第3回映画上映専門家養成講座[シネマ・マネジメント・ワークショップ]実習企画

細野晴臣の音楽で映画館が満たされる
渋谷ユーロスペースにて 6月1週間限定レイトショー
 “日本語ロック”のパイオニア・はっぴいえんど、独自のサウンドを追求し続けるソロ活動、テクノ・ポップで一世を風靡したYMO、そして“最強の新人ユニット”として注目されたスケッチ・ショウなど、30年以上にわたり音楽ファンの心を惹きつけてやまない細野晴臣が、時代時代に手がけた映画音楽に注目する特集上映です。

映画に寄り添い、音楽を探求する
 細野晴臣が音楽を手がけた作品は神代辰巳監督「宵待草」(1974)から最新作・犬童一心監督「メゾン・ド・ヒミコ」(2005)まで、31年の間に9本。決して数は多くないものの、人気アニメーション監督・杉井ギサブローから、日活ロマンポルノの旗手・神代辰巳、沖縄映画のエポックメーカー・高嶺剛といった作家性の強い監督まで、そのコラボレーションの幅の広さにはあらためて驚かされます。彼の映画音楽は、音楽家としての主張を奥底にしのばせながらも、誠実に映画に寄り添い、その世界観を創り出すことに大きな役割を果たしています。実際、ニューオリンズサウンド、沖縄をはじめとする民族音楽、雅楽、アンビエント・ミュージックなど音楽家・細野晴臣の探求の試みが、彼のフィルモグラフィーとも言えるそれぞれの映画作品において実に見事に展開されています。

 今回の特集上映では、細野晴臣のサウンドトラックに彩られた名作・傑作・珍作の数々を新ユーロスペースの音響システムで楽しんでいただくとともに、細野氏自身による“理想の映画音楽作品”の上映会や、豪華ゲストによるトークやライブなどさまざまなイベントも開催したいと考えております。

実施日:2006年6月24日(土)〜30日(金)21:05より
 会場:ユーロスペース(145席)
    東京都渋谷区円山町1−5(渋谷・文化村前交差点左折)
    TEL:03−3461−0211
    http://www.eurospace.co.jp/
入場料:
当日券 一般・大学・専門学校生1,300円、
    会員・シニア1,000円、高校生800円
前売券 1100円、3回券3000円

主催:「HOSONO THEATER」実行委員会
   ※この企画は第3回映画上映専門家養成講座
    [シネマ・マネージメント・ワークショップ]の実習として実施するものです
共催:特定非営利活動法人 映画美学校
   コミュニティシネマ支援センター
    財団法人 国際文化交流推進協会(エースジャパン)
支援:文化庁(平成17年度文化庁芸術団体人材育成支援事業)
協力:ユーロスペース/アテネ・フランセ文化センター

問合せ:「HOSONO THEATER」実行委員会
    http://www.h-theater.com

●上映作品(1日1作品、全7作品上映)
○細野晴臣フィルモグラフィ
6月24日(土)
「宵待草」 
(1974/96分/日活)
監督:神代辰巳、製作:岡田裕、脚本:長谷川和彦、撮影:姫田真左久、美術:横尾嘉良
出演:高橋洋子、高岡健二、夏八木勲、青木義朗、吉田次昭、中谷昇、殿山泰司
細野晴臣による映画音楽1作目。「ティン・パン・アレー」の軽快な演奏に乗せて、鬼才・神代辰巳が大正時代の浅草を背景に、若き2人の無政府主義者と彼らに誘拐された政界の黒幕の令嬢の、奇妙で悲しい道行きを描く。

6月25日(日)
「夏の秘密」
(1982/92分/松竹)※細野晴臣:主題歌のみ担当
監督:川上裕通、製作:小坂一雄、瀬島光雄、原作:小林久三、脚本:池田一朗、東条正年、撮影:満井坦彦
出演:北原佐和子、真鍋ちえみ、三井比佐子、松本嘉代、若山富三郎、阿藤海 
80年代に活躍した3人組アイドルグループ“パンジー”主演の青春ミステリー。驚きの展開と奇抜な演出に注目。劇中に突如として挿入される主題歌「ナイトトレイン・美少女」が、観る者を別世界へと誘う。真鍋ちえみは細野晴臣プロデュースの伝説のテクノアイドルとしても知られる。

6月26日(月)
「パラダイスビュー」
(1985/113分/ヒートゥバーンプロダクション)※オリジナル版16mm上映
監督・脚本・美術:高嶺剛、製作:阿南満三、撮影:としおかたかお
出演:小林薫、戸川純、細野晴臣、平良トミ、りりィ、照屋林助、嘉手苅林昌
沖縄を撮り続ける高嶺剛監督が、復帰前の沖縄を舞台に、歴史と風土と寓話を取り入れつつ描くトロピカル・ファンタジー。沖縄音楽の要素に南国音楽やデジタルサウンドが加わり、不思議な世界観を作り出している。細野晴臣は日本人の植物学者イトーとして出演も。

6月27日(火)
「銀河鉄道の夜」
(1985/107分/角川ヘラルド映画)
監督:杉井ギサブロー、製作:原正人、田代敦巳、原作:宮澤賢治、原案:ますむらひろし、脚本:別役実
声:田中真弓、坂本千夏、堀絢子、中原香織、金田龍之介、常田富士男
宮澤賢治の原作を、主な登場人物を猫に置き換えたますむらひろしのマンガを原案に採用したアニメーション作品。映像と音楽のコラボレーションによって、原作の幻想的な情景が視覚化された傑作ファンタジー。

6月28日(水)
「ほしをつぐもの」
(1990/105分/オフィス北野)※デジタルベータカム上映
監督・脚本:小水一男、製作;藤倉博、企画:北野武、撮影:伊藤昭裕、美術:横尾嘉良
出演:ビートたけし、田中邦衛、足立龍児、吉村実子、洞口依子、高橋恵子
「その男凶暴につき」から一転、北野武が企画・出演したファンタジー作品。定年を間近に控えた男が突然昏睡状態に陥った。生死をさまよう中で、男は少年の頃に出会った不思議な山のおじちゃんのことを思い出す・・・。

6月29日(木)
「メゾン・ド・ヒミコ」
(2005/131分/アスミック・エース)
監督:犬童一心、製作:久保田修、小川真司、脚本:渡辺あや、撮影:葛井孝洋、美術:磯田典宏、衣装:北村道子
出演:オダギリジョー 、柴咲コウ、田中泯、西島秀俊、歌澤寅右衛門、青山吉良
癌に冒されている父親とその恋人である若い男、そしてゲイである父を嫌う娘。ゲイのための老人ホームを舞台に描かれるあたたかな人間ドラマ。アコースティックで静かな音楽が登場人物の心の動きを繊細に代弁し、映画全体を優しく包みこむ。

○6月30日(金)
細野劇場〜細野晴臣による理想の映画音楽作品上映〜
上映終了後トークイベントを開催