ジャンルもキャラクターも変幻自在。
女優・林由美香の軌跡(のほんの一部)。

 2005年6月27日。35歳の若さで急逝した女優・林由美香。トップアイドルとして一世を風靡、出演数400本を越えるAV業界での活躍はもちろん、ピンク映画を中心とした劇場公開作品も190本近くにも上る。ピンク映画館に3本立てを観に行けば、1本は必ず出演作に出会うことができる、まさに知る人ぞ知る「銀幕のスター」であった。

 今回は、そんな由美香さんに哀悼の意を込めて、その膨大なフィルモグラフィーの中から作品を厳選の上、テアトル新宿でのオールナイトイベント(遺作となった『ミス・ピーチ 巨乳は桃の甘味』の初公開含む)、渋谷シネ・ラ・セットでのピンク映画特集上映、UPLINK FACTORYでの傑作AVドキュメンタリー『由美香』のリバイバル上映——が行われることになった。

 もちろん「追悼」と銘打ってはあるが、映画というメディアが消えない限り、コメディからシリアスまで、ジャンルもキャラクターも変幻自在に輝き続ける、まるで天使のような彼女に出会うことは、これからもずっと可能である。なので、今回のイベントをきっかけに、1本でも多く彼女の残した出演作品を映画ファンには観てほしい。悲しんでいるだけではなく、「女優・林由美香」を映画館で体験してほしい。亡くなってしまったから、ではなく、ただ単純に素晴らしい女優だったことを再認識できるはずだから。

 お別れなんて言葉は似合わない。さあ、映画館で「女優・林由美香」を思う存分楽しもう。彼女の軌跡を辿る最初の一歩をみんなで踏み出そう。

                          直井卓俊(SPOTTED PRODUCTIONS)

■9/3(土) 追悼オールナイトイベント
 会場 テアトル新宿
 23:45開場 24:00開映(6:10終了予定)
 料金2500円均一

★上映作品
『ミス・ピーチ 巨乳は桃の甘み(原題:プリティ・イン・ピーチ)』
(2005年/吉行由実監督/オーピー映画/35ミリ/60分)※一般初公開
◎急逝する直前に完成していた林由美香、最後の出演作品にして主演作。笑顔に泣き顔、等身大な魅力全開の銀幕ラストワーク、堂々のプレミア上映。

『ミス・ピーチ スペシャルメイキング』(約10分)

『由美香』
(1997年/平野勝之監督/V&Rプランニング/ビデオ/140分)
◎当時恋人同志だった平野勝之と林由美香が北海道まで自転車で走り抜けた伝説のAVドキュメンタリー。一般劇場でもヒットを記録、メディアでも数多く取り上げられた傑作。

『愛しのAVギャル〜林由美香編』
(1998年/平野勝之監督/メディアステーション=バズーカ/ビデオ/25分)※初上映
◎「由美香」での自転車旅行から2年後、オムニバス企画の中で再び自転車で出かけた平野勝之と林由美香による「プチ由美香」的短編(25分)。劇場初公開。

『痴漢電車 いやらしい行為(原題:誕生日)』
(1994年/佐藤寿保監督/国映=新東宝/35ミリ/60分)
◎ 林由美香、ピンク映画初期の代表作。離人症の男の子と海辺でテント暮らしの少女との愛を描いたリリカルな一編。ラスト、林由美香本人がアカペラで唄う「ダイナマイトが150屯」も胸に沁みる傑作。

★ゲストトーク:吉行由実監督、佐藤寿保監督、平野勝之監督、柳下毅一郎(映画評論家)、切通理作(評論家)、藤木TDC(ライター)

■9/10(土)〜16(金) ピンク傑作選レイトショー
 会場 渋谷シネ・ラ・セット
 連日20:50より(予告なし)レイトショー
 料金 1300円均一 リピーター割引1200円 水曜1000円
 ※全作品DLPビデオプロジェクターによる上映

★上映作品
『ミス・ピーチ 巨乳は桃の甘み(原題:プリティ・イン・ピーチ)』
(2005年/吉行由実監督/オーピー映画/60分)
◎急逝する直前に完成していた林由美香、最後の出演作品にして主演作。笑顔に泣き顔、等身大な魅力全開の銀幕ラストワーク、堂々のプレミア上映。

『実録異常性犯罪 甘い罠(原題:1985年6月18日にあったこと)』
(1992年/上野俊哉監督/新東宝/56分)
◎悪徳商法で儲けている商事会社を背景に、若き営業マンと会長の対立を描いたハード・ボイルド。体を売る少女でミステリアスな存在感を醸し出す林由美香が男達のドラマを妖しく彩る。

『本番裏快楽』
(1993年/鈴木敬晴監督/新東宝/58分)
◎レイプされたショックで死んだ最愛の妹を思う素朴な男と、妹に瓜二つの売春婦の愛の末路を描いた悲哀のドラマ。二役に挑戦した林由美香が「この作品で演技というものを意識しはじめた」と語る初期の代表作の一本。

『ペッティング・レズ 性感帯(原題:ナオミ)』
(1993年/サトウトシキ監督/国映/55分)
◎主人公のファナティックな同性愛を奇妙なユーモアを交えながらアップテンポで見せてゆくスリリングな愛憎劇。サトウトシキ初期の代表作であり、93年ピンク大賞作品賞、そして林由美香を堂々の女優賞へ導いた記念すべき一本。

