映画『ペルシャ猫を誰も知らない』バフマン・ゴバディ監督 来日中止
イランの首都テヘランで当局に無許可でゲリラ撮影した『ペルシャ猫を誰も知らない』の8月上旬公開のため、6/29よりプロモーション来日が予定されていたバフマン・ゴバディ監督の来日が中止となりました。
以下にゴバディ監督からのメッセージをお知らせします。
親愛なる日本の皆様へ
『ペルシャ猫を誰も知らない』の日本公開を控えて、日本に行けないことがとても残念です。日本へ行くための私のパスポートは、査証ページがなくなっているため、その再発行(増補)を、在外のイラン大使館・領事館にお願いをしていました。
しかし結局、どこのイラン大使館でも「イランに戻らなければ発行しない」という返事しかもらえませんでした。
今の私がイランに戻るということは、刑務所に入れられるか、二度とイランの外へ出られないかを意味しています。
そのために今回は残念ですが、日本へ行くことを諦めなくてはなりませんでした。
今、私はイラクのクルド人自治区にいます。そこを第二の母国として、新しい国籍のパスポートを得たいと思っています。そうすればまた旅ができるようになります。
また日本の皆さんに会えますように。
日本での映画の公開が成功することを祈っています。
* ゴバディ監督は、『ペルシャ猫を誰も知らない』を当局に無許可で撮影。
それ以後、イランを離れ、戻っていません。
【バフマン・ゴバディ監督プロフィール】
1968年、イランのイラク国境近くのクルディスタンの町、バネーに生まれる。
2000年、初の長編監督作でイラン映画史上初のクルド語長編映画となった『酔っぱらった馬の時間』で、カンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)と国際批評家連盟賞をダブル受賞した。以降、『わが故郷の歌』(2001)『亀も空を飛ぶ』(2004)「Half Moon(日本未公開)」(2006)を発表。
『ペルシャ猫を誰も知らない』
イランの若き名匠バフマン・ゴバディが、自由な創作活動への願いを込めて、当局に無許可で撮影した『ペルシャ猫を誰も知らない』は、西洋文化への規制が厳しいイランで、当局の目を逃れながら密かに音楽活動を続ける若者たちを描いた傑作。出演者のほとんどは実際に無許可で活動するミュージシャンで、物語は実在の事件、場所、人物に基づいている。
8月上旬、ユーロスペース他全国順次ロードショー!
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執筆者
Yasuhiro Togawa