映画「es〔エス〕」の実験より更に数年前−
恐るべき心理実験が、無防備な高校生たちに実際に行われ、世界を震撼させた。
たった数日間で普通の若者たちを集団狂気に走らせた、実験の戦慄の内容とは−。
◆ 実際に起きた事件をもとに映画化
実際に起きた事件をもとに、ドイツで映画化された本作。始まりは、ごく普通の高校生たちが軽い気持ちで始めた、独裁制を模した体験授業だった。クラスのみんなで決めた“独裁者”には“様”をつけて名前を呼ぶなど、ルールはわずかで簡単なものばかり。しかし、そのゲームに夢中になった若者たちは急速に暴走し始め、“THE WAVE ウェイヴ”と名付けられた集団はたった5日間で学校全体を呑み込んでいく。その動きは、実験を始めた教師ですら制御できなくなっていった—。

◆ ドイツ全土を席巻!
監督は若干35歳の新鋭デニス・ガンゼル監督。ガンゼル監督率いる若い製作チームは、1967年のアメリカの事件を、現代のドイツの高校を舞台に置き換えるために、国内の様々な高校を服装から流行りまで丁寧にリサーチ。この衝撃的なストーリーを、見た者誰もが共感するリアリティのある大胆かつ繊細な作品として完成させた。そのリアルさは、ナチスの独裁政治を繰り返さないよう今なお学校で様々なカリキュラムが組まれるドイツにおいて、大きな衝撃をもたらし、28週もの長期にわたりボックスオフィス入りする大ロングランヒット。240万人を動員し、2008年のドイツ国内映画の興行成績第1位を記録した。最終興行収入は、同じく心理実験シチュエーション・ムービーであるドイツ映画「es〔エス〕」の4倍に相当する。

2009年11月14日、シネマート新宿にて、他全国順次公開

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執筆者

Yasuhiro Togawa