ウェズリー・スナイプス、実刑判決後日本初登場

 6月25日(現地時間)に50歳の若さで亡くなった”KING OF POP”マイケル・ジャクソン。1982年、全世界で大ヒットを記録したアルバム、「スリラー」のショート・フィルムでは『ブルース・ブラザーズ』、『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズを大ヒットさせ、当時昇り調子のジョン・ランディス監督を起用し話題になった。続いて1987年アルバム「BAD」をリリースし、同年10月第2弾のシングルカットはアルバム・タイトルでもある「BAD」。シングルリリース時に、『タクシー・ドライバー』など数々の名作を手がけ、後に『ディパーテッド』で2007年の第79回アカデミー賞の監督賞・作品賞を受賞したマーティン・スコセッシ監督を起用し、16分のショート・フィルムを制作して話題になった。このショート・フィルムがきっかけに脚光を浴び、スターの階段を昇りつめた俳優がいたのをご存知だろうか?
 この作品では、休暇で帰省した学生マイケルが、ニューヨークのダウンタウンで、旧友と再会するシーンが克明に描かれている。その旧友役の1人として出演しているのが、ウェズリー・スナイプスである。当時、スナイプスは俳優として活動していたが、端役が多く、これといった代表作もなかったが、このショート・フィルムの出演をきっかけに注目され、ヒット作『メジャーリーグ』(89)、スパイク・リー監督の『ジャングル・フィーバー』(91)、『キング・オブ・ニューヨーク』(90)などのメインキャストを経て、ハリウッドを代表するスターの人になった。『ワンナイト・スタンド』(97)ではヴェネチア映画祭主演男優賞を受賞し、アクションと演技力を両方こなす俳優としても評価が高い。最近では所得税の虚偽申告によって、2008年4月に禁固3年の実刑判決を受け、俳優生命の危機か?と噂のスナイプスだが、彼の最新作が9月12日に公開が決定した。大ヒットした『アート・オブ・ウォー』の続篇『アート・オブ・ウォー2』で、9年ぶりに主役の特殊諜報部員ニール・ショーを演じる。現在、スナイプスは、刑務所には収容されていないが、もしかしたら、この作品が当分の見納めになるかもしれない。さて、この作品、日本ではGOODと出るかBADと出るか?

ストーリー
かつて国連の特殊諜報部員だったニール・ショー。引退後ナイジェル・ストーンと名を変え、ハリウッド映画のスペシャル・アドバイザーとして暮らしていた。ある日、マーシャルアーツの恩師であるマザーの訃報が届く。そこで恩師の娘と名乗る女性から父親の死がショーの過去に関係していると告げられる。真相を探るショーは、やがて最新兵器売買に暗躍する武器会社、政治家暗殺計画、さらにFBIをも絡む陰謀の渦へと巻き込まれていく。裏社会の悪を前に、闘争本能が再び目覚める。真相を突き止めた先に彼が見たものは…。

※ウェズリー・スナイプスとは?
幼い頃から武道を学び、空手5段、テコンドー3段などの有段者。『ワン・ナイト・スタンド』(97年)でヴェネチア国際映画祭主演男優賞を受賞し、演技派としての地位を確立する。『ブレイド』(98年・兼製作)シリーズではアクション俳優としての地位も確立。ドラマとアクションの両方を確実にこなす俳優は非常に少なく、貴重な存在である。

9月12日より、銀座シネパトスほか全国順次公開

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執筆者

Yasuhiro Togawa