監督:森田芳光×堺雅人×仲間由紀恵

先行き不透明な時代でも、現実を見つめ、力を合わせれば、人は生きていける。
製作陣は「金沢を舞台にした映画がつくれないか?」という流れの中で、磯田道史先生の『武士の家計簿』にたどり着いた。出版後にはベストセラーになり、NHKの番組でも取り上げられて話題になった本である。金沢・加賀藩の御算用者という、いわば会計専門の下級武士、算盤ざむらい一家の詳細な家計簿を発掘し、研究された磯田先生のご著書に、我々は先行き不透明な今の時代に生きている我々自身や家族の姿を見出した。時代に流されながらも、しっかり支え合い、子供たちを教育し、家芸を守り、生きていく。つつましやかに、だがきちんと現実を見つめて力を合わせて生きていけば、どんな時代がきても人は生きていける。そんな思いと願いを託して、この猪山家の人々の物語を現代の人に贈る。激動の時代を生き抜くヒント、市井の中の真のヒーロー像、家族の団結、教育の力が描かれている作品である。

【物語】
幕末〜明治の激動の時代、流されながらもたくましく生きる、猪山直之と家族たち。
御算用者(ごさんようもの:会計処理の専門家)として、代々加賀藩の財政に携ってきた猪山家八代目・直之(堺雅人)。そんな彼は、時に同僚からですら「算盤バカ」などと言われる男だった。
時は江戸時代後半。天保の大飢饉などもあり、加賀百万石と謳われた藩も財政状況は芳しくない。加えて当時の武家社会には、身分が高くなるとそれに応じて出費も増えるという構造的な問題があった。直之は家財道具を処分し、借金の返済に充てることを決断。家族も一丸となってそれに協力することを約束する。近所の者や同僚などからの好奇の目にさらされながらも、倹約生活を実行する猪山家の人々。とりわけ妻のお駒(仲間由紀恵)は、直之の一番の理解者として、明るく献身的に家を切り盛りしていくのだった。

【キャスト、監督コメント11月17日付】

堺雅人(さかい・まさと 主人公:猪山直之 役)
実在の家計簿をもとにした物語というところが、とても面白いとおもいました。
今回僕が演じるのは加賀藩の御算用者、いまでいう経理のようなものでしょうか。派手なチャンバラなどはしませんが、幕末・明治という激動の時代に誇りをもって生きた、ひとりの侍の姿をお見せできればと思っています。

仲間由紀恵(なかま・ゆきえ 猪山駒 役)
森田監督、堺雅人さんと初めてご一緒することをとても楽しみにしています。
猪山駒は、気取らず働き者で芯が強く、夫をきちんと理解して支えるという時代を超えた理想ともいうべき女性なので、やりがいと共に緊張を感じています。森田監督の演出のもと、夫である堺雅人さんとのお芝居を楽しみながら、凛として演じられるよう、一生懸命頑張ります。

森田芳光監督(もりた・よしみつ)
果たして武士の時代に家計簿なるものがあったのか?
あったなら如何に家族はそれを基に生きていったか?
そして武士社会に於ける「そろばん役」とはどのようなもので、どんな苦労があったのか?
時代劇に今までまったくなかった視点で武士の物語を描く意義を感じています。そしてそれらの仕事や生活、生き方を通して、現代にも通じる「人間味」が映画の中から滲み出るような作品にしたいと思っております。時代の激変を腕と家族の団結で乗り越えていく姿を今では稀な三世代家族の暖かさとユーモアも交えて描きたいと思います。

【原作】
武士の家計簿「加賀御算用者」の幕末維新 (新潮新書刊、2003年4月)
著者・磯田道史氏が、偶然に古書店で見つけた「金沢藩士猪山(いのやま)家文書」。そこにあった一家の詳細な家計簿からは、これまで明らかにされていなかった、下級武士の生活の歴史が綴られていた—。
この貴重な資料に基づき、江戸時代後期〜明治時代の社会情勢を背景に、実在した加賀藩御算用者一家・猪山家の人々がどのように時代を生き抜いたかを描くとともに、近代化へ向かう日本の姿を見せていく。そこには、現代にも通底するさまざまなテーマが提示されてもおり、単に歴史的好奇心を満たすだけには終わらない。

○タイトル : 『武士の家計簿』
○出演 : 堺雅人、仲間由紀恵 ほか
○監督 : 森田芳光(もりた・よしみつ)
《主な作品歴》 『の・ようなもの』、『家族ゲーム』、『それから』、
『(ハル)』、『失楽園』、『39刑法第三十九条』、
『模倣犯』、『阿修羅のごとく』 『間宮兄弟』、『椿三十郎』他
○脚本 : 柏田道夫
○原作 :『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』 磯田道史著 (新潮新書刊)
○製作 : 北國新聞社 アスミック・エース 松竹
○クランクイン : 12月1日(火) 金沢にてクランクイン予定
○クランクアップ : 1月末予定   
○配給 : アスミックエース 松竹
○公開 : 2010年公開予定

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執筆者

Yasuhiro Togawa