『痴漢電車 感じるイボイボ(原題:イボイボ)』
(1996年/今岡信治監督/国映/63分)
◎失踪した恋人を捜して彷徨う男。ふとしたことで彼と出会う女。孤独な男女の頽廃的な愛欲を情念たっぷりに描き出したいまおかしんじの監督第二作。真っ赤な衣裳で幻想的に登場する林由美香が鮮烈な印象を残す。

『発情娘 糸ひき生下着(原題:ベストフレンド)』
(1998年/吉行由実監督/オーピー映画/60分)
◎ジェンダーを越えた愛と友情の物語を軽快に綴ったピュア・ストーリー。吉行監督が「林由美香のアイドル映画」と語るとおり、キュートでポップな彼女の魅力がいっぱいにあふれている。

『女痴漢捜査官 お尻で勝負!!』
(1998年/渡邊元嗣監督/新東宝/62分)
◎赤い光を見ると欲情してしまうという珍事件に挑む女痴漢捜査官達の活躍を、女優の魅力を十二分に引き出すことで定評のある渡邊元嗣監督が描いた痛快編。林由美香のコメディエンヌぶり、そしてコスプレが見もの!!

『団地妻 不倫でラブラブ(原題:団地妻 お正月・和気愛々(ラブラブ)編)』
(2000年/サトウトシキ監督/国映=新東宝/68分)
◎温泉に出かけた妻たち、残された夫たち、互いに同性愛関係を結び…。一夜の体験のなかで自分自身と夫婦の関係を見つめ直してゆくさまを、サトウトシキ監督&小林政広脚本コンビがユーモラスに綴る。

『スチュワーデス 腰振り逆噴射(原題:スッチー菜々子の玉の輿大作戦!)』
(2002年/加藤義一監督/オーピー映画/60分)
◎玉の輿に乗ることが夢のスチュワーデスと、彼女と知り合う青年の恋。男まさりの自動車修理工に扮した林由美香の好演が光る!! ジョン・ヒューズ『恋しくて』にオマージュを捧げた、若手加藤義一監督によるエンタテインメント編。

『飯場で感じる女の性(原題:キャラバン野郎7)』
(2000年/荒木太郎監督/オーピー映画/60分)
◎ピンク版「男はつらいよ」と称されているロードムービー『キャラバン野郎』シリーズの第5作。主人公の元恋人として毎作欠かさず登場する林由美香=花枝は、工事現場の飯盛り女として登場。オフビートな荒木ワールドの中でユニークな存在感を発揮している。

『たまもの(原題:熟女・発情 タマしゃぶり)』
(2004年/いまおかしんじ監督/国映=新東宝/65分)
◎熱狂的な信者の持ついまおかしんじ監督による、近年のピンク最大の話題作。ヒロイン・愛子の永遠の少女性を抱いたイノセンス。林由美香の女優としてのキャリアにおいて、紛れもなく一つの到達点となった記念碑的傑作。

★上映スケジュール
(遺作『ミス・ピーチ 巨乳は桃の甘み』をメインに代表作を日替わり上映)
9/10(土) 『発情娘 糸ひき生下着』『ミス・ピーチ 巨乳は桃の甘み』
9/11(日) 『実録異常性犯罪 甘い罠』他1本シークレット上映(『濃厚不倫 とられた女』)
9/12(月) 『本番裏快楽』『女痴漢捜査官 お尻で勝負!!』
9/13(火) 『スチュワーデス 腰振り逆噴射』『ミス・ピーチ 巨乳は桃の甘み』
9/14(水) 『ペッティング・レズ 性感帯』『団地妻 不倫でラブラブ』
9/15(木) 『痴漢電車 感じるイボイボ』『たまもの』
9/16(金) 『飯場で感じる女の性』『ミス・ピーチ 巨乳は桃の甘み』

※『ミス・ピーチ 巨乳は桃の甘み』はスペシャルメイキング映像(約10分)を併映。
※連日上映後にトークショーを予定。

■9/21(水)〜9/29(木) AVドキュメンタリー『由美香』
 会場 UPLINK FACTORY
 連日17:15より上映 ※9/22(木)、9/24(土)、9/25(日)は休映。
 9/23(金・祝)と9/26(月)は19:30より『YUMIKA 1989-1990 REMIX』(監督:カンパニー松尾)と『愛しのAVギャル〜林由美香編』(監督:平野勝之)のイベント上映あり。
 イベントゲスト:平野勝之、カンパニー松尾ほか
 料金 1000円(1ドリンク付き) ※イベント上映のみ1200円(1ドリンク付き)

★上映作品
『由美香』(1997/平野勝之監督/V&Rプランニング/140分)
◎当時恋人同志だった平野勝之と林由美香が北海道まで自転車で走り抜けた伝説のAVドキュメンタリー。一般劇場でもヒットを記録、メディアでも数多く取り上げられた傑作。

『YUMIKA 1989-1990 REMIX by カンパニー松尾』(V&Rプランニング/60分)
◎林由美香が単体AV女優としていちばん輝いていた時期に残された、異色のAVメーカーV&Rプランニングとのコラボレーションの数々を、当時の監督であり、恋人でもあったカンパニー松尾が、今回の上映のために再編集したスペシャル REMIX版。

『愛しのAVギャル〜林由美香編』
(1998年/平野勝之監督/メディアステーション=バズーカ/ビデオ/25分)
◎「由美香」での自転車旅行から2年後、オムニバス企画の中で再び自転車で出かけた平野勝之と林由美香による「プチ由美香」的短編。