★第392回現代中国映画上映会特別上映会★
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●上映作品:劇映画《こころの湯》
       1999年西安映画制作所・西安藝瑪電影藝術有限公司共同制作
       35mmカラー・ビスタサイズ      90分
       日本語字幕スーパー          原題:洗澡(Shower)
       監督:張揚(チャン・ヤン)
       脚本:張揚(チャン・ヤン)、劉奮斗(リゥ・フェンドウ)
          霍?(フォ・シン)、diao奕男(ディァオ・イーナン)
          蔡尚君(ツァイ・シャンヂュィン)
       撮影:張健(チャン・ヂェン)、畢爾(ビー・アル)
       美術:田蒙(チィェン・モン)
       主演:朱旭(ヂュー・シュィ)、濮存?(プー・ツンシン)
          姜武(ヂャン・ウー)、李丁(リー・ティン)
          封順(フォン・シュン)、何冰(フー・ビン)
          杜彭(トゥ・ポン)、隋永清(スイ・ヨンチン)
          胡貝貝(フー・ベイベイ)
      劇映画《王様の漢方》
       2002年内蒙古映画制作所など共同制作    104分
       35mmカラー・ビスタサイズ      日本語字幕スーパー
       中国語題:漢方道 (Great Wall, Great Medicine)
       監督:牛波(ニゥ・ポー)
       脚本:牛波(ニゥ・ポー)、江戸木純
       撮影監督:津田豊滋       音楽:史志有(シー・ヂーヨゥ)
       主演:朱旭(ヂュ・シュィ)、渡辺篤史、天川紗織、中山一朗
          ノーマン・リーダス、宗平(ゾン・ピン)、中村正志
          哈斯高娃(ハースーガオワ)、宋華宇(ソン・ホァユィ)
          藤田佳子、沢本忠雄
●上映日時:4月9日(土) 午前10:00開場(途中の入れ換えなし)
       こころの湯(午前10:20,午後2:20)
       王様の漢方(午後 0:10,午後4:10)
●上映会場:文京シビックホール(小ホール)
(文京区役所がある文京シビックセンター2F)
東京メトロ丸ノ内線・南北線 後楽園駅 直結
都営地下鉄三田線・大江戸線 春日駅 直結
地図: http://www.parkcity.ne.jp/~gentyuei/civic.htm
●会 場 費:(その場でお支払い下さい=チケット方式ではありません)
      1400円(会員)、1700円(非会員)
      ※途中の入れ換えはありませんので、これで2作品ご覧になれます。
●入 会 金:500円(同時入会可、有効期間1年)
年間フリーパス(8000円)もあります。
100円割引券がHPにありますのでご利用下さい。

《こころの湯》
 北京の下町にある銭湯『清水池』は、早くに妻を亡くした劉(リゥ)じいさんが知的障害のある下の息子・二明(アルミン)と2人で経営している。ある日、深センにいる上の息子・大明(ターミン)が突然帰ってきた。二明が書いたハガキが原因だった。横たわるじいさんの絵が描いてあり、大明は父親が倒れたのではないかと心配したのだった。
 心配が杞憂に終わった大明は深センに帰る切符を買うため二明と一緒に出かけたが、目を離した隙に二明がいなくなってしまう。探しても見つからず、夜になっても戻らない。必死の形相で二明を探しに出かけるじいさんは追いかけてきた大明を怒鳴りつけた。「お前は自分の弟がどうなってもいいと思ってるのか。わしは二明まで失いたくないわい」。大明には返す言葉がなかった。二明は翌朝、ホコリまみれで帰ってきた。
 体調が悪い父親に代わって店を開けた大明は、銭湯を楽しみに来た大勢のお客を目にし、父親を理解し始めていた。
 地域の再開発が決まり、『清水池』は取り壊されることになったが、親子たちは相変わらず銭湯を開き続けていた。そして…。

