いつの世の中でもバス停には様々な人々が、それぞれの物語を胸に抱えながら集まって来る。そしてキューバ名物とも言える“行列”で人が溢れ返り、そこには様々な人種が混在するキューバならではの物語が紡ぎ出される。しかしその物語は、どの国のどの人種にも共通する“人と人のつながり”という普遍的でありながら、現代社会では最も希薄になりつつあるテーマを描いている。
この映画を観ればキューバで暮らす人々の素顔と日常生活が見えてくる。彼らは普段どんなものを食べ飲み、どんな音楽を聴いて踊るのか?セリフの端々にはキューバの置かれている社会状況が浮き彫りにされ、彼らが胸の内に秘めた心のユートピアまでも目にすることができるのだ。そしてこれらのすべてを爽やかな笑いと音楽にのせて、夢と現実が交錯するかのようにファンタジックに描き出し、観た後には誰もが胸にしみ入るようなあたたかい感動を呼び起こされるだろう。それは日常生活の合間で忘れてしまいがちな“本当のしあわせ”や“生きる希望”をも感じさせてくれる傑作だ。

公開劇場が、銀座シネラセットから、渋谷シネ・アミューズに変更になりましたので、お詫びいたします。
『バスを待ちながら』は、2002年1月中旬より渋谷シネ・アミューズにてロードショー公開されます。

□作品紹介
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=2566