2年に1度開催されるの山形国際ドキュメンタリー映画祭。
今年で10回目を数え記念すべき年になりました。
話題のインターナショナル・コンペティション上映作品決定しました! 

インターナショナル・コンペティションは、2007年4月10日に締め切られ、100の国と地域から応募された969作品の中から、15作品が決定しました。
http://www.yidff.jp/2007/program/07p1.html

■■インターナショナル・コンペティション 15本ラインアップ■■
(邦題は仮題です。監督名のカタカナ表記は変更される場合があります。)

★出会い
Encounters
ポルトガル、フランス/2006/ポルトガル語/カラー、モノクロ/ビデオ/105分
監督:ピエール・マリー・グレ Pierre-Marie Goulet
1957年ポルトガル・アレンテージョ地方ペログアルダ村に集まった若者たち。
その中には詩人アントニオ・レイスやポルトガル・フォーク音楽の救世主ミシェル・ジャコメッティがいた。彼らは1960年代に入ると音楽・詩・映画などポルトガルの新しい文化の担い手になっていく。映画は、パウロ・ローシャが1950年代に監督したフィルムを挿み、現在の静かな海と村のたたずまい、哀しみをたたえた歌と語りが流れていく。

★フォン・ミンーー中国の記憶
Feng Ming, A Chinese Memoir
中国/2007/中国語/カラー/ビデオ/183分
監督:王兵(ワン・ビン) Wang Bing
中国の革命を生き、党や国のために活動していたフォン・ミン。
1950年代の反右派闘争や文化大革命で様々な迫害を受け、労働キャンプに送られ、1970年代末にようやく名誉回復した女性の壮大な物語が綴られていく。本映画祭2003大賞作品
であり9時間の大作『鉄西区』王兵(ワン・ビン)監督が新たな手法に挑戦する。

★彼女の墓に花を手向けるのは私ひとり
I Am the One Who Brings Flowers to Her Grave
シリア/2006/アラビア語/モノクロ/ビデオ/110分
監督:アラ・アラブダラ、アンマール・アル・ベイク Hala Alabdalla, Ammar Al Beik
監督は友人を引き連れて故郷シリアへ帰還する。20年間映画製作を夢見て生地を歩きながら当時の友人にカメラを向ける。監禁と亡命、過去と現在、愛と死について語られる。

★リック・ソルト
Lick Salt
カナダ/2006/英語/カラー、モノクロ/ビデオ/78分
監督:ライアン・フェルドマン Ryan Feldman
ライアン・フェルドマンは祖父の葬式で15年間疎遠になっていた
孤独な祖母セシル
と再会する。セシルと、息子つまりライアンの父との深い不和の原因が徐々に明らかになる。居場所を求める孫、人生から消え去る孤独と闘う祖母。反ユダヤ的迫害から逃れた祖母の幼少時代の記憶。運命、別れ、生きること、人生の狂気をたたえた私的ドキュメンタリー映画。

★M
M
アルゼンチン/2007/スペイン語/カラー、モノクロ/35mm/150分
監督:ニコラス・プリビデラ Nicolas Prividera
監督は母親が誘拐された年齢と同じ年齢を迎えようとしている。
1976年消息不明になったINTA労働者の息子であり、この映画の監督は、元軍人と母親の同僚に面会する。同時に政府組織、非政府組織を訪ねる調査を始めるうちに新たな疑問、黙秘そして共謀が浮かび上がる。

★僧院
The Monastery
デンマーク/2006/デンマーク語、英語、ロシア語/カラー/ビデオ/84分
監督:パーニール・ローズ・グロンカジャエール Pernille Rose Gronkjaer
50年前僧院にする目的でヘスビョルグ城を買ったヨルゲン・ローエルセン・ヴィグ。
独身で今だ恋を知らない。城を僧院にする何十年の夢を実現するため、ロシア正教徒尼僧一団がやってきた。ヴィグは尼僧たち独自の計画と意向で、夢を実現する道は想像していたのとはまるで異なることを思い知る。ヴィグと若いロシア人シスター・アムブロシアとの心の交流を描く。

★ピリペンコと潜水艦
Mr. Pilipenko and His Submarine
ドイツ/2006/ロシア語、ウクライナ語/カラー/ビデオ/90分
監督:ヤン・インリック・ドレヴズ、レネ・ハーダー 
ウクライナの大草原で山積みの金属と古い部品に向かい続け30年。ウラジミール・ピリペンコは実物大の潜水艦を作りあげ、村の湖に浮かべて成功する。しかしピリペンコは遥か広大なものを見つめていた。400km先の黒海で手作り潜水艦が動くのを世界に証明したかった。潜水艦と創作者ピリペンコを乗せたおんぼろ輸送車は大草原を進んでいく。地理的障害や政治の大変動にも負けず 「一生の念願」をピリペンコは成し遂げる事が出来るのか。

