「ちいさなひとのえいががっこう」は子どものための映画学校を作るべく立ち上げられた、ボランティアによるサークルです。2005年6月より活動を始め、この3年間に「おはなしくらべ」などの子ども映画会を過去に20回、また特別授業の「映画館遠足」を3回企画して実施してきました。上映した映画は89本、参加してくださった親子さんは約160組にもなりました。
http://yaplog.jp/eigagakkou/

スタッフも参加者も続々と増えていく中、「見逃した作品を観てみたい!」「面白かったあの映画をもう一度観たい!」という声も集まり、この記念日をお祝いしてこれまでの上映作品の中からアンコール上映会を開催することにしました。みなさまから、リクエストを受け付けた結果、14本の作品が決定しました。

カナダの不思議な味わいにあふれた「鳥」を主人公としたアニメーション、ちいがくでもおなじみの岡本忠成さんの作品集、人気企画のおはなしくらべでは宮沢賢治原作のアニメーションを、そして長編作品では幅広い年齢層から支持を集める長くつ下のピッピシリーズから「ピッピの新しい冒険」を上映します。
また、1枠だけ上映作品を決定せずに空けているプログラムがあります。ここは、開催直前までみなさまから投票を受け付けて、作品の発表は当日のお楽しみとなる、謎の上映とするつもりです。

子どもはもちろん、親にとっても楽しめるプログラムとなっています。入場は無料。
16mm映写機を実際に目の前にした、映写機見学なども行います。
ぜひ、この上映会を広く知っていただくために、みなさまのご協力を賜りたく、お願い申し上げます。
詳細については、担当の岡崎(携帯:090-7132-8393,eigagakkou@hotmail.co.jp )までお問い合わせください。

■開催概要

主催:ちいさなひとのえいががっこう
助成:独立行政法人国立青少年教育振興機構(子どもゆめ基金)
日時: 2008年7月26日(土) 10:00-19:00
会場:セシオン杉並2F・視聴覚室 (杉並区梅里1-22-32)
    →地下鉄丸ノ内線「東高円寺」駅徒歩5分、「新高円寺」徒歩7分
    →関東バス(中野 – 五日市営業所・吉祥寺)「杉並車庫前」 徒歩5分
    →都営・京王バス(阿佐ヶ谷 – 渋谷)「セシオン杉並前」 徒歩2分
     地図→https://www.yoyaku.city.suginami.tokyo.jp/HTML/0030.htm
料金:無料
ブログ:http://yaplog.jp/eigagakkou/
お問い合わせ:ちいさなひとのえいががっこう(担当:岡崎)
   携帯:090-7132-8393 e-mail: eigagakkou@hotmail.co.jp
  *大人だけの参加(見学、取材など)をご希望の際はあらかじめご連絡ください。

■上映スケジュール
【10:00 開始】
10:00 映画を観る前のお話
10:05 <とり・トリ・鳥プログラム>
「フクロウとカラス」 7分
「ツグミ」 4分
「灰色のニワトリ」 6分
「二羽の小鳥」 5分
「欲ばりブルージェイ」 8分

11:00 <岡本忠成プログラム>
「おこんじょうるり」 25分
「ふらいぱんじいさん」 21分
「モチモチの木」 17分

12:30 <お楽しみ上映>
作品未定(直前までのリクエスト投票により決定)

14:00 <おはなしくらべー宮沢賢治>
「注文の多い料理店」 19分
「セロ弾きのゴーシュ」 18分
「猫の事務所」 22分
「どんぐりと山猫」 20分

16:00 「わんぱくナージャの竜王退治」 60分

17:30 「長くつ下のピッピ」 82分

 【19:00 終了予定】
* 各作品の上映前には、映画についての簡単なお話があります。おはなしくらべでは、同じ宮沢賢治が描いた原作をもとにした映画を比べてみて、子どもたちの感想からそれぞれの違いや映画の読み取り方などを引き出すワークショップを行います。
* 一日を通しての長いプログラムですので、途中からの参加、退場は自由にしていただいて結構です。

■上映作品の解説

「フクロウとカラス」
(7分/1973年/カラー/カナダ/16mmフィルム)
エスキモーの伝説によると、カラスは現在のように真黒ではなかったという。このおもしろい物語はアザラシの皮で作った本物のような2羽の縫いぐるみで演じられる。エスキモー芸術家の作品。原題:The owl and the raven.
*2006年3月25日 「おはなしくらべーさるかに合戦」より

