本作は2010年8月から撮影開始し、2011年公開となります。他共演陣も決定次第お知らせ致します。

★役紹介/キャストコメント

■忍城 総大将にして、領民から「でくのぼう」の愛称で慕われる ”のぼう様”
成田長親(なりた・ながちか)役: 野村萬斎

武蔵国忍城(おし・じょう/現在の埼玉県行田市)当主成田氏長の従兄弟。
父・泰季(やすすえ)の死後、忍城城代家老となり、忍城攻防戦では城方の総大将となる。
領民に慕われ、通称『のぼう様(でくのぼうの意)』と揶揄される。氏長の娘・甲斐姫に秘めた想いを寄せる。

●野村萬斎コメント
かなり前からこの役にお声掛けを頂いていたものですから、その時は「結構すぐにまた映画に出れるな」と思っておりました(笑)。
それから随分時間が経ってしまったわけですが、本当に、待望の今日という日を迎えられた幸せを感じております。
まず、このような映像作品に出演出来ることを素直に嬉しく思います。
役者として作品に参加する時に、まず1つ、脚本、ストーリーが心躍るようなものであってほしいと思うわけですが、
非常に面白い、スケール感がある、そして人の心のあやが見える作品で、素晴らしいですし、
そして、両監督をはじめとするスタッフの方々が集まって、個性豊かな素晴らしいキャストの方々と映画を作り上げていくことが楽しみです。
自分は(のぼう様のように)浮いているのか分かりませんけれども(笑)、
違うジャンルの方々と1つの作品を作る、ドレッシングの水と油のように分離しながら一緒になっての共同作業に憧れます。

(演じる長親役について)
『陰陽師』で演じた安倍晴明という役も割合余計なことはしゃべらないキャラクターでしたが、
今回の長親役も、ぼーっとしていると思います。
みなさんにお見せするキャラクターの中では今までにない役だと思いますので、是非ご期待頂きたいです。
「野村萬斎」ならではというような役作りをしたいと思っています。

■長親の幼馴染みにして、成田家の侍大将、 ”丹波”
正木丹波守利英(まさき・たんばのかみ・としひで)役: 佐藤浩市

成田家の侍大将。長親の幼馴染み。忍城攻防戦では、佐間口の守将を務める。
成田家家中で武辺の最も優れたものだけが持つ、「皆朱の槍(かいしゅのやり)」を許された剛強の戦上手。
実は戦を忌避する側面も。

■ 6児の父親、豪傑・豪腕の成田家の侍大将  ”和泉”
柴崎和泉守(しばさき・いずみのかみ)役: 山口智充

成田家の侍大将。丹波をライバル視する豪傑。忍城攻防戦では、長野口の守将を務める。
忍城幹部では唯一の妻子持ちで6児の父親。恐妻家の一面も。

●山口智充コメント
『のぼうの城』という壮大な映画のキャストに選んで頂いた事が、まずは何よりの驚きでした。
更に侍大将「柴崎和泉守」役を頂いた事で撮影に対する熱い意欲がグングンかき立てられました。
豪傑で豪腕の男らしいキャラクターを演じさせて頂く事を想像しただけでワクワクします。
多勢の敵を少数で迎え撃つ勇姿や、妻子を持ちながらも命がけで戦い抜く精神に、
男として「こういう男でありたい!」とあこがれを持ち、どこか自分の中にもある、
なまぬるく納まりたくはない!刺激を求めて生きたい!という気持ちを奮い立たせてくれる役だと思います。
豪華な俳優の背景や、大スケールのセット、ロケ等、自分が普段味わえない環境で、
本番も、待ち時間も、思う存分に楽しんで取り組ませて頂きたいと思っております。

■自称 軍略の天才、成田家の侍大将、 ”靭負”
酒巻靭負(さかまき・ゆきえ)役: 成宮寛貴

成田家の侍大将。実戦経験はないが、あらゆる兵書を読破した、自称・軍略の天才。
忍城攻防戦では、下忍口の守将を務める。甲斐姫へ寄せる想いを公言。

●成宮寛貴コメント
原作が話題になっているのは知っていたけれど、
時代物か・・・と、何となく手を伸ばすのに抵抗がありました。
台本をいただいてみて、想像以上に面白かった。面白すぎました。
僕の演じる酒巻靭負は現代語に近い台詞回しなので、
甲斐姫へ想いや、武将としてのプライドも、とてもストレートに伝わりやすいし、
青臭い感じも含めて、可愛らしいキャラクターだと思います。
こういうエンタテインメント性の高い作品に参加できることもすごく幸せに思います。

★監督コメント

■犬童一心監督

和田竜さんの脚本、原作を読み、戦国という混乱の世にもかかわらず、
心の背筋を延ばし、清々しく生き抜いた侍たちの姿に感銘しました。
その感銘を野村萬斎さんをはじめとする日本の最も魅力的な俳優たちと共に観客まで届けられたらと思います。
でくのぼうと思われ「のぼう様」と呼ばれた男が、いざというその時に何故そこまで大きく人を動かす力を持ち得たのか?
そこに新しい時代、日本の理想のリーダーの姿を見いだすこともできるのではないでしょうか。
そして、そのリーダーの周りに集まりできる人々の輪に、ある種のユートピアを感じるのは僕だけでしょうか。
「今」こその時代劇を、尊敬する樋口真嗣監督、そして、素晴らしいスタッフと共に作り上げられたらと思います。

■樋口真嗣監督

その揺るぎなき誠実さと圧倒的な大胆さ、
そしてあの光景を体験してきたかのような精密さを湛えた
和田さんの脚本を読み、血潮沸き立ち魂が震えたあの日から何年が経ったのでしょうか。
この空前絶後、未曾有のスケールの物語を作り上げるに当たって
犬童一心監督という心強いバディと手を組み契りを交わしてから何年が経ったのでしょうか?

