宗教や人種をこえて、貧しい人々のために生きたマザー・テレサ。
1979年にはノーベル平和賞を受賞。1997年に惜しまれながら亡くなるまで、
彼女はその行いによって「愛」とは何かを世界中に示し続けました。
そして、2010年——マザー・テレサがこの世に生まれて100年。
この記念すべき年に行われる「生誕100周年 マザー・テレサ映画祭」では、
その奇跡ともいえる活動を記録した、現存する国内外のドキュメンタリーを一挙特集上映いたします。
マザー・テレサに関する映像を、これだけ一堂に集め上映するのは“世界初”の試みです。
名作・新作を交えた7本のドキュメンタリーが、
それぞれの視点からマザー・テレサの愛に満ちた活動の軌跡を明らかにします——
                       
本邦初公開となる、『すばらしいことを神さまのために〜Something Beautiful For God〜』(1969年)は、英国BBC放送がマザー・テレサのコルカタ(当時のカルカッタ)での活動に密着し、全世界にその全貌を初めて知らしめるきっかけとなった記念碑的作品です。
また、日本人として初めてマザーに取材を認められた千葉茂樹監督による『マザー・テレサとその世界』(1979年)には、インド政府から異例の許可を得て2ヶ月間にわたり撮影された貴重な映像が収められています。公開当時大反響を呼び、彼女がはじめて来日した7日間を追った『マザー・テレサの祈り いのち生命それは愛』(1981年)とともに、マザーの多岐にわたる活動を克明に記録します。

アメリカABCテレビのプロデューサー兼脚本家であったアン・ペトリと妹ジャネットが、マザー・テレサと共に働きながら取材・撮影をした『母なることの由来 −デジタル復刻版−』(1986年)は、1979年のノーベル平和賞受賞の様子を収め、10ヶ国にも及ぶマザーの奇跡ともいえる活動を5年間追いかけました。同じくアン・ペトリ監督が1997 年の盛大な国葬の模様を記録した『母なるひとの言葉』(2004年)では、彼女自身の愛を実践する言葉と、彼女を看取った修道女たちの言葉が収められ、観るものに“愛のひと”がこの世にいたことの奇跡を強く感じさせます。また、ドイツ人監督マーセル・バウアーによる『マザー・テレサの遺言』(1996年)は、単刀直入なインタビュアーの質問に力強く答える、亡くなる1年前の彼女の美しい姿を映し出します。

そして、千葉茂樹監督による生誕100年特別記念作品『マザー・テレサと生きる』(2009年)。マザーが帰天し12年—-彼女が深く心にとめ、3度も訪れた日本ではどのようにその精神が受け継がれているのでしょうか? マザー・テレサの後継者シスター・ニルマラ総長の特別許可のもと、初めて撮影された貴重な映像とともに、いまも続けられている愛に満ちた活動を追います。

彼女が残した数々の言葉は強く、そして優しさに満ちています。
世界に先駆けてここ日本で開催される「マザー・テレサ映画祭」。
珠玉のドキュメンタリーが映し出すのは、いまなお確実に生き続けているマザー・テレサの精神です。

「愛の反対は憎しみではなく無関心です」
「わたしたちは 大きなことはできません。
ただ、小さなことを大きな愛でするだけです」——。
〜マザー・テレサの言葉より〜

【公開作品】 国内外の名作・新作ドキュメンタリー7本 作品概要

『マザー・テレサと生きる』 
(2009年/16:9/日本/73分) 文部科学省選定
監督:千葉茂樹  企画・製作:女子パウロ会 製作協力:近代映画協会 語り:山根基世(ことばの杜)

『マザー・テレサとその世界』 
(1979年/4:3/日本/55分)
監督:千葉茂樹
企画・製作:小島好美(近代映画協会)、白井詔子(女子パウロ会)
ナレーター:来宮良子 協力:アリタリア航空、カリタス・ジャパン

『マザー・テレサの祈り いのち生命それは愛』 
(1981年/4:3/日本/30分)
監督:千葉茂樹
企画:ファミリー・ライフ協会、女子パウロ会 製作:近代映画協会 
ナレーター:岸田今日子

『母なることの由来 −デジタル復刻版−』 
(1986年/4:3/アメリカ/83分 提供:プレシディオ、企画協力:フィールドワークス)
製作・監督:アン・ペトリ、ジャネット・ペトリ 
撮影:エド・ラッハマン(『ヴァージン・スーサイズ』『イギリスから来た男』『エリン・ブロコビッチ』『アイム・ノット・ゼア』)、
サンディ・シセル(『サーラム・ボンベイ』『マスター・アンド・コマンダー』)
ナレーション:リチャード・アッテンボロー(「ガンジー」「コーラスライン」監督)
音楽: スザンヌ・シアーン 編集: トム・アジャンキー

『母なるひとの言葉』 
(2004年/4:3/アメリカ/55分 提供:プレシディオ、企画協力:フィールドワークス)
製作・監督:アン・ペトリ、ジャネット・ペトリ 
撮影:エド・ラッハマン(『ヴァージン・スーサイズ』『イギリスから来た男』『エリン・ブロコビッチ』『アイム・ノット・ゼア』)、
サンディ・シセル(『サーラム・ボンベイ』『マスター・アンド・コマンダー』)
音楽: スザンヌ・シアーン 

『マザー・テレサの遺言』 
(1996年/4:3/ドイツ/43分)
監督:マーセル・バウアー
インタビュー:オメル・ダンゲ 撮影:プラモード・マチュー、A・カマル 訳:神言修道会

『すばらしいことを神さまのために〜Something Beautiful For God〜』 
※特別上映作品 (平日興行の各日、ご希望のお客様を毎週先着でご招待いたします)

(1969年/4:3/イギリス/50分 提供:プレシディオ、企画協力:フィールドワークス)
製作・監督:ピーター・シェファー
インタビュアー:マルコルム・マゲリッジ 

「生誕100年記念 マザー・テレサ映画祭」
http://www.motherteresa.co.jp/

提供:女子パウロ会/株式会社プレシディオ
企画:株式会社フィールドワークス  
配給:東風
後援:カトリック中央協議会広報、カトリック新聞社、カトリック東京大司教区

2010年1月16日より東京都写真美術館ホールにてロードショー

執筆者

Yasuhiro Togawa