来ない孤高のポジションを保ち、映画を志す者に必見の作品群と言えます。今回は即興演出が世界を驚かせたデヴュー作『アメリカの影』を含む3作品を紹介します。 

◆上映作品 『アメリカの影』(1959年/デジタル上映)
『フェイシズ』 (1968年/デジタル上映)
『こわれゆく女』(1974年/デジタル上映)
配給:ザジフィルムズ

招待作品部門④ イ・サンウ特集
「韓国のファスビンダー」「韓国のトッド・ソロンズ」などと紹介されるイ・サンウ監督を特集します。既に世界で話題となり日本の映画祭でも紹介された『トロピカルマニラ』『ママは娼婦』の2長編と、最新作で、製作、監督、主演を務めたオムニバス映画『オール・アバウト・マイ・ファーザー』の3作品です。監督も来場し上映後に質疑応答を行います。 

◆上映作品
『トロピカルマニラ』Tropical Manila  協力:大阪プラネット+1/大阪アジアン映画祭2009 上映作品
『ママは娼婦』Mother is a Whore 協力:京都国際学生映画祭/第12回京都国際学生映画祭グランプリ受賞
『オール・アバウト・マイ・ファーザー』All About My Father(オムニバス) ワールドプレミア上映 

招待作品部門⑤ 短編スペシャル
長編映画と短編映画は、あきらかに違うはずです。では短編映画とは何だろう?どう定義すればいいのだろう?その作品はどのような展開方法があるのだろう?などの疑問に答えられるプログラムを目指します。

◆特別講座
〜長編映画監督にとっての短編映画〜 『きみは僕の未来』『ワンピース(2010)』プレミア上映 
★浅野晋康監督 ★矢口史靖監督、鈴木卓爾監督 来場予定
「山村浩二講座 〜短編アニメーションであること〜」 ★山村浩二監督講演
「平林 勇講座 〜国際映画祭の短編コンペへの道のり〜」『shikasha』東京初上映 ★平林勇監督講演

第20回PFFスカラシップ作品 ワールドプレミア!

1984年に始まった、PFFの新人監督育成システム「PFFスカラシップ」。コンペティション部門「PFFアワード」の入賞者によるオリジナル企画を、PFFがトータルプロデュースした最新作を御披露目します。本年は08年に『症例X』にて審査員特別賞を受賞した吉田光希監督の『家族X』です。

第20回PFFスカラシップ作品  『家族X(エックス)』
監督・脚本/吉田光希
出演/南 果歩、田口トモロヲ、郭 智博
【作品解説】
素敵なマイホームがあることで幸せになれると信じていたい橋本路子の家族は、失職の危機にある夫健一と、就職浪人の息子宏明。いつのまにか食卓を囲むことのなくなったダイニングで料理を続ける路子自身も、少しづつ壊れていくが・・・前作『症例X』で、老母の介護に追い詰められそうな息子の暮らしを映像の力で紡ぐ見事な腕をみせた吉田監督が、崩壊の予兆のある家族を優しく静かに見つめ、必ず宿る光を描き出す。
 
PFFパートナーズ(ぴあ、TBS、IMAGICA、エイベックス・エンタテインメント、USEN)/リトルモア提携作品
特別協賛:コダック株式会社  助成:文化芸術振興費補助金

【第32回ぴあフィルムフェスティバル 開催概要】

■会期:7月16日(金)〜30日(金) (毎週月曜休館)
■会場:東京国立近代美術館 フィルムセンター 大ホール
※前夜祭として、15日には若松孝二監督の最新作『キャタピラー』を特別先行上映

PFF公式ホームページ http://pff.jp/

執筆者

Yasuhiro Togawa