国際交流基金は、1982年の映画祭「南アジアの名作を求めて」を開催以来、アジア映画を新鮮な切り口で日本に紹介しつづけてきました。今回の特集では、これまで、タイ映画祭、フィリピン映画祭、東南アジア映画祭等で上映された作品の中でも、映画史に残る名作を9本選んで上映します。これらの作品から現代アジア映画史の一端をご覧いただけるものと思います。

タイ、インド、韓国、フィリピン、インドネシア、マレーシア。
アジア映画史上の名作9本を特集!

■上映作品
『地獄のホテル』 ラット・ペスタニー監督 <1957年 タイ>
タイの若手映画人がこぞって敬意を表するラットの監督デビュー作。
田舎の宿を舞台に、歌に踊りに決闘にボクシングに恋愛と、次から次
へと何かが起こる。タイ式グランドホテル・スタイルの一本。

『紙の花』 グル・ダッド監督 <1959年 インド>
ヒンディー映画の巨匠グル・ダット監督・主演の半自伝的メロドラマにして最後の監督作。インド初のシネマ・スコープ作品。妻子ある映画監督が主演女優に恋するが、仲を裂かれ、名声を棒に振る。

『下女』 キム・ギヨン監督 <1960年 韓国>
幸福な家庭に現れた一人のメイド。一家の主が彼女と関係を持ったことから、悪夢がはじまる……。家庭を破滅に導く魔性の女を描いた、
金綺泳(キム・ギヨン)ワールドの原点にして頂点の傑作。

『マニラ・光る爪』 リノ・ブロッカ監督 <1975年 フィリピン>
エドガルド・M・レイエスのタガログ語小説「光る爪」を映画化。恋人を探してマニラを彷徨う青年フーリオが、絶望の淵へと追いつめられる。フィリピンの名匠ブロッカの名を世に知らしめた作品。

『カカバカバ・カ・バ?』 マイク・デ・レオン監督 <1980年 フィリピン>
クリストファー・デ・レオン主演の抱腹絶倒ミュージカル・コメディー。フィリピンにはびこる日本人ヤクザと、彼らに追われるはめになったフィリピン人カップルの姿を描く。日本批判もチクリ。

『天使への手紙』 ガリン・ヌグロホ監督 <1993年 インドネシア>
古い習慣の残る村に住む少年ルワは、両親を失ってから天使に手紙を書くようになるが……。ドキュメンタリー・タッチの力強い映像が高く評価され、ガリン・ヌグロホが世界的名声を確立した作品。

『エリアナ、エリアナ』 リリ・リザ監督 <2002年 インドネシア>
久しぶりに再会した娘と母の葛藤を、ジャカルタでの一夜の物語に凝縮させて描き、インドネシア映画の新生を告げた記念碑的作品。
リリ・リザ監督は本作でポスト・スハルト世代随一の注目株となった。

『トロピカル・マラディ』 アピチャッポン・ウィーラーセタクン監督 <2004年 タイ>
兵士のケンと青年トンは、静かな日々をともに過ごしていた。そんなある日、ケンは、森で不思議な男を目にする。タイ映画の異才が、“呪いにより、人間が虎に変身する”という民間伝承を背景に描いた衝撃作。

『ムクシン』 ヤスミン・アハマド監督 <2006年 マレーシア>
オーキッドは10歳、ムクシンは12歳。やがて二人に恋する季節が訪れて……。「マレーシア映画新潮」を牽引するヤスミン・アハマドが、友情と恋のはざまで揺れ動く、思春期の輝きを描く。

■主催
コミュニティシネマ支援センター/財団法人国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)
アテネ・フランセ文化センター
独立行政法人国際交流基金(ジャパン・ファウンデーション)

チケット (各回入替制)
一般=800円 JFサポーターズクラブ会員=600円
アテネ・フランセ文化センター会員=600円

■上映スケジュール
6月8日(月)
16:00 「紙の花」(148分)
19:00 「下女」(108分)

6月9日(火)
16:10 「カカバカバ・カ・バ?」(106分)
18:30 「天使への手紙」(118分)

6月10日(水)
16:30 「エリアナ、エリアナ」(83分)
18:30 「トロピカル・マラディ」(125分)

6月11日(木)
15:10 「地獄のホテル」(138分)
18:00 「紙の花」(148分)

6月12日(金)
16:10 「下女」(108分)
18:30 「マニラ・光る爪」(125分)

6月13日(土)
14:00 「天使への手紙」(118分)
16:30 「エリアナ、エリアナ」(83分)
18:30 「ムクシン」(90分)

■全作品日本語字幕付
■各回入替制

■会場 アテネ・フランセ文化センター■
東京都千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4F
(JR/地下鉄 御茶ノ水・水道橋駅徒歩7分) TEL. 03-3291-4339(13:00-20:00)
http://www.athenee.net/culturalcenter

執筆者

Yasuhiro Togawa