チベットと中国の現実と、人間の心の深みをとらえた身震いするような力作。椎名誠(作家)

“神がすむ山”と称されるチベット最後の秘境”ココシリ”。海抜4700m、零下20度、空気は地上の1/3という過酷な大自然の脅威にさらされながら、そこに生息するチベットカモシカの最高級毛皮を狙う密猟者と、それを守るために命をかけた山岳パトロール隊の男たちの壮絶な17日間を追った、知られざる感動の実話。流砂が人をのみ込み、雪はすべてを凍らせ、さらに高山病が容赦なく襲い掛かる。そんなココシリの地で、名誉も報酬もなく家族や恋人とも別れて、どこまでも密猟者を追い続ける男たち。その行く末に見たものは、天国なのか地獄なのか。魂をえぐられるような追跡劇の一部始終を北京からきた一人のジャーナリスト・ガイの視点からダイナミックかつスリリングに描きあげたのは「ミッシング・ガン」でその類まれな才能を開花させた天才監督ルー・チューアン。実際にガイが書いたレポートは大反響を呼び、中国政府は”ココシリ”に自然保護区管理局までも設置した。

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