『砂の器』『八つ墓村』『鬼畜』『影の車』など、数々の名作を松竹から世に送り出した映画監督・野村芳太郎(のむら・よしたろう)氏85歳が、4月8日(金)0時15分に肺炎の為、逝去されました。

■通夜:4月11日(月)午後6時より

■告別式:4月12日(火)午前10時30分より

■場所:東京都文京区大塚5-40-1「護国寺・桂昌殿」

野村芳太郎プロフィール
1919(大正8)年4月23日京都市で生まれる。
生後まもなく東京市浅草区吉野町に移る。
父、野村芳亭が松竹の監督で撮影所長もつとめていた関係で、京都(下賀茂撮影)と東京(蒲田撮影所)の移転を繰り返す。
幼少より生活の中に映画がとけ込む状態で育ち、「ぼくは撮影所の庭が遊び場だったんだよ」と後年語った。
慶応義塾大学文学部芸術学科に進むも、1941年12月太平洋戦争勃発により繰り上げ卒業。同時に松竹大船撮影所助監督部に入る。
1942年2月応召。入隊。
1946年ビルマより復員。秋に復職する。
家城巳代治、川島雄三らの助監督につく。
黒澤明監督が松竹で製作した『醜聞』『白痴』の両作品でも助監督をつとめた。
黒澤が「大船には三人の優れものがいた」といったという逸話の中の一人だ。
1952年9月『鳩』で監督デビュー。ブルーリボン新人監督賞を受賞した。
戦後、松竹の代表的監督としていわゆるプログラム・ピクチャーの中心的担い手となる。作品の種類は青春ドラマ、庶民喜劇、メロドラマと多岐にわたる。
1958年の『張込み』から始まる松本清張原作の映画化では、最も手腕をふるった。『張込み』『影の車』『砂の器』などの傑作を残す。
一方、プロデューサーとしても『八甲田山』『天城越え』『キネマの天地』など多くの名作、話題作を世に送り出した。

【主な監督作品】
『鳩』1952年
『伊豆の踊り子』1954年
『張込み』1958年
『ゼロの焦点』1961年
『拝啓天皇陛下様』1963年
『影の車』1970年
『砂の器』1974年
『鬼畜』1977年
『八つ墓村』1977年
『事件』1978年
『疑惑』1982年
『危険な女たち』1985年

1975年 モスクワ国際映画祭『砂の器』審査員特別賞
1978年 『事件』『鬼畜』により文化庁芸術選奨文部大臣賞
1985年 紫綬褒章
1995年 勲四等旭日小綬章

※特別企画
松竹110周年特別企画の一環として、数ある傑作の中から、松本清張原作で、不朽の名作といわれた『砂の器』がデジタルリマスター版ニュープリントとして4月13日に完成し、国内外で上映を予定している。