現在、東京・渋谷ユーロスペースをはじめとし全国で公開中の映画「いつか読書する日」が、このたびカナダ・モントリオールにて開催されました「モントリオール世界映画祭」(8月26日〜9月5日)コンペティション部門にて、審査員特別賞を受賞しました。本作は4、5日の両日、計3回の上映で、監督の緒方明、プロデューサーの追分史朗が参加。いずれの回も上映後はしばらくの間拍手が鳴り止まず、会場出口では、挨拶に立った監督にひとこと感想を伝えようとする観客が長蛇の列を作りました。

監督は、2000年のベルリン国際映画祭においてデビュー作「独立少年合唱団」でアルフレード・バウワー賞(新人監督賞)を受賞した緒方明です。緒方監督はデビュー作に続き2作目となった本作でも、その実力を世界に認められました。主演の田中裕子は1983年、「天城越え」(三村晴彦監督)により同映画祭で最優秀女優賞を受賞しており、再びの栄誉となりました。
なお、モントリオール世界映画祭は今年で29回目です。

あらすじ
ある坂の街。まだ薄暗い夜明け、牛乳瓶の詰まったかばんを背負って、今日も彼女は家々のあいだをひた走る。大場美奈子。50歳、独身。朝は牛乳配達、昼はスーパーで働き、日々を暮らしている。そんな彼女には、三十数年間想い続けている男性がいた・・・。

初めての恋を胸の奥底で温め続け、30余年を生きてきた大場美奈子。密かな想いを胸に秘め、凛とした表情の裏に途方もない孤独と戸惑いを隠す美奈子を、田中裕子は時折見せるはっとするほどの美しさと凛々しさ、はかなさで見事に演じ切っている。

出演:田中裕子、岸部一徳、仁科亜季子、渡辺美佐子、上田耕一、香川照之
監督:緒方明/脚本:青木研次/音楽:池辺晋一郎/撮影:笠松則通
企画製作:パラダイス・カフェ、パグポイント・ジャパン