「ツグミ」
(4分/1958年/カラー/カナダ/16mmフィルム)
フィルム芸術家ノーマン・マクラレンが、体の一部を失くしたり、また見つけたりする黒鳥のことを歌った、古い仏系カナダ人のナンセンス・ソングを漫画にしたものである。原題:Le merle
*2006年3月25日 「おはなしくらべーさるかに合戦」より

「灰色のニワトリ」
(6分/1947年/カラー/カナダ/16mmフィルム)
教会に住んでいる小さな灰色のニワトリと、月に住んでいる小さな茶色のニワトリの、仏系カナダ人の古い子守歌。歌:アナ・マレンファント 制作:ノーマン・マクラレン 原題:La poulette grise
*2006年3月25日 「おはなしくらべーさるかに合戦」より

「二羽の小鳥」
(5分/1968年/カラー/カナダ/16mmフィルム)
2羽のけんか好きな鳥が羽を取替えなければならなくなった。‘アオカケス’は杉の木色のグリーンに、‘アビ’は樫の葉色の赤にとり替えようとする。製作:エブリン・ランバード 原題:Fine feathers
*2006年3月25日 「おはなしくらべーさるかに合戦」より

「欲ばりブルージェイ」
(8分/1969年/カラー/カナダ/16mmフィルム)
くちばしでくわえられるものなら何でも持っていってしまうブルージェイ(アオカケス)が主人公。エブリン・ランバートの作った、鳥の国のファンタジ−。原題:Hoarder.
*2006年3月25日 「おはなしくらべーさるかに合戦」より

「おこんじょうるり」
(25分/1982年/カラー/日本/16mmフィルム)
まじないで厄払いするいたこのばあさまは、このところへまばかりしてふさぎこみ、寝込んでいた。そこへおなかをすかせたキツネのおこんがやってきて・・・。食べ物をもらったおこんがりんりんとじょうるりをうなると、たちまちばあさまは元気になった。東北の山村を舞台にした創作民話の人形アニメ。芸術祭大賞、教育映画祭最優秀作品賞受賞作品。原作:さねとうあきら
*2006年4月23日 「おはなしくらべー7ひきのこやぎ」より

「ふらいぱんじいさん」
(21分/1981年/カラー/日本/16mmフィルム)
子どもたちに目玉焼きを焼くことが生きがいだったふらいぱんのじいさんは、ある日、新しいふらいぱんと取りかえられてがっかり。台所の暗い流しの下で、ゴキブリや中華鍋のおじさんにはげまされ、「旅に出てみたら」とすすめられて、新しい生きがいを探りつつ旅をすることにする。嵐の海や大だこなど、こんなんな冒険の旅は…。
粘土を使った半立体アニメーション。原作:神沢利子、語り:岸田今日子、草野大悟
*2008年5月24日「アニメーションって楽しい! 岡本忠成特集」より

「モチモチの木」
(17分/1972年/カラー/日本/16mmフィルム)
夜中にトイレにも行けないような臆病な豆太が、いつもやさしくしてくれるじっさまの急病に、怖さにも耐えて勇気をみせます。原作絵本の切り絵に対して、映画での表現方法として採用したのは、和紙を使用した背景と人形による半立体アニメーション。和紙の手触りが民話的な味を出しています。また、原作にはなかった浄瑠璃調の語りは、岡本が書いた脚本に鶴澤清治が作曲して三味線の演奏をつけ、豊竹呂太夫が語りをつけています。原作:斎藤隆介・作、滝平二郎・絵
*2007年2月10日 「おはなしくらべーモチモチの木」より

「注文の多い料理店」
(19分/1991年/カラー/日本/16mmフィルム)
山奥に猟をしにやってきた二人のハンターが、獲物を追ううち、森の奥深くに迷い込んでしまう。突然、霧の中から現れた「山猫軒」。そこに踏み込むと、数々の奇妙な出来事に遭遇する…。宮沢賢治の原作に、独自の解釈を加え、セルアニメによる新しい手法で動画化。制作途中で急逝した岡本忠成の遺志をついで、同じアニメ作家の川本喜八郎が完成させた。全体をセピア色の色調でまとめ、大人の鑑賞に耐える、芸術性の香り高い作品に仕上がっている。
*2006年10月28日 「おはなしくらべー宮沢賢治の猫たち」より

「セロ弾きのゴーシュ」
(18分/1998年/カラー/日本/16mmフィルム)
ゴーシュは、楽団のセロを弾く係です。しかし、どうしても、うまく弾けません。ある晩、家で練習していると、大きな三毛猫が現れます。努力するゴーシュといろいろな動物との出会いを描くアニメ。原作:宮沢賢治
*2007年3月24日 「おはなしくらべーセロひきのゴーシュ」より

