剣技の妙と男女の機微を描いた藤沢周平“隠し剣”シリーズ最高傑作がついに映画化!!
本物の時代劇、本当のカタルシスがここにある!!

秘剣 鳥刺し——その剣を遣うとき、遣い手は半ば死んでいるとされる
 藤沢周平の代表作であり、個性豊かな秘剣を伝えられた、剣の達人が織りなす人生ドラマとして人気を博している “隠し剣”シリーズ。秀作ぞろいの隠し剣シリーズ内でも、政治的策謀に翻弄されるひとりの武士の無惨な姿を、巧みなプロットと語り口で描き出した本作「必死剣鳥刺し」は、藤沢本来の持ち味である悲劇的な静謐さを漂わせる物語として知る人ぞ知る傑作である。
 剣の達人でありながらそれが生に繋がらない、江戸時代の武士の矛盾と軋轢を宿命的に描き、武士として与えられた運命を淡々と生きていく中で、剣をもって、そうした運命にささやかな抗い、揺らぎをもたらす一人の人間像は、社会の枠組みの中で、閉塞感を感じながら生きている現代の人々に、大きな共感と深いカタルシスをもたらす作品となっている。

 この「必死剣鳥刺し」の映画化が決定し、主演に今や日本を代表する名優・豊川悦司が抜擢されました。
悲運の剣の遣い手・かねみさん兼見三ざ左えもんエ門に豊川悦司。三左エ門の姪でありながら、密かに想いを寄せるヒロイン・り里お尾に池脇千鶴。そして戸田菜穂、吉川晃司、小日向文世、岸部一徳といった個性あふれる実力派の面々が深みのある人間ドラマを生み出します。
 監督は98年には『愛を乞うひと』がモントリオール映画祭国際批評家連盟賞、さらには第22回日本アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得て以後「OUT」(02)、「魔界転生」(03)、「レディージョーカー」(05)、「しゃべれどもしゃべれども」(07)、「やじきた道中てれすこ」(07)など数々の話題作を手掛ける名匠・平山秀幸。 『たそがれ清兵衛』(02)『隠し剣 鬼の爪』(04)『蝉しぐれ』(05)『武士の一分』(06)『山桜』(08)『花のあと』(10)と、すべての映画が傑作ぞろいの藤沢時代劇映画。平山×豊川がこれまでの藤沢作品とは一味違ったハードボイルドな時代劇を誕生させる。

−豊川悦司コメント−
平山監督とお話して、三左エ門は、静と動を併せ持ち、ある種の不条理さを持った複雑な男。不器用で融通がきかない岩のような男。運命を許容しているが、それに甘んじていない、逃げない人間だと感じました。これまでの藤沢作品は特に意識せず、平山監督のお話にあった、静寂と爆発の温度差を出せるよう演じました。撮影は大変でしたが、近年見たことのないような激しさのある、凄い殺陣が見られると思います。

−平山秀幸監督コメント−
これまでの2本の時代劇はある種の遊び心を持ってやっていたが、今回はリアリズムを重要視した。時代劇という制約を最大の武器とすることを考えた。所作など基本的なことは、一つ一つ丁寧に正しく描き藤沢原作の持つ静謐なものを表現しながらも、ラストの大殺陣は、これまでの舞踊的な流れる殺陣ではなく、溜め込んだものを一気に爆発させるような、人と人が本当に命を懸けて斬り合うような激しいものになった。これまでの時代劇とは一味も二味も違うものになると思う。

2010年 夏 全国ロードショー!!

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執筆者

Yasuhiro Togawa