身体障害者の殺人を描いた映画『おそいひと』の公開を記念して、“障害者の自立”をテーマにしたシンポジウムを開催いたします。

 「障害者」と呼ばれる者の犯罪、特に殺人を、実際の重度身体障害者達を起用し描いた本作品は、2004年に完成、その後国内外の映画祭で熱烈な興奮で迎えられた一方、その取り上げた題材、そしてその手法により、同じだけの嫌悪・拒絶も浴びせられました。

しかし、主演の住田さんは言います。

—私は、言葉は全くしゃべれず、現在トーキングエイドを使用してコミュニケーションを図っている重度の車椅子脳性麻痺の障害者です。これまで大阪に拠点を置く障害者だけの劇団「態変」のエキストラとして4回の公演に出演し、この度、「おそいひと」という映画に主演俳優として出演しました。この作品の中で、私は殺人犯を演じています。「障害者が殺人鬼として登場するから、障害者差別を助長する」と感じる方たちもおられるでしょう。日本の映画で今まで殺人を扱った作品は無数にあると思います。この「おそいひと」はその一つに過ぎません。障害者というだけで、過激な表現が暗黙の了解のもとに制約されてきた日本映画界において、障害者が常軌を逸した人物として登場するこの映画は、強いメッセージを持ち、且つ優れた文化作品だと誇りを持って言えます。
困難なことかも知れませんが、障害者が自分たちの文化を取り戻す作業が必要だと思います。そして、障害者も障害者の世界に閉じこもらず、もっと、いろいろな人たちと協力し合い、文化創造を力強くしていかねばならないと思っています。—

そこで今回、この住田さんの思いを、シンポジウムで取り上げてみたいと考えました。<障害者やからって一緒やろ>という本作中の科白をタイトルとし、身体障害者の自立とは何か、どうやって自立できるか、彼等の文化活動への参加、といった議題について住田さんを含め、障害者、支援者、介護者の方々と議論し、理解を深めていきたいと考えております。

■日時:12月3日(月)13:00〜16:00(予定)入場無料
■場所:スペース&カフェ ポレポレ坐(中野区東中野4−4−1ポレポレ坐ビル1F)

■ゲスト:住田雅清(主演)ほか、ゲスト多数来場予定

■「おそいひと」称賛の声が届いています!

始まってすぐに映像の美しさに圧倒され、次いで主演・住田の存在感に引き込まれ、やがて監督・柴田の眼差しの繊細さに出くわして幾度となく言葉を失い、劇中の「小池」に黙祷しつつも、最後はこっちの気持ちを丸ごともって行かれた。もしあなたが、この美しい傑作を観る直前までの私と同じく、「不必要な過激さを盛り込んだ障害者モノではないのか」と警戒しているのなら、そういうあなたや私の力みの正体が何であるのかを、『おそいひと』は涙とともに教えてくれるかもしれない。
モブ・ノリオ(作家)

これはわるいえいがだっ!!!                     
加瀬亮(俳優)

ドキュメンタリーなんじゃないかと思うと恐怖を感じました。いろんな見方があると思いますが私の心には突き刺さりました。                 
蒼井そら(女優)

ハッピーバースデー住田“トラヴィス”雅清さん
是非死刑となって あなたの自由を完成させて下さい
新井英樹(マンガ家)

「障害者の映画」というのはこれまでとにかく押し付けがましいメッセージか極端な美談、さもなければ「障害者が!?」という物珍しさだけの過剰なまでの過激なものしかなかったが、これは違う。
「人間」に立脚してる故にとてつもなく面白い!「人間」の誰にもある狂気、それが同じ人間の「障害者」にだって当たり前にある。その“当たり前”を正面切って描いた作品がこの『おそいひと』。
それにしてもこの主人公の「住田」は本当に憎々しいヤツである。どうかこの「住田」を「障害者だから」なんて同情を一切抜きにして大いに憎んでほしい。憎んで憎んで憎しみ抜いてほしい。そうやって自分の狂気を棚に上げて他人の狂気を忌み嫌うことでしか人間なんて理性を保てやしないのだから。
ホーキング青山(お笑いタレント)

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