「猫の事務所」
(22分/1996年/カラー/日本/16mmフィルム)
黒猫の事務長と四匹の猫が働く事務所。かまどの灰をつけた四番書記のかま猫にいつもつらく当る他の猫たち。悲しみにくれるかま猫。ある日友達の山猫が「弱い者いじめはやめろ」とどなりこんでくると、かま猫はみるみるライオンに変身して…。原作:宮澤賢治 監督:福冨博
*2007年3月24日 「おはなしくらべーセロひきのゴーシュ」より

「どんぐりと山猫」
(20分/1995年/カラー/日本/16mmフィルム)
ある日、おかしな葉書が一郎の家に届く。「あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい」出かけてみると、どのどんぐりが一番、偉いかを決めるという、おかしな裁判。困ってしまった判事の山猫を助けるために、一郎はある判決をくだす…。
童話集「注文の多い料理店」の巻頭を飾る作品で、ほのぼのとしたストーリーの中にも、差別を超越して平等を求めるといった宮沢賢治の思想が息づいている。
*2006年10月28日 「おはなしくらべー宮沢賢治の猫たち」より

「わんぱくナージャの竜王退治」
(60分/1979年/カラー/中国/16mmフィルム)
少年ナージャが仙人の弟子になり、超能力を身につけ、雨乞いの供物に子どもたちを要求する悪い竜王と闘って退治するという物語。「封神演義」の那咤(なたく、ナーザ)を題材としていて、京劇でもよく上演されるエピソードである。上海美術映画製作所によるセル画アニメ。カンヌ映画祭でも上映され、国際的に評価が高い。
*ちいがく初上映

「ピッピの新しい冒険」
(82分/1970年/カラー/スウェーデン/16mmフィルム)
赤いおさげにソバカスだらけ、長くつしたのピッピは世界で一番強い女の子。海賊のお父さんが残してくれたたくさんの金貨をカバンにつめて、がらくた荘に引っ越してきました。力持ちのピッピは、金貨を狙ってやってきた泥棒二人組を投げ飛ばしたり、馬を持ち上げたりと元気いっぱいです。おとなりのトミーとアニカは、気球に乗ったりイカダに乗ったりのピッピとの冒険に夢中になり、すぐに仲良しになりました。
シリーズ第1作。
*2005年10月30日 「ピッピとカナダのアニメ」、
*2007年8月11日、19日 「ピッピと子どもたち」より

★ ★ 宮沢賢治 プロフィール ★★
1896年8月27日、岩手県花巻市生まれ。盛岡中学、盛岡高等農林学校卒。幼い頃から植物、昆虫、鉱物などに興味を持ち、なかでも鉱物採集に熱中したという。中学生になると自然への傾倒はいっそう強まり、山野を散策し、ときには哲学書や仏典を読みふける。この自然への傾倒、仏教への興味は、後の賢治の童話や詩などの作品に色濃く反映されている。1922年花巻農学校教諭。 1924年、心象スケッチ『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』刊行。詩人、童話作家、音楽家、哲学者、科学者、宗教家、農民と様々な顔をもつ。農民の生活の向上のために尽くすが、1933年急性肺炎のため37歳で永眠。
代表作に「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「よだかの星」「やまなし」など、多数。

★★ 岡本忠成 プロフィール ★★
1932年1月11日、大阪・豊中生まれ。大学卒業後、2年間の会社勤務を経て、日大芸術学部映画学科へ入学。卒業後は持永只仁が立ち上げたMOMプロダクションに入社、アニメーターとして活躍する。1964年に独立し、株式会社エコーを設立、デビュー作となった「ふしぎなくすり」以降、独自の作風を発揮しながら数々の短編アニメーションを製作する。
代表作には「ようこそ宇宙人」や「花ともぐら」などの星新一の作品を原作としたシリーズ、その他の有名な民話をもとにした「おこんじょうるり」「さるかに」「モチモチの木」、また唄とのコラボレーションでは合唱曲「チコタン」や、NHKみんなのうたのシリーズなどがあり、特に「メトロポリタンミュージアム」は広く人に親しまれている。
毎日映画コンクール大藤賞、芸術祭大賞、キネマ旬報ベストテン1位(文化映画部門)やヴェネチア国際児童映画祭銀賞など、国内外で受賞多数。
1990年2月16日、死去。遺作は、パペットアニメショウで共に作品を発表してきた盟友の川本喜八郎監督との共作による「注文の多い料理店」。

執筆者

Yasuhiro Togawa