「どうか私をこの子より一日だけ長生きさせてください」
ヒョンジュンは、大きくなっても、心はずっと子どものまま。
母親の育児日記は、いつまでたっても終わらない。
だから母は、息子より一日でも長く生きたいと願う。
自閉症の息子と、なんとかして幸せにしたいと願う母の、42.195キロより長い、人生のマラソン。

『走れ、ヒョンジュン!』は、著者であるパク・ミギョンが4歳で「自閉症」と診断された息子、ぺ・ヒョンジュンを鋼のような意思と執念でマラソンランナーに、さらには「鉄人」と呼ばれるトライアスロン選手に育て上げるまでを克明につづった手記です。絶望感、脱力感、虚無感に倒れそうになっても、「今あきらめてしまったら、自分が死んだ後、子どもはどうなる」という危機感から再び起き上がり、心を鬼にしながらも惜しみない愛情を注ぎ、息子の成長を見守り続けた育児日記である本書は、自閉症の子どもを持つ多くの親たちに大きな力を与えました。映画化された『マラソン』は韓国で520万人の観客を動員し、最近では大統領との母子対談の模様が大々的に報じられるなど、かつてないほどの社会現象を巻き起こしています。
 そして、その翻訳に本書が翻訳家デビュー2作目となる、蓮池薫氏が挑みました。子どもに対する愛と願い、苦しみ、迷い、決心、覚悟、責任感の中で悩みながらも、無我夢中で息子を育てる母の思いに共鳴し、その姿を鮮明に表現。翻訳家としての力量を世に知らしめる格好の作品となっています。
 
—【蓮池薫氏コメント】——————————————————–
自閉児に対する社会の無理解、不認識を打ち崩すべく、2級精神障害児を子に持つ母の本音をぶつけた衝撃の手記!
「無理のさせ過ぎ」「継母のよう」と言われながらも心を鬼にして息子を「鉄人」と呼ばれるトライアスロン選手にまで育て上げた母の執念、そしてその裏に隠れた涙はこの世の親たちの胸を打つことでしょう。
 単なる育児日誌ではありません。自閉症のこどものためにわが身を激しく燃焼させるある母の強さと弱さ、喜びと悲しみ、愛と憎しみはきっとあなたの「育児観」、「人生観」に新たな一石を投じるに違いありません。
                   翻訳者 蓮池薫
——————————————————————————-
★『走れ、ヒョンジュン!』パク・ミキョン著/蓮池薫訳
ランダムハウス講談社刊
7月13日(水)発売 定価:1,470円

★映画『マラソン』
全国松竹東急系にて絶賛公開中!