★第393回現代中国映画上映会特別上映会★
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●上映作品:劇映画《アイ・ラブ北京》
       2000年 華誼兄弟広告有限公司・北京映画制作所 共同制作
       35mmカラー・ビスタサイズ           90分
       日本語字幕スーパー     原題◎夏日暖洋洋(Summer Heat)
       監督◎寧瀛(ニン・イン)
       脚本◎寧岱(ニン・ダイ)、寧瀛(ニン・イン)
       撮影◎高飛(ガオ・フェイ)
       主演◎余雷(ユィ・レイ)、陶紅(タオ・ホン)
          左柏韜(ヅォ・バイタオ)、盖奕(グー・イー)
      劇映画《きれいなおかあさん》
       1999年珠江電影制片公司・広東三九影業有限公司共同制作
       35mmカラー・ビスタサイズ          90分
       日本語字幕スーパー  原題◎漂亮媽媽(Breaking the Silence)
       監督◎孫周(スン・ヂョゥ)
       脚本◎劉恒(リゥ・ヘン)、孫周(スン・ヂョゥ)
          邵暁黎(シァオ・シァオリー)
       撮影◎呂楽(ルイィ・ユェ)
       作曲◎趙季平(ヂャオ・ヂーピン)
       主演◎鞏俐(コン・リー)、高xing(ガオ・シン)
          施京明(チー・ヂンミン)、管越(グァン・ユェ)
          岳秀清(ユェ・シゥチン)、呂麗萍(リュィ・リーピン)
          雷恪生(レイ・クーシェン)、林青(リン・チン)
      劇映画《家》
       1956年上海映画制作所制作      125分
       35mm白黒スタンダード         日本語字幕つき
       原題◎家       原作◎巴金『激流三部作』より『家』
       監督◎陳西禾(チェン・シーフー)、叶明(イェ・ミン)
       脚本◎陳西禾(チェン・シーフー)
       撮影◎許qi(シュィ・チー)
       音楽◎黄准(ホァン・フイ)、呂其明(リュイ・チーミン)
       主演◎魏鶴齢(ウェイ・フーリン)、孫道臨(スン・ダオリン)
          張瑞芳(ヂャン・ルイファン)、黄宗英(ホァン・ゾンイン)
          王丹鳳(ワン・ダンフォン)、章非(ヂャン・フェイ)
●上映日時:5月7日(土)
       開場        午前10:30(午後6時まで入換なし)
       きれいなおかあさん 午前10:50
       アイ・ラブ北京   午後0:40
       きれいなおかあさん 午後2:30
       アイ・ラブ北京   午後4:20(終映後入換)
       開場        午後6:35
       家         午後6:55
●上映会場:文京シビックホール(小ホール)
(文京区役所がある文京シビックセンター2F)
東京メトロ丸ノ内線・南北線 後楽園駅 直結
都営地下鉄三田線・大江戸線 春日駅 直結
地図: http://www.parkcity.ne.jp/~gentyuei/civic.htm
●会 場 費:(その場でお支払い下さい=チケット方式ではありません)
    《きれいなおかあさん》
    《アイ・ラブ北京》
      1400円(会員)、1700円(非会員) ←—2作品分です
    《家》
      1200円(会員)、1500円(非会員)
●入 会 金:500円(同時入会可、有効期間1年)
年間フリーパス(8000円)もあります。
100円割引券がHPにありますのでご利用下さい。

《きれいなおかあさん》
 シングルマザーの麗英(リーイン)の生き甲斐は一人息子の鄭大(ヂェン・ダー)だ。しかし、彼は先天性難聴という障害があり、補聴器なしでは外も歩けず、声も不明瞭で他人とは意志の疎通が満足にできない。そんな息子を普通の子供と同じように学校に入れたいと思い、麗英は自分で鄭大を教育し毎日頑張っている。鄭大の小学校入学試験は発声がうまくなかったため失敗し、校長からは養護学校を勧められた。しかし、普通の小学校にこだわる麗英は来年再度挑戦することを目指し、自らの手で鄭大を教育するため会社を辞め商売を始める。
 友人を頼って商売を始めたものの、それは地下道での露店。経験もなく、取り締まりにビクビクしながら行う商売はうまくかず、毎月の養育費を入れてくれていた元の夫も交通事故死。しかも、鄭大は5千元もする高価な補聴器を壊してしまう。
苦しい毎日だったが麗英の生きがいは息子の成長。そんな姿に協力を申し出たのは近所の子供の絵の先生だった。そして、請け負いで始めたのは新聞配達の仕事。これなら鄭大を連れたまま仕事ができる。ある日、配達の途中に鄭大は花を手に持って明瞭に発声した。”花(ホァ)”と。それは麗英にとって感動の一瞬だった。
 彼女は誓った。『私は鄭大とずっと一緒に生きていくのだ。なぜなら、私は彼の母親なのだから…』。

 四十近くになり、ますます円熟味を増した中国映画界のトップ女優・鞏俐(コン・リー)。本作は、シングルマザーで障害を持つ子供の母親として社会の底辺に生きる女性の庶民生活を演じ、数々の感動と話題を生んだ作品である。
 ベルリン映画祭で上映された本作は、そのテーマもあって多数の観客の感動を呼んだ。子役の高xing(カオ・シン)は聾唖学校に通う生徒であり、撮影終了後も鞏俐との交流が続いたという。
 監督の孫周(スン・ヂョウ)は1954年生まれ。《心の香り》(1990年、原題=心香)などの監督の他、《始皇帝暗殺》(1998年、監督:陳凱歌)では俳優としても出演している。久しぶりの監督作となった本作で鞏俐を起用した孫周は、新作の《たまゆらの女》(2002年、原題=周漁的火車)でも彼女を起用している。
 新たな鞏俐の魅力を垣間見ることのできる一作である。