 この映画の舞台となる中国の銭湯(浴池)は日本の銭湯とは違い、地域の人たちの憩いの場であり、風呂だけでなくマッサージや散髪などの多種多様なサービスもあり、様々な語らいのある生活の場である。
 この映画でも描かれているように、そんな古い雰囲気のある銭湯は近年の再開発でどんどん取り壊され、新しいタイプの健康ランドのような豪華なものに変わっている。
 『清水池』と下の息子を守る劉じいさんにはTVドラマ《大地の子》や《變臉〜この櫂に手をそえて》《心の香り》《王様の漢方》などでおなじみの名優・朱旭(ヂュー・シュィ)が当たっている。上の息子・大明は《スパイシー・ラブスープ》《青い凧》《乳泉村の子》《雲南物語》の濮存?(プー・ツンシン)が演じている。
知的障害のある劉じいさんの下の息子を演じる姜武(ヂャン・ウー)は姜文(ヂャン・ウェン)の弟であり、張藝謀(チャン・イーモゥ)監督の《活きる》で好演している。銭湯の常連の老人を演じる李丁(リー・ティン)は《天国からの手紙》のおじいさん役で涙を誘った。なお、本作は往年の名俳優・封順(フォン・シュン)の遺作となった。
 本作を制作した藝瑪電影藝術有限公司(Imar)はアメリカ人のピーター・ローアー(中国名:羅異)が西安に作った独立映画会社であり、《スパイシー・ラブスープ》《美麗新世界》《走到底》《昨天》などの優秀作を次々に送り出している新興の映画会社である。

《王様の漢方》
 北京に来た日本のビジネスマン・市川一雄。小さな貿易会社を経営する彼は、中国の会社と契約を取り交わそうと大きな期待を持って訪れたのだが、門前払い同然に断られてしまった。資金不足のため無理な借金までして臨んだのだが、その望みも断たれた。大きな落胆で目の調子までおかしくなった彼は、ふらっと訪れたホテルの中国医療院で李仁(リー・レン)先生に出会い、目の治療をしてもらった。その効果はめざましく、永年患ってきた目はすぐに良くなった。
 市川にしつこく借金の返済を迫るヤクザ。契約がうまくいかず、万策尽きかけた市川にヤクザが提案したのは日本から各種の病気に悩む人を中国に送り込んで治す意外なビジネスだった。
 秘書兼通訳の小泉純子を伴った市川に率いられ李仁先生の元を訪れた日本人一行。
それは薬物中毒のヤクザ・中村英雄、性同一性障害に悩む菊地五郎、中国人のようにスリムになりたいモデル・和田貴美子、妻に先立たれガンを患っている大山忠、とわけありの4人だった。病気を診断するために最初の料理として出されたのは見たこともない薬膳料理のフルコース。しかし、それは蛇やスッポンなどを使った料理もあり、慣れない料理のオンパレードに一行のほとんどは手が出なかった。
 万里の長城の近くで医食同源の生活をし、中国伝統医療で体調を整える一行。李仁とその弟子たちの手により悩みの数々が解決されてゆく。時が経つにつれ彼らは漢方で癒やされ、万里の長城に心が和む。やがて彼らは中国の奥深さに感銘し日本へ帰っていったのだった…。

 これは中国人なら説明の必要もない薬膳療法にすがる日本人たちを描いた作品である。映画の各場面に登場する漢方の奥義に触れてみるのもいいだろう。登場人物の半分以上が日本人であり、劇中で語られる言語が中国語・日本語・英語というマルチランゲージ作品でもある。
 監督の牛波は本作が初監督作品。モダンアートに手を染め、日本でも活動した経験を持つ異色の映画人である。
 中国側から主演した朱旭はTVドラマ《大地の子》の他、《變臉〜この櫂に手をそえて》《こころの湯》などでおなじみ。日本側からも渡辺篤史や2000年度ミス日本グランプリの天川紗織、35年ぶりに映画出演した沢本忠雄など多数の俳優が出演し話題に事欠かない。久しぶりの本格的日中合作作品となっている。
 映画の中に次々に出てくる珍しい漢方薬膳料理の数々は必見である。