押井守×プロダクションI.G の最新劇場アニメ映画「宮本武蔵−双剣に馳せる夢−」が6月13日(土)からの日本国内での公開を控え、韓国の「プチョン国際ファンタスティック映画祭」(2009年7月16〜26日)と、スイスの「ロカルノ国際映画祭」(2009年8月5〜15日)の二つの国際映画祭に正式招待作品として招聘されることが決定した。

映画の内容は、巨匠・押井守が、宮本武蔵を独自の理論・解釈で描いた歴史アニメドキュメンタリー。日本の侍文化を描いた話題作が、この夏、世界へ発信される。

「ロカルノ映画祭」からは、以下のコメントが寄せられた。
「『宮本武蔵—双剣に馳せる夢—』という映画をロカルノ国際映画祭にてご紹介できることになり、わくわくしています。
多様で異なる表現手法・演出・技法を巧みに組み合わせると言うこの作品の試みは、まさしくロカルノ映画祭の一貫した理念である”映画の新地平線を発見していく精神”にぴったりシンクロしていると思います。
アニメーションで表現したドキュメンタリー風構成に「武蔵博士」のウンチク解説を乗せることにより、この映画は巧妙なアイロニーに溢れるポストモダンな映像世界を創り出しています。
一方、映画に登場する剣劇シーンはアニメーション技術の頂点のみならず、日本実写映画の名作時代劇すら連想させる完成度の高い演出力を見せています。
このように演出方法と映像技法を多用する斬新な映画は、一つの芸術品として、伝説的な剣豪・宮本武蔵を知らない観客をも魅惑するに違いありません。」

今回、押井守氏の原案・脚本を受けて監督を務めた西久保瑞穂氏は
「この作品は、日本人なら誰でも知る宮本武蔵を題材にした歴史アニメドキュメンタリーであり、浪曲を盛り込んだ音楽剣劇でもあるという挑戦作になっています。海外の映画祭に評価いただいて、心から嬉しく思います。」とコメント。

押井守(原案・脚本)コメント
「”宮本武蔵”といえば”不敗の剣聖”、剣の道を究めた”精神の求道者”といった、一芸に秀でることで精神的な高みに到達した人物と考える人が多い。しかし僕自身、『五輪書』から感じた武蔵は万能人だったんじゃないか、と。剣はもちろん、絵や書、彫刻、はては築城術といった土木技術、そして生涯独身で左利き——そういったところから日本のレオナルド・ダ・ヴィンチといっても過言ではない。
『宮本武蔵—双剣に馳せる夢—』では、新たな宮本武蔵像を描いています。
 よく武士というと、何かと腹を切るイメージがあります。潔いことは大切なことですが、安直な結論を導き出さないのが、知的な人間の最大の特徴。僕が思う宮本武蔵は、野生むき出しの獣のような人物ではなく、知的な人だった。ただ、ものすごい闘争本能の塊。
 関ヶ原の役や大阪の役、島原の乱など、生涯に6度の大きな戦に出陣しながらも、その生涯を全うすることができたのはなぜか?
二天一流の根本にあるのは何か?
『五輪書』をもとにして宮本武蔵を描くことで、これまで語られたことのない”宮本武蔵像”を感じてもらえれば、と思います。」

●「プチョン国際ファンタスティック映画祭」(韓国/2009年7月16〜26日)
1997年から開催、2009年で13回目を迎える。
ソウルの西側に位置する京畿道(キョンギド)富川市(プチョンシ)で開催。夏にふさわしいホラー、スリラー、SFといった伝統的なファンタスティック映画はもちろん、コメディやロマンス、アクションやアニメーションなど様々なジャンルの映画が上映される。
http://www.pifan.com

●「第62回ロカルノ国際映画祭」(スイス/2009年8月5〜15日)
スイス南部、イタリア語圏のティチーノ州ロカルノ市で、1946年から開催されている国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の映画祭である。毎年8月に開催し、観客19万人、ジャーナリスト1,000人、業界人3,200人という規模を誇るが世界12大映画祭の一つでもある。
ヴェネチア国際映画祭の次に古い国際映画祭です。
ロカルノで初めて脚光を浴びた著名監督の中で、スタンリー・キューブリック
ミケランジェロ・アントニオーニ、ミロス・フォアマン、スパイク・リーやキム・ギドクなど挙げられる。
http://jahia.pardo.ch

映画は、6/13(土)から、テアトル新宿、テアトル梅田、名古屋ゴールド劇場にて公開。
初日の6/13には、テアトル新宿で、押井守・西久保瑞穂・泉谷しげる(主題歌)の舞台挨拶、名古屋ゴールド劇場・テアトル梅田で、押井守・西久保瑞穂の舞台挨拶が行われる。
詳しくは、http://musashi-souken.com
まで。

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http://data.cinematopics.com/?p=47434

執筆者

Yasuhiro Togawa