狼煙の上がるその刻をひたすら待ち、
その間に作り続けてきた映画は思い返せば全てこの刻のためにあったのかもしれません。
萬斎さんを始めとする最高のメンバーとやっと動き出せるのです。
戦を始める時がきたのです。魂だけでなく全身が震えてきます。

…これこそ紛れもない、武者ぶるいなのであります。応!

★プロデューサーコメント

■久保田修プロデューサー

「時代劇以外の脚本は書きません。現代人はつまらないですから」と言い切る和田竜さんに合ったのは今から7年前。
まるでご本人が侍(柴崎和泉守?)のような彼の手になる脚本『のぼうの城』を読んだ時、
あまりのおもしろさに「必ず映画化すべきだ」という変な使命感を持ってしまいました。
何度かの挫折がありながら、製作決定まで来られたのも
この脚本のオリジナルな世界感に魅入られたからだと思います。
(ちなみに和田さんは脚本家デビューの前に小説家デビューをしてしまいました。つまり映像化はこの映画が初!)
持てる力を出し切って闘い、そしてあまりに潔く死んでいく『のぼうの城』の登場人物達。
そうした良く生きた者達への大きな賛歌。それが大活劇でもある『のぼうの城』の本質だと思います。
監督は犬童一心さんと樋口真嗣さん。この脚本の映画化にはベストな監督陣だと自負しています。
出演は野村萬斎さんをはじめとする実力派オールスターキャスト。
そのキャラクターに「相応しい」をポイントにしたキャスティングです。ご期待下さい!

■小川真司プロデューサー

和田竜さんの脚本を久保田さんから紹介されて読んだのは2004年。
こんな面白い脚本は読んだことない。しかし、これいくらかかるの? どうやったら作れるの?
犬童さん監督でということで二人の意見は一致していましたが、どうしたらいいのかまったく検討がつきませんでした。
『メゾン・ド・ヒミコ』の衣装合わせ中、樋口さんも加えて二人でやったらどうなんだろう?
と僕は久保田さんに思いつきで言ってみました。
なんかルーカス×スピルバーグの「レイダース」みたいじゃない? 娯楽大作っぽくない?
みたいなのりでしたが、樋口監督も犬童さんとなら! ということで賛同いただき、すべてがはじまりました。
この映画の製作自体が、作中ののぼうたちの戦いのように不可能に挑戦するようなところがあります。
しかし忍城方のような「やろうぜ」「面白いじゃないか」という熱い思いは両監督はじめとするスタッフ、
野村さんをはじめとするキャスト一同全員が持っています。
この物語のさわやかな感動を映画館にお届けするべくベストを尽くしますので、
皆さま、どうぞよろしくお願い申し上げます。

★原作者 和田竜コメント

この『のぼうの城』の脚本は、戦国時代の合戦や水攻めを細かく描いていることもあり、
様々な映画プロデューサーから、「映画化は絶対ムリ」と言われ続けてきた物語です。
「映画化不可能」
という文言は、すでにありきたりなものとなりつつありますが、
先日、北海道で建設中の”のぼうの城”=”忍城”の建設現場を拝見する機会があり、
その余りの巨大さに、感動を通り越して、ほとんど笑ってしまいました。
僕が書いた数行のト書きのために、大の大人がブルドーザーを何台も持ち出して、
土木工事までしてしまう。今さらながらに、
「映画化不可能」
の意味がリアルに身に迫ってくる思いでした。
 そんなわけで、『のぼうの城』は、映画化する以上、巨大なものにならざるを得ない物語です。
今回、その巨大な映画に相応しい役者さんたちが集まってくださいました。
原作者としては、主人公の成田長親を始め、物語に登場する歴史上の人物たちに、
少しは面目が立ったのかな、と思っています。

★原作「のぼうの城」とは?
和田竜による、歴史小説。作者の小説家デビュー作であり、第29回城戸賞を受賞した「忍ぶの
城」を、映画化を前提に小説として執筆したもの。斬新かつ壮大な設定と愛すべきキャラクター、
まったく新しいヒーローを描くエンタテインメント大作として、幅広い層から絶大な支持を受け、第139
回直木賞にノミネート、2008年本屋大賞では2位を受賞。時代小説としては異例の、40万部を
超えるベストセラーとなっている。表紙イラストは漫画家オノ・ナツメが担当。
2008年、花咲アキラ作画で「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて漫画化された。

関連作品

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執筆者

Yasuhiro Togawa