《アイ・ラブ北京》
 北京に生きるタクシー・ドライバー馮徳(フォン・ダー)。妻に逃げられ、心の安らぎを求め北京の街をタクシーで流す毎日。田舎出身の女・小雪(シァオシュエ)と同棲しながらカラオケ店で出会った女と寝たりする生活を送っていた。ターゲットとする客を探すうち、上流家庭の女性である趙園(ヂャオ・ユェン)と親密な関係になり、彼女の部屋に忍び込んで一夜を共にした馮徳。趙園に心を動かされた彼だったが彼女は馮徳に田舎から出てきた別の女を紹介した。初めから彼は趙園の眼中になかったのだ。
 自堕落な生活を続ける馮徳に衝撃的な知らせが飛び込んできた。小雪が自殺したというのだ。ガラス片で血管を切り、血の海の中で倒れていた彼女には深い心の傷があることを馮徳は知っていた。しかし、馮徳にはそれを解決してやることができなかった…。
 タクシー運転手の生活を通して変革の時代を迎えた北京を描く佳作である。

 第2回東京フィルメックスで特別上映されただけで劇場上映されることのないまま今に至っている寧瀛監督による北京三部作の完結編《アイ・ラブ北京》。変革を続ける中国の首都・北京に生活する一人のタクシー運転手の生活を通してこの都市に生きる人々を描き出す意欲作です。
 今回、現代中国映画上映会ではこの劇場未公開《アイ・ラブ北京》を特別上映します。この機会をお見逃しなくご覧下さい。 1959年生まれの女性監督・寧瀛(ニン・イン)は、《北京好日》(1992年、原題=找楽)では北京に生きる引退老人たちの娯楽を、《スケッチ・オブPeking》(1995年、原題=民警故事)では庶民の生活に密着した北京のお巡りさんをそれぞれ描き注目を浴びた。本作は、前2作のあとを継ぎ、いわば『北京三部作』の締めくくりともいえる作品であり、タクシードライバーの生活を通して変化を続ける中国の首都・北京を描いている。
 《ションヤンの酒家》(2002年、原題=生活秀)などにも出演し、美人の誉れが高い陶紅(タオ・ホン)が登場人物の一人として名を連ねているが、他の2作と同様に有名な俳優はあまり出演しておらず、実験的要素もうかがうことのできる一作となっている。

《家》
 1910年代の成都にある官僚地主・高家は清朝の官僚であった爺さんが全権を握る封建家庭だった。息子たちは広大な屋敷の中に家庭を構え、無気力な日々を送っていた。しかし、孫たちは祖父や父親世代の腐敗に反封建の志を胸に秘めていた。三男は最も祖父と対立するものの、妾にされそうで救いを求めてきた鳴鳳をみすみす自殺に追いやる。次男は、いとこを愛しているため、祖父の命じた結婚を拒否して家出する。しかし長男の覚新は跡取りという重責を負い、祖父には逆らえない。恋人の銭梅芬ではなく、親の手配した李瑞jueと結婚させられる。ある日、梅芬と再会するが彼女は病気で亡くなってしまった。一方、瑞jueは妊娠するが、ちょうど祖父が永眠した。このままでは喪中の出産となる。縁起が悪いという家族の迷信のため、あずまやに追いやられた瑞jueは産気づきながらもついに力尽きてしまう。
ついに覚新は瑞jueまでも失ってしまう。全ての禍は封建的な『家』制度が招いたこと。それにようやく気づいた覚新は毅然として家を離れるのだった。

 百歳を越え、病に苦しみながらも、今なお中国文学界の重鎮として生き続ける1904年生まれの文豪・巴金。本作は巴金が1931年に発表した小説集『激流三部作』のうち『家』を映画化したものである。70年も前の小説が、中国に今もなお根強く生き残る迷信や「家父長的”家”制度」などの封建思想への警鐘となっているのは何とも皮肉である。新中国誕生前からの名優、魏鶴齢、孫道臨、張瑞芳、黄宗英、王丹鳳などが出演した豪華キャストの古典的文芸作品である。

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★★★今後の上映予定★★★

5月 7日(土) 10:50〜 《きれいなおかあさん》(主演:鞏俐)
         12:40〜 《アイ・ラブ北京》(劇場未公開作!)
         14:30〜 《きれいなおかあさん》(原題:漂亮媽媽)
         16:20〜 《アイ・ラブ北京》(原題:夏日暖洋洋)
         18:55〜 《家》(原作:巴金,原題:家,主演:孫道臨)
6月11日(土) 18:55〜 《追憶の上海》(主演:張國榮)
 7月 9日(土) 18:55〜 上映作品未定(1作品上映)
 8月13日(土) 10:20〜 上映作品未定(2〜3作品上映)
 9月10日(土) 10:20〜 上映作品未定(2〜3作品上映)
10月22日(土) 18:55〜 上映作品未定(1作品上映)
11月18日(金) 18:55〜 上映作品未定(1作品上映)

上映会場はすべて文京シビックホール(小ホール)になります。
文京シビックホール(文京シビックセンター)の地図は次のアドレスをご覧下さい。
http://www.parkcity.ne.jp/~gentyuei/civic.htm

※5月7日(土)の上映作品のうち《アイ・ラブ北京》は劇場公開もビデオ発売も
 されていない作品です。