60年代にたった二年半しか続かなかったGSブームに21世紀から飛び込み、ザ・タイツメンを演じたのは、『キル・ビル Vol.1』『死国』『エクステ』などで強烈な個性を発揮し、今回は男装にも挑戦した栗山千明、『蝉しぐれ』で鮮烈なデビューを飾り、本作では見事な歌声まで披露する石田卓也、『仮面ライダーカブト』や「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」で大ブレークした水嶋ヒロ 『ALWAYS 続・三丁目の夕日』「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」の若手個性派の浅利陽介といった映画やTVドラマ等で大活躍中の4人。

<STORY>
1968年。GSブームの全盛期に即席で生まれたバンド“ザ・タイツメン”。タイツを履いた王子様たちに、女の子たちは忽ち夢中になった。人気の中心は、美景のキーボード、ミク。しかし、ミクはホントは女だった!
GS(グループ・サウンズ)がブームとなった時代を背景に、音楽に青春を賭けてショービジネスの世界に飛び込んだ若者たちが、大人たちに翻弄されながらも、熱く輝いた様をコミカルに描いた『GSワンダーランド』

ザ・タイツメンが歌う主題歌は当時ヒットを連発した橋本淳(作詞)&筒美京平(作曲)のゴールデンコンビが、新たに書き下ろし!! 「海岸線のホテル」。清潔で明るい恋を連想させる詩に、ちょっぴり切なさを漂わせるメロディが、今の時代に新鮮に響く。
GSブームからちょうど40年経ち、GS再評価の流れが強まっているだけに、音楽業界からの注目度も高い。

<裏話>
栗山以外は楽器に触るのも初めての状態から特訓を重ねた上に、当時を再現した王子様スタイルにも果敢に挑戦してザ・タイツメンになりきった4人。虎ノ門のライブハウスで、楽器指導のコーチから基礎の演奏法と動きを習い、自宅や仕事の合間にも自主練をした。特に石田はギターを弾きながら歌うことになり、夜遅くまで自宅で練習したという。水嶋は、ギターやベースよりも難易度が高いドラムを担当。音と動きが合っていないと、ミスが目立つのだ。しかし、水嶋はあっさり1曲を叩けるようになる。浅利は大学の海外研修で練習に参加できる時期が短かったため、ベースを抱えてカナダへ飛んだ。最終的には、4人の演奏テクニックは予想以上の仕上がりに!演奏シーンで、カットがかかると、みんな示し合わせたわけでもなくドラムセットの周りに座って、なんとなく一緒にいたり、疑似バンド体験を楽しんだという。
クランクアップ前日にこの曲を演奏するザ・タイツメン解散ライブが撮影された。それまで時間を見つけては楽器の特訓に励んできたメンバーは、テイクが進むに連れてノリノリに。2ヵ月間のつらかった特訓を思い出したのか、カットがかかった瞬間、その場にいたスタッフもキャストも達成感に酔いしれ、そして、ザ・タイツメン解散の寂しさに目を潤ませた。

<監督コメント>
主題歌はGS界でヒットを飛ばした名コンビ、筒美京平と橋本淳しかない!という本田監督の熱い思いとこだわりが実現した。「曲のイメージは、甘い歌声のオックス「スワンの涙」。悲しげなメロディにメルヘンチックな詩の世界で、典型的なGSのメロディライン。ザ・タイツメンにも同じ世界観の曲を作って欲しいと依頼した。しかし、思いとは裏腹に全く違うイメージの曲が出来上がった。とはいえ、結果的にこの曲が使われるシーンにはピッタリとくるものだったので、さすが名コンビでした。オリジナルはどちらかと言うとミスチルっぽい今風の曲だったが、映画の世界観を出すべく、アレンジをし、「海岸線のホテル」が出来上がった。」

<石田コメント>
歌は得意じゃないので、この映画の話を聞いた時は「どうしよう・・・・」と思いました。
でもたくさんのお客さんを前に歌ったライブシーンの撮影はとても気持ちよかったです。
ザ・タイツメンの曲がCD発売するという話を聞いたときは本当にびっくりしました。
自分の歌声を聞くのは恥ずかしいので、なんか複雑な気持ちですね。

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執筆者

Yasuhiro Togawa