2004年に書き下ろしで刊行されて話題を呼び、昨年5月に文庫化された人気小説『笑う警官』 (ハルキ文庫) がこの秋、映画化されることとなった。

原作となる小説『笑う警官』は、『警察庁から来た男』、『警察の紋章』へとつづく、北海道警を舞台にした「道警シリーズ」の第1作にあたり、発表当時の「2005年版このミステリーがすごい!」で10位にランクインした傑作。これから発売される第3作を除いた2作で、50万部を超える人気シリーズである。「主人公には警察官としてのプライドがあり、ドラマがある」、「読んだ後の爽快な気分がたまらない」、「シチュエーションの奇抜さとプロット、テンポのよいストーリー展開とで読ませる」と、読者の支持は熱く、その描写力に映画化を望む声も、当初から多かった。

原作者の佐々木譲は、『警官の血』が「2008年版このミステリーがすごい!」で1位に選ばれ、第138回直木賞にもノミネートされた実力派の人気作家で、同作はテレビ朝日が「開局50周年記念」でのスペシャルドラマ化を発表したばかりである。

小説『笑う警官』は、『警官の血』の原点ともいえる作品であり、また映画化されてヒットした『半落ち』をはじめとする横山秀夫の「D県警」シリーズ、『果断 隠蔽捜査2』で第21回山本周五郎賞を受賞した今野敏の「隠蔽捜査」シリーズ、映画化もされた雫井脩介の『犯人に告ぐ』や、五十嵐貴久の『交渉人』といった昨今の「警察小説ブーム」の先駆といえ、かつ金字塔といえる作品である。

クールな外見に情熱を秘めた主人公の警部補・佐伯に、真山仁の経済小説のドラマ化作品『ハゲタカ』等で好評を博した大森南朋。その他、松雪泰子など多彩な出演陣がキャスティングされている。

『笑う警官』は、製作総指揮を執る角川春樹がメガホンをとる。角川は、かつて1982年の『汚れた英雄』で華々しく監督としてのデビューを飾った。その後、『愛情物語』(1984年)、『キャバレー』(1986年)、『天と地と』(1990年)、『REX 恐竜物語』(1993年)、『時をかける少女』(1997年)と、監督してのキャリアを積み、本作が7作目となる。角川は、11年ぶりのブランクにも、「全く心配がない」と言い切る。さらには、自ら脚本も手がけており、本作にかける意気込みがうかがい知れる。

また、角川は主演の大森南朋を「繊細さと男の色気を併せ持つ、新しいタイプの役者」と絶賛。撮影現場でも、それぞれの役者の意見を柔軟に取り入れながら、映画を作りあげていくと語り、役者自身が映画を理解し、考える環境を整える。

本作は書き下ろし当初『うたう警官』のタイトルで出版され、昨年初頭に映画化の企画が動き出し、文庫化にあたって『笑う警官』と改題された。9月18日クランクイン、11月クランプアップ、2009年秋以降、東映の配給により全国公開の予定である。

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執筆者

Naomi Kanno