★紙は余燼(よじん)を包めない
Paper Cannot Wrap Up Embers
フランス/2006/カンボジア語/カラー/ビデオ/90分
監督:リティー・パニュ Rithy Panh
カンボジア、ある売春宿。家族や金のための人身売買、父親からのレイプ、客や仕切りのマダムからの暴力、エイズ感染。発展のさなかにあるカンボジアの底辺で暮らす娼婦たちの魂の死のような一生を描く。監督はカンボジア出身、フランス在住のリティー・パニュ監督。2001年『さすらう者たちの地』で大賞を受賞。

★旅ーーポトシへ
Potosi, the Journey
イスラエル、フランス/2007/スペイン語、ヘブライ語/カラー、モノクロ/35mm/246分
監督:ロン・ハヴィリオ Ron Havilio
1970年ブエノス・アイレスで結婚式をあげたロンとジャクリーンは、バックパックを背負い、スチール・カメラを手に、アンデスへ向かった。クスコへ向かってボリビアを横断する途中、ふたりはポトシという街に出会う。29年後彼らは3人の娘とスーパー16mmカメラとともに同じ場所へ戻ってきた。ポトシとアンデスの現在の姿を描くとともに、作者と家族の心の旅を描いたロード・ムービー。

★主人公
Protagonist
アメリカ/2006/英語/カラー/35mm/90分
監督:ジェシカ・ユー Jessica Yu
主人公はゲイの伝導師、ドイツ人テロリスト、カンフーオタク、銀行強盗の4人。それぞれの子供時代、欲望、哲学が章仕立てで構成され、その間にギリシャ悲劇を人形たちが演じていく。個性的な4人の人生が、クライマックスには共鳴し融合していく様を描く。

★革命
Revolution
フィンランド/2006/フィン語/カラー、モノクロ/35mm/80分
監督:ジョウコ・アルトネン Jouko Aaltonen
より良い世界を求めた70年代闘争を描いたドキュメンタリーミュージカル映画。社会主
義運動はまさに現実の代替物のようだった。この革命において歌は中心的な役割を担った。戦い、団結、社会主義、ベトナム、チリについて歌う何百ものソンググループが誕生。今、中高年になった元革命家たちは、現在の状況や職場について歌う。

★あなたが去ってから
Since You Left
パレスチナ、イスラエル/2006/アラビア語、ヘブライ語、英語/カラー/ビデオ/58分
監督:モハメド・バクリ Mohamed Bakri
監督・俳優モハメド・バクリは、導師だった故エミル・ハビービ(パレスチナ人作家・政治家)の墓を訪れ、ハビービがこの世を去ってから何が起きたかを伝える。モハメド・バクリの身に起きた2つの出来事が彼の生きる道を変えていく。イスラエル北部の都市メロンのテロ事件でふたりの甥が訴追されたこと、自作『ジェニン・ジェニン』が上映禁止の憂き目にあったこと。その苦闘を通しモハメドはイスラエル・パレスチナ問題を問いていく。

★垂乳女
Tarachime birth/mother
日本/2006/日本語/カラー/ビデオ/43分
監督:河瀬直美 Kawase Naomi
カンヌ国際映画祭グランプリ受賞・河瀬直美監督の新作ドキュメンタリー映画。親代わりに育ててくれた老養母の認知症、息子の出産により「生」を静かに見つめていく。

★ワイルド・ワイルド・ビーチ
Tenders’ Hear. Wild, Wild Beach
ロシア、ドイツ/2006/ロシア語/カラー/ビデオ/100分
監督:ヴィタリー・マンスキー、アレクサンダー・ラストルグエフ、スザンナ・バランツィーヴァ 
Vitaly Mansky, Alexander Rastorguev, Susanna Baranzhieva
夏のヴァカンスに人々が集まるロシアの海岸。客寄せのためラクダを遠方はるばる移送する写真屋、酔いどれ初老女、ラップを歌う老人、プーチン大統領の訪問。皮肉、憂鬱、人間の天性の純潔さと卑劣さに満ちているこの海岸を通して現在のロシアが見えてくる。

★12曲のタンゴ
12 Tangos
ドイツ/2005/スペイン語/カラー/35mm/90分
監督:アルネ・ビルケンストック Arne Birkenstock
何百万というイタリアやスペインからの移民が押し寄せたアルゼンチン。今日、経済恐慌に陥った自国を後にヨーロッパへ出稼ぎをする移民3世たち。移民によって生まれたタンゴ、音楽、詩が数々披露され観客を魅了する。

以上