2000年にスタートした国際映画祭「東京フィルメックス」が、2009年11月の開催で第10回を迎えます。東京フィルメックスではこの10年間に、アジアの若手の才能を続々と発掘・支援し、日本の観客に紹介を続けてきました。

一方で、シネマート六本木は開館以来「韓流シネマ・フェスティバル」「台湾シネマ・コレクション」「タイ式シネマ☆パラダイス」など独自の切り口による特集上映で、アジア映画ファンの根強い支持を集めてきました。

今年10回の節目を記念したプレイベントとして、過去の東京フィルメックス上映作品のうち、受賞作品を中心としてセレクト上映します。映画文化の未来を見据えてきた映画祭の「軌跡」を再確認するとともに、常に未来を切り拓いてきた数々の映画作家たちの現在を見つめ直します。

http://filmex.net/2009/preevent.htm

■期間: 2009年10月31日(土)〜11月6日(金)

■場所: シネマート六本木 (東京都港区六本木3-8-15 TEL:03-5413-7711)

■料金: 一般・学生 1,200円 / シニア 1,000円 (当日券のみ)
※10/31 トークショーの回のみ、チケットぴあにて10/24(土)より前売券発売

【タイムテーブル】

10/31(土)
13:00 ふたりの人魚
16:00 ブリスフリー・ユアーズ ★
19:00 トロピカル・マラディ
11/1(日)
13:00 亀も空を飛ぶ
16:00 ふたりの人魚
19:00 シークレット・サンシャイン
11/2(月)
13:00 地球を守れ!
16:00 バッシング
19:00 おそいひと ★
11/3(火)
13:00 あひるを背負った少年
16:00 アザー・ハーフ ★
19:00 ふたりの人魚
11/4(水)
13:00 地球を守れ!
16:00 シークレット・サンシャイン
19:00 サバイバル・ソング
11/5(木)
13:00 トロピカル・マラディ
16:00 あひるを背負った少年
19:00 アザー・ハーフ
11/6(金)
13:00 サバイバル・ソング
16:00 ブリスフリー・ユアーズ
19:00 トロピカル・マラディ

★トークショー
10/31(土)「ブリスフリー・ユアーズ」上映終了後、西島秀俊さん(俳優)
11/2(月)「おそいひと」上映前、柴田剛さん(映画監督)
11/3(火)「アザー・ハーフ」上映終了後、
              藤井省三さん(中国文学者・東京大学教授)

【上映作品】 全11作品

「ふたりの人魚」 Suzhou River
監督:ロウ・イエ/2000年/83分/中国
第1回(2000年) 最優秀作品賞
中国映画第6世代のロウ・イエ監督第3作。上海の街中を流れる蘇州河を舞台に、ヒッチコックの『めまい』を想起させるミステリアス・ラブストーリー。
上映日時:10/31 13:00、11/1 16:00、11/3 19:00

「ブリスフリー・ユアーズ」 Blissfully Yours
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン/2002年/125分/タイ
第3回(2002年) 最優秀作品賞『コダック VISION アワード』
ミャンマーからの非法移民たちが国境近くの森の中で過ごす自由な時間を自然主義的な映像で描写する。2002年のカンヌ映画祭で「ある視点」賞を受賞。
上映日時:10/31 16:00、11/6 16:00

「地球を守れ!」 Save The Green Planet!
監督:チャン・ジュヌァン/2003年/118分/韓国
最後まで何が起こるかわからない一級のエンターテインメント。細部にこだわり、トラッシュ・ムービーを装いつつ、さりげなく韓国社会を描写している。
上映日時:11/2 13:00、11/4 13:00

「おそいひと」 Late Bloomer
監督:柴田剛/2004年/83分/日本
極めて独創的な題材をパワフルに映像化。障害者と介護者の関係、日常に存在する性の問題を避けることなく描いている。
上映日時:11/2 19:00

「トロピカル・マラディ」 Tropical Malady
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン/2004年/118分/タイ=フランス=イタリア=ドイツ
第5回(2004年) 最優秀作品賞
呪いにより人間が虎に変身する、という民間伝承がこの作品の背景となっている。衝撃のラストを含め、観る者に様々な解釈を可能とする作品。
上映日時:10/31 19:00、11/5 13:00、11/6 19:00

「亀も空を飛ぶ」 Turtles Can Fly
監督:バフマン・ゴバディ/2004年/97分/イラン=イラク
第5回(2004年) 審査員特別賞『コダック VISION アワード』
    同   アニエスベー観客賞
衝撃的なストーリー展開とダイナミックな映像で見る者を圧倒する。ニュース映像では決して伝えられないイラクの現状と幻想的なシーンの対象も見事。
上映日時:11/1 13:00

「バッシング」 Bashing
監督:小林政広/2005年/82分/日本
第6回(2005年) 最優秀作品賞
現代日本において突如として起こる“バッシング”を正面から捉えた力作。監督が好んでロケ地として使用する北海道の荒涼とした風景も絶妙。
上映日時:11/2 16:00

「あひるを背負った少年」 Taking Father Home
監督:イン・リャン/2005年/100分/中国 *デジタル上映
第6回(2005年) 審査員特別賞『コダック VISION アワード』
イン・リャン監督長編デビュー作で、ロングショットの映像スタイルから非凡なセンスを感じる。中国の農村と都会との経済格差もさりげなく反映されている。
上映日時:11/3 13:00、11/5 16:00

「アザー・ハーフ」 The Other Half
監督:イン・リャン/2006年/111分/中国 *デジタル上映
第7回(2006年) 審査員特別賞『コダック VISION アワード』
イン・リャン監督第2作。ドキュメンタリーとドラマを見事に融合させたこの作品は、中国の地方都市に暮らす人々の生活の記録という意味でも重要と言える。
上映日時;11/3 16:00、11/5 19:00

「シークレット・サンシャイン」 Secret Sunshine
監督:イ・チャンドン/2007年/144分/韓国
第8回(2007年) クロージング作品
鋭い社会批判を含んだ一種のサスペンス映画とも言える本作は、見る者の安易な予想を裏切りつつ、強烈な緊張感を最後まで持続させる屈指の傑作。
上映日時:11/1 19:00、11/4 16:00

「サバイバル・ソング」 Survival Song
監督:ユー・グァンイー/2008年/94分/中国 *デジタル上映
第9回(2008年) 審査員特別賞『コダック VISION アワード』
登場人物たちと1年間共同生活を送った監督は個々の人物に密着し、社会発展の影で消えてゆく昔ながらの生活を安易な感情に陥ることなくカメラで記録する。
上映日時:11/4 19:00、11/6 13:00

————————————————————
●第10回東京フィルメックス●
2009年11月21日(土)−29日(日)
有楽町朝日ホール 他 にて
———————————

執筆者

Yasuhiro Togawa