フランスの小さな村の大邸宅に集まった 9人の男女
1人の男が殺され、8人全員に動機とアリバイがあった──

それは、9人の男女の、楽しく華やかなパーティのはずだった。一発の銃声と女の悲鳴が、事件の幕開けを告げるまでは──。舞台は、のどかで美しい風景が広がるフランスの小さな村、ヴェトゥイユの大邸宅。ホストはそこに住む上院議員夫妻、ゲストは医師夫妻に彫刻家、作家に女優といった上流階級の男女で、親戚や友人関係のごく親しい間柄だ。殺されたのは、精神分析医のピエール。医師としては非常に優秀な男だが、女性たちには危険な魅力をふりまいていた。結婚当初から妻への忠誠心はカケラもなく、パーティに集まった女たちの中には、過去の火遊びの相手、現在の愛人、そして復縁を迫る元恋人がいた。事情を知る男たちも含めて、全員がピエールに愛情と嫉妬、憎しみや哀しみなど複雑な想いを抱えていた。それは何かのきっかけさえあれば、殺人の“動機”にも成り得る危ない感情だった。しかしまた、全員に“アリバイ”もあった。銃声が鳴り響いたプールサイドに彼らがほぼ同時に駆けつけた時、ピエールの妻が銃を手にしていた。だが、彼女の供述どおり、一歩早く駆け寄って銃を拾っただけだと証明される。犯人は誰か、そして真の動機は何なのか? 捜査が暗礁に乗り上げ、互いに誰も信じられなくなった時、第2の殺人が起きる──。

2010年夏、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー!

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執筆者

Yasuhiro Togawa